すべての星はどこかに属している
クイズです。南十字座の星の数はいくつ?
A)明るい4つの星が十字を作っているのだから4つ。
B)いくつかすぐにはわかりません
星座を正しく捉えているのは、B)ですね。
私はプラネタリウムでのリラクゼーション番組に関わらせていただいてきましたが、
星が好きといっても「文系星班」。
どちらかというと天文音痴ということはすでにカミングアウトしている通りです。
大人になってから「南十字座は4つの星だけではない」と知った時の驚きは今でも忘れられません。
オリオン座もそう。星座早見盤などで3つの星を囲む4つの星の並びを中心とした星々が線で結ばれていますよね。
右手でこんぼうをふりあげ、左手には獅子の毛皮の盾を持ち、肩幅が張ってウエストがシェイプされ筋骨隆々に見える猟師オリオンの姿。
あの星々だけがオリオン座だと思っていたのです。
星座は星座絵に示されている星を示すものではなく、
〔領域〕を示すものだと知った時の衝撃と感動。
全天に88星座あるということはこの地球を取り巻く星空を88の領域に分けたということ。
オリオン座、牡牛座はいわば東京都、神奈川県いうエリアを示すものだったなんて・・・。
星座の本を見ると、確かにオリオン座と牡牛座の間に県境のような点線があり、
猟師オリオンの星座絵を描くのに参加していなくてもオリオン座に属する星がいっぱいあることがわかります。
すべての星はどこかの星座に属している。
街の雑踏の中で仰ぐ空には、ポツポツとしか星がなくて、
それぞれ〔はぐれ星〕に見えたとしても、すべてどこかに属しているのですね。
スターライトヒーリングを五島プラネタリウムを経て、サンシャインプラネタリウムで開催させていただいた時、
当初星のお話はプラネタリウムの解説員の方々が生でおこなってくださいました。
が、一つの番組にナビゲーターと解説員二人の声が混ざらないほうがいいだろうということで
星のお話も私が書き、ナビゲーターに語ってもらうことに。
そこで、星の原稿は必ず藤井常義館長のチェックをいただいていました。
その時、藤井館長が繰り返し語られたのは「来場者がオリオン座が星座絵に描かれる星だけと誤解するような説明はしないこと」でした。
たとえば、「3つの星を囲む4つの星の並び、(オリオン座の星座絵を出す)ここにオリオン座が輝いています」
だと誤解させてしまいます。
修正例
「3つの星を囲む4つの星の並び、(オリオン座の星座絵を出す)オリオンの姿をかたどるこれらの星や周辺の星を含めこのあたりがオリオン座」というように。
南十字座の場合「一等星を含む4つの明るい星が十字を作っています。これが南十字座」
だと誤解を生みそう。
修正例は「南十字座はこのあたり。一等星を含む4つの明るい星が十字をかたどっているのが目印ですね」。
スターライトヒーリングはリラクゼーション番組として、説明テイストではなく星のエピソードを語ってきましたが、
誤解を生みそうなものに関しては言葉のボリュームを割いても正しく伝わることを心がけること。
叙情と科学性の両輪。
そんなことを藤井館長から教わってきた気がします。
ある時、地球外知的生命体へのメッセージを搭載したボイジャー計画について翌月のプログラムで取り上げたいのに資料探しが難航していた時、
「いい資料があったよ」と目を輝かせて館長が渡してくれださったこともあります。
星を愛する方達が天文について語られる時、
皆様目が輝き天文少年少女になり、時空間をワープしてしまうものだと感じました。
さて、藤井館長(今でも館長と呼ばせていただくのが私には自然なのでこう書かせていただきます)は
現在千葉市立博物館のプラネタリウムでの解説他様々な活動をされていらっしゃいます。
家庭用星空投影機ホームスター付録の「星空解説ハンドブック」を手がけられたことをご存知の方も多いことでしょう。
この「星空解説ハンドブック」でも、
『星座は星空を区分した場所。星が全く無い部分も星座の一部。日本地図を広げた時、県に相当する部分が星座、県境は星座の境界・・』
という冒頭の言葉ではじまる藤井館長の星座の解説に触れることができます。
拝読するたびにうれしく感じるともに、
叙情性と科学性の両輪をあらためて心がけていきたいと身をひきしめるきっかけにさせていただいています。
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