30年間憧れだったお皿を手に入れました。エルメスの「ピエール・ドリアン・エ・ドクシダン」(その1)
ゴージャズで派手な色合いのものより、
シンプルで渋い色合いのものが好きです。器も。
でも、例外的にときめく柄があります。
それがHERMES(エルメス)の
「ピエール・ドリアン・エ・ドクシダン(東洋の石と西洋の石細工)」。
1988秋冬の新柄。30年前の柄です。
スカーフやブラウスなどのテキスタイルとテーブルウエアで発表されました。
スカーフは手に入れました。
が、食器類は手が出ませんでした。
作家の1点ものではないのに高額。
セット買いできるセレブでもないし。
それでも当時、カタログだけはいただいていました。
↑この柄の制作時のエピソードも詳しく書かれ、
写真も美しいマイお宝カタログ。
掲載されている食器類の写真を見ているだけで、
目の前にパ~っと光が溢れるような美しさにうっとり
以来、折々、カタログを見返すたびに、
相変わらず食器の写真にうっとり。
そこで、平成の終わりに思い立ったのです。
「持っている他の器とテイストは合わないけれど。
高額だけど買おう。
30年間変わらず好きなんだもの!」
が、時すでに遅し。知らないうちに廃番になっていたのですね。
でも
諦めきれずユーズドを手に入れました。
感動です。
今、ピエール・ドリアン・エ・ドクシダンに興味を持っている人は
少ないのかもしれませんが、
褪せない私のときめきのままに
この柄の魅力を3回に分けて綴ります。
今回のその1では、
発売当時のカタログと、この柄のインスピレーションの源となったテーブルについてです。
【柄の名前】
MARQUETERIE DE PIERRES D'ORIENT ET D'OCCIDENT
ピエールドリアン・エ・ドクシダン
(東洋の石と西洋の石細工)
MARQUETERIE=細工
PIERRES=石
ORIENT=東洋
OCCIDENT=西洋
ですね。
【カタログから抜粋でご紹介。引用部分は青文字】
◆「モチーフ」の項より抜粋で。
16世紀フィレンツェにみられた大理石に石を嵌込む細工からインスピレーションを得て創られました。
ラピス・ラズリと珪化木を背景とし、縁を花と果実で飾った中央に、小鳥、扇、真珠の首飾り、貝殻を描写しています。
◆デザイナー「ゾエ」が1988年12月15日に寄稿したコメントから抜粋。
ある日の午後、私は宝石を見に行くつもりで植物園の中にある鉱物ギャラリーへ出かけました。
足を踏み入れた瞬間に目に入ったのは、形といいスタイルといい、
あらゆる点で私を引きつける素晴らしいテーブルでした。(中略)
そこに使ってある全ての色が私の中でぐるぐる回るような錯覚に陥ってしまいました。
私がそのモチーフに圧倒されたのは、そこに見られる自然の緻密な研究、
「動き」の正確な把握、動植物の様式化されながらも明確な描写、
そして多種多様な石の使用でした。純粋状態にある美が引き起こした感嘆であるがゆえに、
その感動はもう二度とないのではないかと思われる程のものでした。
ゾエ氏をインスパイアしたこの美しいテーブル。気になります。
フランスには行ったことがありません。
ネットで調べてみました。手ごたえあり!!
私の推測ですが
「植物園の中にある鉱物ギャラリー」とは
パリ植物園(Le Jardin des Plantes de Paris)の敷地にあるという
国立自然史博物館(Le Muséum national d'histoire naturelle)の
鉱物学と地質学のギャラリー(La galerie de minéralogie et de géologie)」
だと思います。
「メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド」(ttp://www.mmm-ginza.org)の
海外の特集「国立自然史博物館 鉱物学と地質学のギャラリー」のページ
(リンク切れになるかもしれませんが
ttp://www.mmm-ginza.org/special/201603/special01-02.html)
で興味深い記述をみつけました。
巨大な黒大理石のテーブルに鳥や花々などのモチーフをラピスラズリ、アガット、アメシスト、
真珠などではめ込んだ息をのむほど精緻なマルケトリー作品は必見です。
マルケトリーとは「細工」のこと。
エルメスのこの柄も正式名は
MARQUETERIE DE PIERRES D'ORIENT ET D'OCCIDENT
マルケトリーが入っています。
ゾエが魅了された巨大な黒大理石のテーブル。
画像を見てみたくなりますよね。
「調べ物刑事(デカ)」の私。めぼしをつけました~。
「Plateau de table florentine」だと思われます。
国立自然史博物館HP内のPDFをご覧ください。
http://www.galeriedemineralogieetgeologie.fr/sites/galeriedemineralogieetgeologie.fr/files/documents/201409_dp_expo_tresors_terre_2014_gmg.pdf
同博物館で現在開催中の「exposition tresors de la terre」(私メモ:地球の宝展)の資料です。
24枚にわたるリリースの
p8、p9、p22に黒大理石テーブル「Plateau de table florentine」の画像があります。
赤と青の2色の羽の鳥、花の咲き方、ひゅるんとたなびくリボンや真珠。
美しいです~。
まさにピエール・ドリアン・エ・ドクシダンの世界。
ゾエが感動し、インスパイアされたのはこのテーブルに間違いないでしょう。
この自然史博物館のテーブルの画像とエルメスのピエールドリアンエドクシダンを見ていると、
ゾエがテーブルに感動して、これをスカーフや食器で再現したかったという熱い想いが伝わってきます。
上記のPDFを見ていただくのが一番いいのですが、
ウィキペディアコモンズで画像をみつけましたので
その画像をご紹介します。
(画像はクリックで拡大します)
(画像整備中。↑2022年秋以降に再アップします)
Plateau de table en marbre noir des Ardennes avec oiseaux, Italie, XVIIe
by Eunostos/WIKIMEDIA COMMONS
ピエール・ドリアン・エ・ドクシダンの柄をお好きな方は
まさにこのテーブルが源になっている!とお感じになることでしょう。
近日のその2では、このテーブルの柄にインスパイアされたゾエ氏が
どう作品化したのか。
上記の画像と、私の手持ちのスカーフとで見比べてみます。
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