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2006年8月24日 (木)

ガガーリン48 原文探しダイジェストその2

ガガーリンの言葉とされている「地球は青かった」の原文探しの旅。
ダイジェストその2です。(その1はこちら)。

歴史的快挙を成し遂げた日(1961年4月12日)の翌日13日、着陸したボルガ湖畔でガガーリンは
ソビエトの新聞、イズペスチヤとプラウダの記者の合同インタビューを受け、以下のように語りました。
(地球の眺め、青いという描写に関するくだりを私の訳で抜粋。
原文のニュアンスを感じていただくためキーになる言葉は記事のロシア語のままで。
二紙に書かれているガガーリンの言葉に若干差があります。
記者が多少アレンジしてしまったのかもしれません)

<13日 記者の合同インタビューで>
「地平線を目にした時、地球の明るい面から真っ暗な空へ、
コントラストの効いたグラデーション(переход)が見えました。
私たちの惑星はガルボイがかったアリオールで包まれているようでした。
この帯は少しずつ暗く、スミレ色にそして黒へとなっていきます。
このグラデーションは言葉では言い現せないほど美しいものです(プラウダ版)」
「地球の明るい表面から、星の見える漆黒の空への色彩豊かなグラデーションを見ることができました。
その境目は非常に繊細で、まるで帯の膜(пленка‐поясок)が丸い地球を包んでいるようでした。
それは淡いガルボイ色でした。
そしてこのガルボイから黒への移り変わりはこのうえなくなめらかで美しいものでした。
言葉で伝えることはできません」(イズベスチヤ版)  cf.ガガーリン14.15

<14日 飛行機の中で>
14日、ガガーリンがモスクワへ戻る飛行機にイズベスチヤの記者が同乗。その時のガガーリンのコメントを
15日の紙面で書いています。ガガーリンは飛行機の窓の外に広がる光景を示しながらこう語ったようです。
「ほら、今と同じように、地平線に淡いガルボイ色の帯があったんだ。
その色はシーニー、濃いシーニーになってゆく。そしてこの色の連なりは濃い黒によって終わるんだ」
 cf.ガガーリン20

<15日 学者会館での記者会見>
15日、ガガーリンはモスクワの学者会館で科学者らとともに記者会見をおこないます。
ここでのコメントは「地球は独特のガルボイ色のアリオールに包まれていました」

<プラウダでの連載「ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)」>
このあとガガーリンの言葉が新聞で大きく取り上げられるのは、プラウダでの4月30日からの連載
「ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)」です。
ここでの文章は「それは淡いガルボイ色のアリオールで包まれていた」

ガガーリンに関する文献をそのほかまだ追っている最中ですが、今の段階で言えるとしたら。

 

 

 

「地球は青かった」の原文は「ゼムリャー ガルババータヤ」で、帰還後ガガーリンが記者に語った言葉。
だけれど、ガガーリンが地球の眺めを聞かれる都度、繰り返し語っているのは、
地球をとりまく青い大気の層の美しさ。
そして、宇宙船が地球の陰から出る時に見えた、太陽の光に照らされた地平線上に現われる
オレンジ色からガルボイ色、シーニー、スミレ色、漆黒の宇宙の黒へひろがるグラデーションの美しさ。

 

 

 

ガガーリンの言葉を「地球は青かった」の一言ですませるのはもったいないです。
直接的な言葉としては「地球は青かった」の原文は「ゼムリャー、ガルババータヤ」だとしても、
彼の真意としては
Земля окружена голубым ореолом.
ゼムリャー・アクルジナー・ガルビィーム・アリオーラム」
 と私は思います。
「ダ゙ローガ・フ・コスモス」の中の言葉を基に何度か繰り返しているフレーズと合わせて。

どう訳しましょうか。
ゼムリャーは「地球」。アクルジナーは、「ぐるりととりかこむ・とりまく」。
ガルビィーム・アリオーラムは「ガルボイ色のアリオールによって」という意味。
ガルボイは辞書などでは「淡青色・水色・空色」とでてきますが、
地球は水の惑星ということを実感できている今の時代だから「アクアブルー」がぴったりかなと。
アリオールは露和辞典をみると、「後光・光るものを取り巻く光の輪・光背」。
露英辞典だと「オーラ・ハレーション・ハロ」。
そこで、 
「地球はオーラのようなアクアブルーの光に包まれていた」
と訳してみたいです。cf.ガガーリン25

漆黒の闇に浮かぶ水の惑星。
それを思い浮かべながら「地球はオーラのようなアクアブルーの光に包まれていた」とつぶやいてみると、
なんか、じわーとうれしくなりました。
ダイジェスト版、もうちょっとつづきます。次は一週間後の予定です。
追記/46、48がうまくまとめられなかった気がして再度49で整理してみました。

ガガーリンINDEXはこちら

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  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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