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2006年8月29日 (火)

ガガーリン49 ダイジェストをまとめなおしてみました

ガガーリン4648のダイジェストがうまくまとめられなかった気がして、再度整理してみました。
ご興味があって46、48他を読みすすめてきてくださったのに、少しわかりづらかったという方はもう一度こちらをご覧いただければ幸いです。(長文です。少し角度を変えておりますが46、48と重複しています)

ガガーリンの有名な言葉「地球は青かった」のロシア語原文についてですが、
まず、ロシア語の「青い」には二つの単語があります。голубой(ガルボイ)とсиний(シーニー)。
色調をおおまかに分けると、ガルボイが水色~青、シーニーが青~藍色といえるでしょう。 〔1〕 〔2〕

ですので、「地球は青かった」という、地球(主語)―青い(述語)になるようなロシア語文を推測すると、
ゼムリャー・ガルバーヤもしくはゼムリャー・シーニャヤとなります。
(ゼムリャーは地球。その後の言葉は名詞の性に合わせ、ガルボイ、シーニーが変化)。
ロシアの検索エンジンでこれらに近い文がすぐヒットするはず、と思いきや
どんぴしゃなものがなかなかみつけられません。

そこで、ガガーリンがボストークに搭乗していた時の交信記録を見ることにしました。
発表されているものを見た限りでは、やはり、
「ゼムリャー・ガルバーヤ」もしくは「ゼムリャー・シーニャヤ」に該当するような発言は見当たりません。

そのかわり、ガガーリンがもっと細やかに宇宙からの地球の眺めを報告していることがわかりました。

その主な2つは
1)地球の際(きわ)に美しい青い光の層が見られる
2)地球の陰から出る時に、地平線上にオレンジ色~青~スミレ色の色の連なりが見られる  
です。 〔4〕 〔5〕 〔6〕 〔7〕

さて、交信記録で原文らしいものがみつからなかったため、帰還後の発言を見ていくことにしました。

日本の新聞(代表的な3紙)に【ガガーリンは語った「地球は青かった!」】というような見出しは
ありませんでした。
ですが、
朝日4/13夕刊は
【空は暗く、地球は青色 米・アフリカ沿岸など識別 ガガーリン少佐語る】の見出しのもと
『空はとても暗かったが、地球は青みがかっていた』というガガーリンの言葉を紹介。
毎日4/13朝刊は
【米国、アフリカよく見えた ガ少佐語る 空暗く、地球は薄青】の見出しのもと
『空は非常に暗かったが、地球は薄青色だった』
読売4/13朝刊は
ガガーリンの言葉として『空はとても暗く地球は青みを帯びていたと記しています。

これらの出所はイズベスチヤ4月13日掲載のオストロウーモフ記者による着陸地点からのルポ。
イズベスチヤ原紙を見るとガガーリンの言葉として、
Небо очень  й очень темное , а Земля  голубоватая .
「ニエバ・オーチン・イ・オーチン、チムナーヤ、ア・ゼムリャー・ガルバヴァータヤ
」とありました。

ガルバヴァータヤは「ガルボイがかった」という意味です。
「空は非常に暗かった。一方、地球はガルボイがかっていた」。
構文から判断しても、日本の新聞の見出しになった元であることを考えても
この言葉が「地球は青かった」の原文と言えるのでしょう。 〔9〕 〔10〕

けれど、交信記録のところでも触れたように、
ガガーリンが地球を「青」という言葉で語る時、その多くが地球をとりまく青い層の記述。

4月12日の交信記録では 〔6〕 〔7〕
По  краю Земли, по краю горизонта такой красивый голубой  ореол. 
地球の縁、地平線の際は非常に美しいガルボイ色のアリオールになっています。


4月13日の合同インタビューでは  〔14〕 〔15〕
Наша планета была как бы окружена ореолом голубоватого цвета. 
私たちの惑星は、ガルボイがかったアリオールにとりまかれているようでした。
(プラウダより)

Перехот этот очень тоненький,  как бы пленка‐поясок,  
окружающая земной  шар.  Она нежно‐голубого цвета .

地球と空の境い目は非常に繊細で、まるで地球の球体をとりまく膜の帯でした。
それは淡いガルボイ色でした。
(イズペスチヤより)

14日 モスクワへ向かう飛行機の中で
ガガーリンはイズベスチヤの記者に窓の外を示しながら
Там вот так же, как сейчас, на горизонте бледна-голубая полоска.
ほら、今と同じように地平線上に薄いガルボイ色の帯があったんだ」

(このあと続いている言葉は〔20〕を)

15日にモスクワでおこなわれた記者会見で 〔21〕
Земля имеет очень характерный очень  красивый голубой ореол.
地球にはとても独特で美しいガルボイ色のアリオールがありました。
(プラウダより)
Земля окружена  характерным голубым ореолом.
地球は独特のガルボイ色のアリオールにとりまかれています。
 (イズベスチヤより)

4月30日からプラウダで連載のガガーリンの手記
Дорога в космос/ダ゙ローガフコスモス(彼の代表的な著として後に出版)では
 〔23〕
Она  окружена ореолом  нежно-голубоватого цвета.
地球は淡いガルボイがかったアリオールにとりまかれていました。


以上が帰還後、ソ連の新聞で報道されたガガーリンの主なコメントです。
(テレビ、ラジオはチェックできていません。新聞は1961年の夏頃まで。
 その他ガガーリンのコメントを集めたロシアの出版物をチェック)

これをみると、変化形も含めて「Земля」「окружена」「голубой」「ореол」
繰り返し語っていることがおわかりいただけると思います。
つまり、発言をまとめてみると、

帰還後ガガーリンが一番伝えたかったことは、
Земля окружена голубым ореолом.
ゼムリャー・アクルジナー・ガルビィーム・アリオーラム。



ではないかと思うのです。

ゼムリャーは「地球」。
アクルジナーは、「とりまかれる」という意味ですが、ニュアンスとして「つつまれる」がしっくりしそうです。
ガルビィーム・アリオーラムは「ガルボイ色のアリオール」によって、という意味です。

ガルボイは辞書などでは「淡青色・水色・空色」とでてきますが、
地球は水の惑星ということを実感できている今の時代だから「アクアブルー」がぴったりかなと考えます。
アリオールは露和辞典では「後光・光るものを取り巻く光の輪・光背」。露英辞典だと「オーラ・ハレーション・ハロ」。

そこで、 「地球はオーラのようなアクアブルーの光に包まれていた」と訳してみたいです。 〔25〕

つまり、
「地球は青かったの」の原文は「ゼムリャー・ガルバヴァータヤ」で、
彼が見た「青」はシーニーではなく「ガルボイ」。
けれど、本当に彼が感動し、伝えたかったことの真意は
「地球はオーラのようなアクアブルーの光につつまれていた」と現段階ではまとめてみたいと思います。
 〔〕内の数字は、カテゴリー「ガガーリン」の関連ページです。

ガガーリンINDEXはこちら

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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