ガガーリン43 名前に託されたもの
宇宙船の名前やコールサインに託されたもの。
1961年、ガガーリンが人類初の有人飛行を成功させた時の宇宙船の名前はВОСТОК(ボストーク。発音的にはヴァストークが近いです)。この単語の意味はご存知の方も多いと思いますが「東」のことですね。なぜボストークという名前なのでしょう。
ガガーリンは『宇宙への道』の中で、〔ボストーク〕は夜が東の空から明けるように、新しい時代を明ける、という意味をこめてなづけられたと語っています。
この1961年4月12日の飛行の際、ガガーリンのコールサインはКедр(ケードル)でした。これは英語ではcedar。「杉」のことです。
ガガーリン(ケードル)と交信する地上側はロケット設計責任者のセルゲイ・コロリョフを中心としたスタッフで、彼らはЗаря(ザリャー)のコールサインをつかっています。ザリャーとは「朝焼け」のこと。
また、無線はザリャーがつながらない時の手段として他のものが用意されていました。そのシステムの名前はВесна(ベスナー)。こちらは「春」の意味。
「東」「朝焼け」「春」・・・。
歴史的プロジェクトが4月に行なわれたものだからというのもあるかもしれませんが、新しい宇宙時代の夜明けを自分たちが切り拓くんだという意気込みの表れかもしれません。
寒い北の国の人々にとって、春の訪れに対する歓びはきっと私たちの想像を超えたもの。フルシチョフはガガーリンの快挙に触れ、「宇宙船ボストークの飛行は、いわば宇宙へ飛び立ったソビエトの最初のつばめである」と発言しています。
ボストーク時代の後、1964年10月、1965年3月に打ち上げられた有人宇宙船の名はВОСХОД(ヴァスホート)。こちらは「日の出」のことです。
ところで、ガガーリンのコールサインはなんで「杉」なのでしょう。まだ調べはついていません。
ちなみにボストークの1号から6号までに搭乗した宇宙飛行士のコールサインをみていくと。
1号 Гагарин ガガーリン Кедр/ケードル(杉)
2号 Титов チトフ Орёл/アリョール(鷲)
3号 Николаев Сокол/ソーコル(鷹)
4号 Попович ポポビッチ Беркут/ビェルクト(イヌワシ)
5号Быковский ブィコフスキー Ястреб/ヤーストレフ(鷹)
6号 Терешкова テレシコワ(テレシコーヴァ)Чайка/チャイカ(かもめ)
ガガーリンを除いてみんなコールサインは鳥の名前です。
なぜ、ガガーリンだけ植物名がコールサインだったのでしょう。
女性初の有人宇宙飛行を成功させたテレシコワの言葉「Я чайка./ヤーチャイカ(私はかもめ)」も日本では有名です。
ロシア語を勉強するまで、テレシコワが宇宙を飛ぶ様子を詩的に表現した言葉だと思っていたのですが、
彼女のコールサインで「こちらはかもめ」という応答していた言葉なんですね。
ガガーリンも地上とのやりとりの交信記録の最初はЯ кедр./ヤーケードル(こちらケードル)」と言っているのが交信記録でわかります。
交信記録の閲覧はロシアのサイトcosmo worldのこのぺージをどうぞご覧ください。ttp://www.cosmoworld.ru/spaceencyclopedia/gagarin/index.shtml?doc10.html
(ガガーリン4交信記録発見も参照ください )
ガガーリンINDEXはこちら
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