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2006年4月 5日 (水)

ガガーリン22 15日の一問一答

4月15日の「学者会館」での記者会見では、ガガーリンは演説とは別に、記者との一問一答を受けています。
その日本語訳は『ソ連人間宇宙船の成功』の(22)にあります。
日本の新聞でも、朝日、毎日、読売とも抜粋で4/16に掲載しています。

ここでガガーリンが答えていることは、
無線のこと、飛行中の食べ物、ツィオルコフスキーについて、お守りを持っていったかどうかetc.。
ガガーリン5 ボストークの窓でガガーリンが帰還後、記者会見で地球は窓から見たのか質問されたと書きましたが、
それはこの一問一答の中でのことです。

この一問一答で注目するとしたら、着陸方法でしょうか。
今はガガーリンの着陸方法は高度7000メートルで宇宙船から脱出してパラシュートで着地と当たり前に様々な資料に書かれていますが、
当時はこのパラシュートによる着地をあいまいにしていた
(ボストークごと着陸したと思わせる?)らしいのです。

さて、この一問一答でガガーリンがどう答えたかを訳してみます。

「わが国の着陸の方法はパラシュートによるものを含め、いくつもの方法が完成しています。
そして今回の飛行では次のような方法が実行されました。パイロットはキャビンの中にいて、
降下は成功しました。これは着陸のためのすべてのシステム高性能で申し分なく働いたことによります」


確かにこの表現だと、核心部分をそらしているという印象を受けます。

この15日のガガーリンの演説や一問一答の様子について、日本の各誌ではこんな風に書かれています。

「多くの新しい質問に関してはなかなか老練な政治的回答をしてみんなを驚かせた」 (朝日4/16)

【ポイントはたくみにそらす】
「彼ははっきりした口調で、よどみなく随時ユーモアをまじえて満場を笑わせ拍手を受けたが、
重要なポイントはみごとにはずしていた」
(毎日4/16)

実は『ソ連人間宇宙船の成功』の(25)に
ノボポリャンスキーの演説〔着陸の模様について〕が掲載されています。
どんな肩書きの人かわからないのですが、興味深いことが語られています。
(この演説はイズベスチヤやプラウダの4/16には掲載されていません)

4月13日の夜、わたしは、ユーリー・ガガーリンの着陸を目撃したコルホーズ農民や機械収穫要員たちと
話しあった。
みんな興奮していて、とてもうれしそうだ。忘れようにも忘れられないあの瞬間の詳報が、
口から口へと伝えられている。
トラクター運転手のイワン・ルデンコはこうのべている。

 我々の作業班は朝から畑に出ていた。天気はあたたかく晴れわたっていた。
 我々は総勢六人で、野外宿泊所からあまり遠くないところで働いていた。
 みんな宇宙船の着陸をはっきり見た。宇宙飛行士はパラシュートで、我々の近くに着陸した。
 彼はベルトや網を引きよせながら、パラシュートをおさえた。
 彼の一番近くに居合わせたのは、女の子をつれた第一作業班の夫人コルホーズ員で計算係の
 アンナ・イワノーブナだった。
 我々は彼の方へ走った。
 我々の前には、とても平静で、まったく無傷な人が立っていた。
 赤いコンビネーションを着、白い飛行帽をかぶり、均整のとれた体格の人だった。
 一方の腕には時計をはめ、もう一方コンビネーションの袖口には小さな鏡をつけていた。
 彼は我々の方にすすんで来、そして、つぎのような言葉をのべたが、
 我々はそれをいつまでも忘れないであろう。

 「こんにちは。同志のみなさん!自己紹介をさせてください。わたしはソビエト市民で、
  最初のソビエト宇宙飛行士のユーリー・アレクセービッチ・ガガーリンです。お知り合いになりましょう」


歴史的快挙を目撃できた人の興奮が伝わってくるようです。
これを読むと、ガガーリンがパラシュートを使って着地していることは明らか。

この日本語記事がずいぶん後になって発表されたというわけではないんですよね。
ソ連邦大使館によるこの日本語の冊子は1961年5月に発行されています。
ということはパラシュートで着陸したことは当時から隠し事でもなんでもなかったのでしょうか。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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