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2006年3月17日 (金)

ガガーリン10 原文にたどりつく!

東京・経堂にある日本ロシア語情報図書館で、1961年4月のイズベスチヤ紙を閲覧しました。
プラウダも読みたかったのですが、4月分だけが残念ながら見当たらないとのことでした)

感動です~。
縮刷版ではありません。新聞そのものが紐でくくられ一ケ月ごとに保管されているのです。当時の生の新聞です。紙面の端が少し黄ばみがかり、40年以上の月日の流れを感じさせるその新聞をそっとめくっていくと・・・。

4月12日の紙面ではガガーリンのことについて何も触れていませんでした。
日本の新聞では『12日の夕刊イズベスチヤによると』、というくだりもあったのですが。
(イズベスチヤは当時、モスクワでは一日一回夕方に、全国では一日一回朝に発行されていたようです。私が閲覧しているのは全国版。ですので、ガガーリンについての初めての報道が4月12日には間に合わなかったようです)

13日になると、出てきました!
ガガーリンの写真とともに、黒、朱色の極太ゴシック体のキリル文字で彼の偉業を伝える見出しが躍っています。ロシア構成主義を代表するグラフィックデザイナー、リシツキー(Лисицкий)のデザインを彷彿とさせるかっこよさ!

震える手でページをめくり、まず、16日までの見出しを追いました。
やはり、「地球は青かった」にあたる言葉はありません。
一つ一つ記事を追ってみることにしました。

イズベスチヤの記者オストロウーモフ氏の着陸地点からのルポが4月13日に掲載されていました。
朝日4/13夕刊、毎日4/13夕刊、読売4/13朝刊の元になっている記事です。
日本の各紙で『空は暗く、地球は青~』と書かれていた言葉の原文を探してみると。。。
(以下私の訳で。)

ガガーリンの言葉として、

Небо очень и очень темное , а Земля голубоватая . とありました!
голубоватаяを辞書で引くと、青みがかった、薄青色の、となっています。露英辞典だとbluishと出てきます。(Blueではありません)

原文はつまり
『空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていたとなるのです。

「地球は青みがかっていた」
Земля голубоватая。ゼムリャー ガルバヴァータヤ。
---日本でのちに「地球は青かった」と一人歩きするのはまず、この言葉にマチガイありません。

ところで、国会図書館で4月のプラウダを閲覧しました。
4月13日のプラウダではこのくだりはこう書かれています。


「宇宙の中で、空はどうでしたか?」
「暗かったです。同志諸君。とても暗かったです」
А Земля?/一方、地球は?」
Голубоватая, как большой шар. Замечательная картина!青みがかっていて、まるで大きな球のようでした。素晴らしい光景でした」。


この言葉が原文だとすると、私の疑問『ガガーリンが見た青は、シーニーだったのかガルボイだったのか?』の答えはガルボイです。
そして、「地球は青かった」は、ガガーリンが飛行中に言った言葉ではなく、帰還後、記者たちに語った言葉と言えます。

これで一件落着?
いえいえ、新たなスタートです。断言する前に、もう少し、ガガーリンの帰還後の他のコメントを調べてみる必要があるから。 
※追記※関連ページ ガガーリン
15 20 21 23 48
      「地球は青かった」真意のロシア語はこちらだと思います→25 49

それに、ガガーリンは興味深いことをもっともっーと、語っているのです。

このつづきはまた明日。

余談ですが、ガガーリンの取材で派遣されていたイズベスチヤ新聞のオストロウーモフ記者は、とても粋な文章で着陸地点からのこのルポをしめくくっています。


  私が「イズベスチヤの読者たちは熱烈な祝辞をあなたに送っています」と
  申し上げると、人類初の宇宙飛行士は
  「私からの心からの挨拶を彼らにお伝えください」と語った。
  その瞳は、いまなお、星の光を反射しているように、輝いていた。


歴史的な出来事、その英雄に自分が立ち会えているという記者自身のよろこびが伝わってくるような気がしませんか。

日本の3紙もオストロウーモフ記者の言葉を添え、彼のルポを紹介しています。


『最初の宇宙旅行者は、こう記者に語った。彼の両眼は、まだそこに
 星の光がうつっているようにキラキラと光っていた』
 (朝日4/13夕刊)
『ガガーリンの目は星の光を残しているようだった』 (毎日4/13夕刊)
『彼の目は星の光を反射するかのようにきらきら光った』 (読売4/13朝刊)

1961年4月12~16日の新聞は読んでいるだけでエキサイティング。
図書館で勉強や調べものをなさる方は、息抜きタイムにこの4月の縮刷版やマイクロフィルムをご覧なってみてください。
夢、未来、快挙、進歩。そんなエネルギーに触れることができます。

補足です。
イズベスチヤではオストロウーモフ記者が、プラウダではデニソフ記者が、4月12日のドキュメントとして執筆した着陸地点からのこのルポ。両記者は、


ガガーリンが軌道に乗る前にすでに「地球が見える、もやに包まれている。気分は非常によし」と伝えてきた

と書いています。原文では

Вижу землю, покрытую дымкой. Самочувствие отличное.

ですが、ガガーリン6で紹介した交信記録には、「もやにつつまれている(покрытую дымкой)」にあたる言葉はありませんでした。

ただ、交信記録の一つでは「Вижу землю...」となっています。
その聞き取りにくい部分がпокрытую дымкойだったのでしょうか。
(2011.12.22追記)
イズベスチヤの1961年4月12日の記事がネットで閲覧できます。
詳しくはガガーリン98を。

ガガーリンINDEXはこちら

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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