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2006年9月 3日 (日)

「天地水 月光浴」展の青い微粒子

東京の大丸ミュージアムで開催されている石川賢治月光写真展「天地水 月光浴」で至福のひとときを過ごしてきました。
前回の同場所での「月光浴 20年の旅」の時も一人で行って、2時間ぐらい滞在したでしょうか。
ミュージアムがあるのはデパートの12階。でも会場を入ったとたん、別世界。
明かりを落としたほのぐらい空間の中で石川氏が月の光だけで撮影された地球の森羅万象に囲まれていると、
私たちも今ここで本当に月の光を浴びているような感覚になります。

五感で展覧会を感じるように、会場内に自然の音が流れ、植物のインスタレーションもあります。
自然の音は石川氏の月光浴写真撮影に同行されたこともあるナチュラルサウンドアーティスト中田悟氏によるもの。
ひょうたんスピーカーから流れる虫の音などが、大自然の中にいるような臨場感をおこしました。
蒼いスポットライトに照らしだされたプリミティブな植物のインスタレーションも石川氏の写真の世界が再現されたようで、
さらに月光浴感覚を醸し出していました。
(インスタレーションを手がけた方のお名前を控えそこなってしまいました)。

ライフワークとして月光浴写真を撮り続けてこられたからこそ。
その場所は海の中からオーストラリア、アフリカ、京都、ハワイ他、そしてヒマラヤの果てまでに及びます。
世界のさまざまな大地、動物、植物の姿が捉えられているのです。

大地の上に巨岩がごろんとあるオーストラリアのデビルスマーブル、
奇岩が並ぶピナクルズの写真はプリミティブで他の惑星の光景のようでした。

マダガスカルのバオバブのシリースも神秘的です。
(サン=テグジュペリの『星の王子さま』でもおなじみの植物ですね)。
バオバブは枝がなく丸太のような幹が天に向かってスックとそびえています。
その幹は先端になるといきなり枝が触手のように細分化。
そんな樹形のバオバブたちが月の光を浴びている様子は、
まるで、宙へ手を伸ばして天と交信しているようでした。

ハワイで撮影されたムーンライトが作り出す夜の虹の美しいこと。
青い闇に浮かび上がるほのかに白い光のアーチ。
何時間でも眺めたくなるものでした
(確か前回の展覧会の時は、この夜の虹の作品の前に椅子があって私もずっと座ってしまいました)。

月下美人が月光を浴びて咲いてゆく作品のシークエンスからは、甘い香りが漂ってくるようでした。
銀閣寺の向月台の写真も大好きです。すーと身がひきしまる気がします。

中国の黄山の写真の幻想的なこと。青い空気の中に浮かび上がる尖った山々と深い谷間のシルエット。
まるで仙人がでてきそう。
キャプションに『墨絵は写実だった』というようことが書かれていて、すごいと思いました。
墨絵は景色の一部をデフォルメしたり省略しているからこそ幻想的な世界に描かれているはずなのに、
目の前に墨絵の光景がそのまま広がっているなんて。
まるで墨絵の掛け軸のような黄山の写真にみとれました。


月光浴写真の青い世界の神々しさはなんでしょう。
一枚一枚の写真から光の微粒子のようなものが発散されている気がします。
NASAなどによる宇宙からの地球写真では、地球をとりまく青い大気の層のグラデーションが見られますよね。
石川賢治氏の月光浴写真の数々に収められている〔神秘的な深い青〕は、
宇宙から地球を眺めた時の青い大気の層のグラデーションにつながると思います。
青い光の微粒子が細胞にしみてゆきました。

大勢の来場者がいらしていましたが、静寂な神聖な空気が場内を包んでいます。
ほのかな暗さの中で他の方を意識せず自分の世界に浸って写真と向いあえます。
最近、夜の静寂、闇を忘れてしまったなあという方はぜひ、いらしてみてはいかがでしょうか。
地球の森羅万象と一緒に満月の光を浴びているそんな月光浴を体験できます。9月5日(火)まで。

石川賢治氏の公式HPはこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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