太田由希奈に魅了!ドリームオンアイステレビ放送
昨夜は待ちに待ったドリームオンアイス2006の放映日。
7月17日に新横浜のスケートセンターに見に行ってからずっと心待ちにしていたのです。
しかし19時から放送がはじまっても20時すぎまで私は(`д´)や(´・ω・`)な気分でした。
それは太田由希奈が放送されないこと。
今回も浅田真央、安藤美姫中心の放送かと諦めきっていたころ、彼女の出番となりました(^o^)。
久しぶりに太田の演技をテレビ画面でみられてうれしかったです。
太田由希奈の「スワンレイク」。
「はんなり」という言葉がぴったりの演技でした。
太田の場合、エッジの氷へのあたりがやわらかっていう気がします。
テレビ放映では滑る時にシュッシュッという音が聞こえる事はあまりないですが、
実際にリンクで観覧しているとエッジが氷を削る音が目立つ選手も時々います。
たとえば、ロシアの女子スケーター、ブッテルスカヤ。
彼女はいつも、ジャンプのあとバランスを崩し、エッジで急ブレーキをかけるみたいにしてバランスをとるので、
氷への当たりが「キツイ」というイメージがありました。
太田はそれと真逆。身体もやわらかい。足首もやわらかい。
2002年に初めて見た時、怪我には一番無縁の選手と思っていました。
なのに怪我。皮肉なものです。
やっと怪我から回復と思ったのですが、昨日、「太田の怪我は完治することがない」という実況を聞いて、せつなくなりました。
そこまで深刻なものだったなんて。この2年間、どのくらいの絶望と希望を繰り返したのか。
自分の思い描くスケートに身体がともわないはがゆさを表現者としてどのくらい悔しく感じたことか。
だからこそ、インタビューでの太田由希奈のコメント「スケートは私の人生。
切り離せない。私を表現する手段」という言葉はファンにとってうれしいものでしたね。
今回もジャンプは完璧ではなかったものの、やはりどのスケーターの演技よりも魅了されました。
録画したものを何度もリピートして見てしまいます。
八木沼純子さんも「所作が綺麗」と表現していましたが、
太田でなければ生み出せない、伝えられない「美しい体の動き」がそこかしこにありました。
たとえば、レイバックスピン。
アクロバティックなビールマンスピンをやったわけではないのですが、
胸をそらし、両手を天へと伸ばして廻った後、片手を肘のところで折り曲げる形で下ろす。
その肘を中心軸として廻るのですが、肘が描く「く」の字が美しいフォルムを創りだしていました。
元祖ともいえる上体をそらしておこなうイナバウアーも健在。
両足を前後に180度開いて氷上に座りこむフィニッシュの時、
カメラがその手の表情をしっかり映してくれていたのもグッジョブ!でした。
スケートって美しさも大事だけど、もちろんスポーツでもあるので、
通常はジャンプが決まらないと見栄えがしない演技になります。
緩急メリハリをつけ、スピーディー、シャープという印象を生み出すのは、
高速スピンや、ジャンプで飛び上がる時の勢いだったり、
空中を細い軸でくるくるっとまわり、着氷するダイナミックさ。
その要素がなくて魅了してしまう太田のスケートに、フィギュアスケートの持ついろんな可能性を感じます。
氷上のバレリーナという称号を与えられている彼女だけれど、
今回、平均台をおこなう体操選手のしなやかさに通じるものを感じました。
なめらかに柔らかく身体を動かしながら、要所要素でピッってポーズを決める様子が。
ふと、子供の頃テレビでみた(あー、年齢がばれる)チェコの体操選手チャフラフスカを思い出しました。
ベラ・チャフラフスカ。あくまで、小さい頃見た時のばくぜんとした印象なのですが、
女性の身体の優美、気品を感じさせる選手でした。
彼女に通じる太田のクラシカルな優美さ。
私よりも年上で、チャフラフスカの当時の演技を覚えていらっしゃる方にうかがってみたいものです。
その他の選手ですと、浅田舞もやはりいいですね。
ジュニアの頃から百合のような気品を醸し出していた選手。
ジャンプが不確実で上位にいけなくてもしっかりと自分の世界を創り出し、表現できています。
安藤美姫の「I believe」は彼女の魅力が存分に引き出された名プログラム。
とくにストレートラインステップの振り付けが好きです。
荒川静香はすべての動きに癖がなく、
バレエのアラベスクのようなポーズで片足を伸ばして滑る時もただ伸ばすのではなく、
手を添えてやわらかく伸ばしてから、さらにピンと足を伸ばしきるところとかこまやかさを感じました。
ドーナツスピン、上体そらしのイナバウアー、ビールマンスピン。
彼女には無理と思われたものを次々とこなしていくのはたぶん身体も心もものすごく素直なんでしょう。
そのうえ、努力家で、人一倍の鍛錬を続ける精神力と、それに応えることのできるタフな身体を持っている。
アスリート&表現者として大成する要素を全部持っているのですね。
長野五輪で「素質は感じられるけどね」で終わってしまった少女がここまで自分を磨けるとは、「味」を身につけられるとは。
と人間の可能性に感動します。
たぶん、これからも彼女のスケートはさらに深まっていくでしょう。
また、癖のなさ、素直さと努力できる心身をもってすれば、
最初は下手であってもどんなジャンルのことも身につけて自分のものにしてしまうんだろうなと確信します。
演技が終わったあとのお辞儀は選手が素に戻ってその人柄がかいまみれるところですが、
その場面ですらカルメンになりきったままお辞儀をした村主章枝も見事。
今年もベテランとしてフィギュアスケートを支えてほしいです。
塩沢さんは発声のいい男らしい声で「キメたがる」実況をするのでフィギュアスケート中継では少し違和感を感じるのですが、
ジョニー・ウイアーの時の「力のこもったマイウエイでした」は、
ぴったりした言葉をいいタイミングで語ってくれたなとうれしくなりました。
ドリームオンアイス その1
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