ガガーリン16 飛ぶことがすべて
ガガーリン14、15でご紹介したガガーリンへのインタビュー。
他にどんなことが語られているのかを抜粋して簡単に。
【無重力体験について】
「無重力状態があらわれたとき、わたしの気分はすばらしく良好でした。
なんでも、らくにできるようになりました。手も、体中が自分のものではないように感じました。
無重力状態で宇宙食を食べましたが、地上で食べる時と同じでした。
私はこの状態で仕事をし、ものを書き、自分の観察を記録しました。
手にはまったく重さがなかったけれども、筆跡は同じでした」
【ツィオルコフスキーについて】
ツィオルコフスキーは「ロケットの父」「宇宙旅行の父」といわれる旧ソ連の科学者です(1857-1935)。
記者たちにこの科学者のことを尋ねられ、ガガーリンは、中学時代から彼の本を読んでいたこと。
宇宙で自分が体験したことが、ツィオルコフスキーの著書『地球の外(Вне Земли)』に書かれていたこととさほど違わなかったこと、
ツィオルコフスキーの予見が的確だったことを語っています。
【好きなスポーツ】
バスケットボール、スキー、スケート、バドミントン
【好きな作家】
トルストイ、プーシキン、チェーホフ、ポレヴォーイを挙げています。
特にポレヴォーイの『真実の人間の物語』を愛読していて、
子供の頃から、その主人公マレーシェフが好きだったと答えています。
ポレヴォーイという作家も『真実の人間の物語』も初めて聞く名前だったので調べてみました。
『真実の人間の物語』は、第二次世界大戦中に空中戦で不時着、負傷して両足を切断した
ソ連空軍の飛行士アレクセイ・マレーシェフの実話を基にした作品のようです。
両足を失い、絶望したマレーシェフは周りの人の支えで、少しずつ希望を見出します。
義足で歩けるようになり、踊ることさえできるようになったことを見せて、
軍の資格検査をパス。再び戦闘機のパイロットとして復帰、というストーリーのようです。
『ピーターと狼』やバレエ音楽『ロメオとジュリエット』で知られるプロコフィエフも
この『真実の人間の物語』を歌劇にしていたんですね。
初めて知りました。
ボストークで地球を一周し、〔宇宙飛行士〕という称号を手にするまで、ガガーリンは戦闘機のパイロットでした。
だからこそマレーシェフに共感するところがあったのでしょう。
【好きな仕事】
好きな仕事は?と訊かれ、ガガーリンは、
「なによりも、飛ぶことが好きです。(Больше всего я люблю летать.)。
飛ぶことはおそらく私にとって人生のすべてです。Полеты , пожалуй, для меня вся жизнь.)」
と答えています。その他、飛行機での飛行とボストークでの飛行について触れています。
1955年7月、サラトフの航空クラブ時代。
ガガーリンはヤク18型で、教官が同乗しない単独飛行を初めて経験しました。
そのわずか6年後、彼が一人で、翼のない新しい乗り物で宇宙へ行くとは一体誰が想像できたでしょうか。
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