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2006年7月 8日 (土)

北欧/カレリアの丘にて

フィンランド民謡の花束

カレリアは森と湖の国フィンランドとロシアにまたがるところにある、森と湖沼が広がる地方です。
昔から「カレリア」という言葉をきくだけで、なぜか胸の奥がしめつけられるようななつかしさを感じてきました。
訪ねたことはないのですが、イメージするのは東山魁夷の描く北欧の森の世界。
うっそうとした樅の木がなだらかな大地に続いていて、その間に帯のように湖や沼が広がり、
空の淡いブルーを映している・・・というような。
あるいはどこまでも続く草原。短い夏を謳歌しようと風に揺れる野の草花。
そんな風景が浮かんでくるのです。

もし、そんな風景がお好きだったら、
そして「晴れているのになぜか哀しい」「美しすぎると哀しい」そんな風に感じることがある、という方だったら、
「カレリアの丘にて」は絶対、心にぐっとくるはずです。
この曲はカンドミノ合唱団(Candomino choir)の
「フィンランド民謡の花束」(ワーナーミュージック・ジャパン \1,050)というアルバムの中の曲。

一人がメインで歌い、その後ろで大勢の人が和音を合唱。というアカペラで歌われています。
ロシア聖歌は、声が一番神様に近い楽器ということで無伴奏アカペラで歌います。
もちろん「カレリアの丘にて」はフィンランドのフォークソングになるわけですが、カンドミノ合唱団の
声が積み重ねる和音のアレンジはどことなくロシア聖歌に近いものがあります。

詩は不思議な響き。英語とは全く似ていません。
時々巻き舌で発音されるところが印象的ですが、それでも強く歌い上げるという感じではなくて、
ふわっと声が広がります。しっとりとせつなく。草原の花や草の先で揺れる透明な光。
フィンランド版「わび」「さび」のような情緒を感じさせる名曲です。
アルバムの中の日本語詩を見ると、カレリアの丘では今頃白樺が茂って輝いている頃だろう、
と愛するカレリアの美しい風景に思いを馳せる歌のようです。

ところでこのアルバム、一時期、市販で入手できず、ツタヤなどのレンタルでもみかけませんでした。
図書館にはこのアルバムを所蔵しているところあるのでそれを借りて利用していました。
けれど、さきほどアマゾンをみたら購入ができることがわかりました。ので、早速注文!
7月8日現在amazon.co.jpでは在庫が3点です。気になる方はお早目に。
上のジェケ写をクリックしていただくとamazonのこのアルバムのページが開きます。

「カレリアの丘にて」が試聴できるサイトを求めて、ネットの森の中をアメリカからフィンランドのサイトまで
いろいろ散歩してみました。そうしたら、この曲のカンテレ演奏バージョンに出会いました。
カンテレ(kantele)とは、フィンランドの伝統楽器で、白樺などの木に弦を張った琴。澄んだ、
少し硬い素朴な音色を奏でる楽器です。このカンテレバージョンもすごくいいので、リアルプレイヤーが
入っている方はぜひぜひ聴いてみてください。

試聴できるサイトは「VIRTUAL FINLAND -YOUR WINDOW ON FINLAND」(英語)。
この中の「Arts&Entertainment」
The Kantele-Finland‘s national instrument
(このページはリンク切れになるかもしれないけれど貼っておきます)を開くと
下の方に「listen」できる3曲があり、その一番上が「カレリアの丘にて」Karjalan kunnaillaになっています。
演奏者はティモ・ヴァーナネン。映画「ナルニア国物語」でもカンテレを演奏した方みたいです。
ここで演奏されているカンテレは39弦あるようです。
なので、シンプル素朴な楽器というよりもパイプオルガンの「琴」版のように重厚です。
高音の澄んだ音、低音のずしりとした響きが気持ちいいです。
3分01秒聴けるのでフルコーラスなのでしょうか。
出だしはアレンジされていて「カレリアの丘にて」のメロディーをモチーフにした組曲っぽい雰囲気。
「カレリアの丘にて」の主旋律は2分06秒ぐらいからはっきりとおわかりいただけます。
(2010.12.2追記。現在上記のページはなくなっているようです。
重厚なカンテレが奏でる『カレリアの丘にて』すごくよかったんです。買っておかないで失敗しました。
今ネットで調べているのですがダウンロードまたは購入できるサイトがみつかりません。
わかりしだいあらためてご紹介します)

追記/アマゾンで購入したCDはすぐ手元に届きました。ただ廉価版だからでしょうか、
日本語対訳カードはありませんでした(←2006.7.8現在の情報です)。
日本語訳は図書館に所蔵されている旧版をご覧ください。

カレリア/karjala/karelia(英語)/Карелия(ロシア語)
カテゴリー・ガガーリンの「35北方任務」で
ガガーリンが語ったカレリア地方の描写をご覧いただけます。

「カレリアの丘にて」/原題は「Karjalan kunnailla」
英語で、「Mid hills of Karelia」という言い方も。

歌詞/『フィンランド民謡の花束』のアルバムの歌詞カードとは若干違うのですが、
フィンランド語研究者の松村一登氏がご自身のHPのフィンランドの歌の
     このページの中で原詞とご自身が訳された日本語詩を紹介されています。
楽譜/このページ。「Uralic Family Home Page」(英語)というHPにあります。
    
カンテレ演奏者ティモ・ヴァーナネン/Timo VaananenのHPはこちら

フィンランド語(たぶん)と英語併記 です。

星と楽しむ音楽INDEXはこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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