タトゥーのせつない疾走感
昨日の続きでタトゥーについてもう少し。
t.A.T.uの何に惹かれるかというと、
1に楽曲。2に二人の声。
t.A.T.uの音楽を一言で表すなら「せつない疾走感」でしょうか。
「思い焦がれる」「闇を切り裂こうともがく」「はりさける」。
そんな世界がたまりません。
黒髪の尖った顔立ちのユーリャはパンチの効いた少しハスキーな声。
アグレッシブで怒りやひりひり感さえ感じさせます。
一方、金髪のレーナは、甘さの残るしっとりした声。のびやかな高音がはかなく消え入るニュアンスがいいです。
二人とも声質は基本的に近いと思うのですが、
アグレッシブ系とせつない系を帯びた絶妙な二つの声で歌うことが、
楽曲を奥深いものにしている気がします。
t.A.T.u.(ロシア語でTaty)の名の由来は
「Ta(タ/あの子は) любит(リュービット/好き) ту(トゥー/あの子を)」から取り、
「あの子はあの子が好き」という意味を含ませていると言われていますよね。
日本でブームが起こっていた頃、ステージなどで二人はたびたびキスやハグを見せました。
戦略なのか地なのか。
でも、「女の子同士で」っていう抵抗感をあまり感じなかったのは私だけでしょうか。
二人が抱きしめあう時、「女の子を好き」というよりも、
「自分が自分の中のもう一人の自分を愛する」という風に見えました。
たとえば引っ込み思案の女の子が、普段表に出さないけれど自分の中のアグレッシブな面を認め、
その影の面と一つに融合する、そんな風に見えました。
2003年、日本で大ヒットした時、
同世代だけでなく幅広い世代にタトゥーの音楽が聴かれたわけですが、
やはり一番影響力があったのは当時の女子高生だったのでしょう。
伝説的な集客人数の少なさで語られる東京ドームライブ(2003年12月)でも
多くの女子高生がタトゥーと同じステージに立ち(事前応募)、踊り弾けていました。
彼女たちにとって、タトゥーの存在そのものが、
自分の中のもう一人の自分自身だったのではないでしょうか。
大ブームは去ったわけですが、タトゥーの二人の過激さや音楽が、
女子高生たちが抱えている漠然としたもやもや、焦燥感の投影先になり、
あと一歩の勇気を出すきっかけになったり。
ムーブメントとして果たした役割は大きいのかなと思います。
t.A.T.uのおすすめの10曲を挙げてみます。
1
Я сошла с ума(ヤー・サシュラー・スマー)
ご存知タトゥー最大のメガヒット曲。All the things she saidのロシア語版。
『200km/H in the wrong lane』9曲目
2
Нас не догонят (ナス・ニ・ダゴニャット)
Not gonna get usのロシア語版。せつない疾走感そのもの。
『200km/H in the wrong lane』10曲目
3
Зачем я(ザチェム・ヤー)
せつせつとしたレーナの声とアグレッシブなユーリャの声の特徴が活きてます。
『I Don't Swallow』7曲目
4
Простые движения(simple motion/プラスティエ・ドビジェーニア)
ユーリャの震える声と心の叫び。ビデオクリップも秀作。
『Remixes』10曲目
5
Белочка(ビエラチカ)
何かがすとんと抜けたように透明感広がる世界。8月10日のブログでも。
『Поднебесная No.1』の2曲目。
6
Вся моя любовь(Vsya Moya Lubov/フシャ・マヤ・リュボーフィ)
タイトルの意味は「私の愛すべて」。クールでこの曲もせつない疾走感そのもの。
夏の終わりにもぴったり。日本ではDVD付きのスペシャルプライス盤に収録。
歌詞カードはなし。
『Dangerous And Moving』13曲目。
7
Защищаться очками(ザシシャッツァ・アチカミ)
意味は「めがねで防御」。言葉の響きと音への載せ方が良くて
ついつい聴いてしまいます。
『Твоя новая игрушка』(下の方にあるオムニバスCD)11曲目
8
Робот(ロボット)
ぴこぴこ、キュートです。
『All The Things She Said』12曲目。
9
Loves Me Not
せつない叫び。タトゥーらしい楽曲。
『Dangerous And Moving』4曲目
10
Югославия (ユーゴスラビア)
こんな風にとつとつと歌う楽曲が
もっとあってもいいなあと思います。
『Югославия』1曲目。このサイトでは試聴はなし。
上記のアルバムは日本で発売されているものと収録曲が違う場合がありますのでご注意ください。
星と楽しむ音楽INDEXはこちら
« t.A.T.u.のライブ(横浜)興奮しました | トップページ | メガスター 星の海に浸るしあわせ »
「 星と楽しむ音楽」カテゴリの記事
- 幻の名曲の名前がわかりました。一風堂の「NEVER MIND」(2017.08.16)
- きらきら星 と なんて素敵な世界なんでしょう!!(その2)(2016.04.24)
- きらきら星 と なんて素敵な世界なんでしょう!!(その1)(2016.04.24)
- 春の雨や曇りの日に聴きたくなる音楽(2016.03.14)
- 可憐で力強い名曲 西村由紀江の「野ばら」(2016.02.07)
コメント