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2006年4月 6日 (木)

ガガーリン23 いよいよ宇宙への道

4月15日(ガガーリン2122)の記者会見が終わると、ロシアのイズベスチヤ、プラウダでも、日本の新聞でもガガーリンの記事は一段落つきます。

次に大きく取り上げているのは、4月25日のプラウダの紙面1ページを使った宇宙船ボストークの構造についての記事でしょうか。

ガガーリン5 ボストークの窓で、光学式イリュミナートルの写真が出ていると書きましたが、それがこの25日の記事になります。この記事の中で着陸方法についても書かれていますが、まだきちんと読んでいません。今日のブログではバッサリ飛ばして次にいきます。

ガガーリンが一番いろんなことを綴っている資料にやっと辿りつきました。
それは、プラウダの4月30日からの連載『дорога в космос/ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)』。

これはガガーリンが書いたというよりも、ガガーリンが語ったものをプラウダのデニソフ記者(着陸地点でのルポなどをおこなってきた記者)とボルゼンコ記者がまとめたもののようです。4月30日から6月18日まで3~4日おきぐらいに連載されています。そのボリュームは半端ではありません。プラウダの当時の紙面はA2の大きさで、通常一日分が6ページなのですが、連載がある日は、2分の1ページか3分の1ページがガガーリンのこの連載に割かれているのです。
いかにガガーリンの宇宙飛行が当時の関心事だったかがわかります。

この『ダローガ・フ・コスモス』はその後、ソ連で単行本となって出版されています。日本でも出版されています。
ただ、それがすっごくややっこしいんです。ソ連でも日本でも、いろんなバージョンが存在します。加筆したもの、ダイジェスト版エトセトラ。

まるでタトゥーのアルバムのようです。『ヤー・サシュラー・スマー』の英語版やリミックス版がいろいろあって、どのアルバムとどのアルバムが曲がかぶっているのか、どれが自分の聴いていない曲集なのかがわからなくなってしまうあの感覚。
『ダローガ・フ・コスモス/宇宙への道』も、どの本が完全版なのか、どの本がどの記述が抜けているのか、どの本とどの本を抑えれば、制覇できるのかわからなくなって混乱します(^_^;)。

ともあれ、『ダローガ・フ・コスモス』は、ガガーリンが生い立ちから宇宙飛行士になるまでの時期や、ボストークでの有人宇宙飛行の体験、帰還後のことを語ってる集大成。

この中から、例によって宇宙からの眺めについて語っているところを、まず、ご紹介します。

【星や太陽の明るさ】
星や太陽が地上で見るよりも明るい、という説明は今までのインタビューや会見で語ってきたものとそんなには変わりはありません。ですが、面白かったのがその表現です。
地上で見るより何十倍、何百倍も明るかったという太陽の明るさを、〔鋳物工場にいた時に扱っていた熔けた金属とは比べ物にならない明るさだった〕とたとえているのです。

Ярче,  чем  расплавленный металл, с  которым  мне  приходилось  иметь  дело  во  время  работы  в  литейном  цехе.

ガガーリンは将来鋳物工場で働くために、故郷を離れ、サラトフの技術学校に行きます。ところが、そのサラトフで航空クラブに出会い、空を飛ぶ魅力に目覚めてしまったわけです。
ちょっと人生のレールが違っていれば、ガガーリンは鋳物工場の技術者となり、宇宙飛行士や宇宙船の記念碑や彫像を造る(鋳物工が造るものかはわかりませんが)側になっていたかもしれないんですね。不思議。

熱く熔けた金属に携わってきた人間ならではの太陽のたとえが面白いと思いました。

【海洋面について】

ガガーリン15の合同インタビューで答えたものと同じ言葉がありました。
「黒っぽく見えました。時折、ところどころかすかにきらめきがみえました」と訳したものです。
ガガーリン15では、〔海洋面ではなく、地球の夜の面の見え方かも〕と書きましたが、海洋面で間違いないことがわかりました。
ちなみに江川卓氏は『宇宙への道』(新潮社)の中で「わずかに光沢をおびた黒ずんだ斑点のようだ」と訳しています。

【地球をとりまく色】
地平線の上に現れる青から黒への色の移り変わりについて、もちろん、ガガーリンはこの『ダローガ・フ・コスモス』でも語っています。インタビューや会見の時の演説とは、また、多少言葉遣いが違っています。(七つの間違い探しができるくらい、ほんの少し)
早速、訳してみましょう。

「私たちの惑星が丸いことを実感できたかどうか。もちろんできた。
地平線に目を向けた時、明るい地球の表面からまっ黒な空への鋭く、コントラストの効いた移り変わりが見られた。
地球は色鮮やかなパレットの絵の具のように私を喜ばせた。
地球はやわらかい薄青色の光の輪に包まれていた。
そしてこの帯はしだいに暗くなり、トルコ石のような空色から、濃い青色、すみれ色へとかわり、石炭のような漆黒へとなってゆくのだ」

Земля  радовала  сочной  паритрой  красок. 
Она  окружена  ореолом  нежно-голубоватого  цвета. 
Затем  эта  полоса  постепенно  темнеет,  становится  бирюзовой,  синей,  фиолетовой  и  переходит  в  угольно-черный  цвет.


【夜明けの虹色】
地球の夜から昼の部分へ飛行する時、地平線が虹色になるくだりもまた、『ダローガ・フ・コスモス』に書かれています。
江川卓氏は『宇宙への道』(新潮社)の中で、その色のうつりかわりの美しさを「かぎろい」という言葉を使って訳しています。名文です!

ですので、それを引用します。


「やがて地球の大気をとおして太陽の光線がもれてきた。地平線上が明るいオレンジ色に輝きはじめた。空色、青色、すみれ色、黒と移りかわる七色の虹のかぎろい。とても言葉にはつくせない色の諧調!まるでニコライ・レーリヒの絵を見るようだ」
Лучи его  просвечивали  через  земную  атмосферу,  горизонт  стал  ярко-оранжевым,  постепенно  переходящим  во  все  цвета  радуги  : к  голубому,  синему,  фиолетовому,  черному. 
Неописуемая  цветовая  гамма!!
Как  на  полотнах  художника  Николая  Рериха!


「かぎろい」とはなんでしょう。川崎市青少年科学館のプラネタリウムでは2005年12月、「かぎろい」の番組が上映されていました。かぎろいとは、厳寒の冬、太陽が昇る前に東の空に現われる鮮やかなスペクトルのことのようです。
江川卓氏はドストエフスキーの翻訳などで知られるロシア文学者。
それなのに「かぎろい」という言葉を知っていて、それを訳にあてはめたセンスと造詣の深さが素晴らしいです。

ガガーリンの口からニコライ・レーリヒの名が出たことにもびっくり。
レーリヒは、シャンバラに興味のある人には聞き覚えのある名前ですね。

レーリヒについては
ガガーリン27で。

ガガーリンINDEXはこちら

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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