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2006年10月24日 (火)

グノーのアヴェマリアのおすすめ3作品

22時22分にいただいたメールをきっかけに、
10月15日、10月21日、父とグノーのアヴェマリアについて書かせていただきました。
今回はグノーのアヴェマリアのお薦めアレンジ3曲をご紹介します。

「グノーのアヴェマリア」と便宜上言っておりますが、
正確には、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の1曲目の前奏曲に、
後にグノーがメロディーをつけた作品。
今流にいえば、バッハとグノーのコラボ、といえる楽曲です。

グノーがメロディーをつけるベース曲となったバッハのこの前奏曲は、
映画「バグダット・カフェ」でも印象的に使われていたのを覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。
確か黒人の少年がバッハが好きで、いつもピアノでこの曲を弾いていたんですよね。

お薦めの3曲。
まず最初は、スラヴァ(SLAVA)が歌うアヴェマリア
アルバム『アヴェマリア』収録曲です。
カウンターテナーであるスラヴァの歌声は、透明でつややかで甘くて、
生身の身体を持った人間から発せられた声という気がしません。
このアルバムでは、スラヴァはさまざまなアヴェマリアを歌っていて、
すべての曲が素晴らしい名盤。
カッチーニのアヴェマリアも心の琴線が震えるはずです。

さて、スラヴァの歌う「グノーのアヴェマリア」。
どんな感じかといいますと、強い声で高らかに光を放つ!というわけではなく、
薔薇色に染まった雲のような静かなよろこびに満ちたエーテルがスピーカーからもわもわ~と広がる雰囲気。
ろうそくのささやかな炎の明るさとあたたかさを感じさせるようなおごそかさがいいです。

日本のアマゾンではこちらが、スラヴァのアルバムのページです。

ave maria


次は、フィリッパ・ジョルダーノ(Filippa Giordano)の歌うアヴェマリア。

フィリッパ・ジョルダーノ

 

イタリア人、フィリッパ・ジョルダーノは
60年代風にみえるファッションに身を包んだビジュアルや顔立ち、
そして洗練されたコケティッシュな雰囲気から、
ディーヴァ(歌姫)界のオードリー・ヘップバーンだなって思います。
『フィリッパ・ジョルダーノ』という彼女自身の名前がついたアルバムに
グノーのアヴェマリアは収録されています。
ピアノが奏でるドミソドミソドミから始まるのではなくて、オーケストラをバックに歌唱。
チェロ(ですよね)の低く太い音色や、ヴァイオリンのピチカートの軽やかさの間を自由に舞うように流れるジョルダーノの歌声。
きよらかだけではない絶妙なバランスとなっています。

 

3番目にご紹介したいのは、ノア(NOA)が歌うグノーのアヴェマリア


Noa

 

上記の二人のアーティストはおなじみの方も多いと思います。
一番CDに出会いにくいのがノアかもしれません。
ノアはイスラエルで生まれ、NYで育ちながらも、
イエメン人であるというルーツが色濃く感じられる歌姫。
パット・メセニーのプロデュースによる『NOA』というアルバムで、
ノアは歌とパーカッションを担当。
歌の半分ぐらいはヘブライ語でしょうか。
歌詞カードの文字も読めません。
イエメン人というルーツを感じさせるこぶしのような独特の節回しは、
エキゾチックだけど魂に響くなつかしさ。
そしてこのアルバムの最後の曲がグノーのアヴェマリアです。
ギターがバッハの平均律のピアノのメロディー、ドミソドミソドミをアレンジした調べを奏でます。
それにあわせてノアが英語で歌っています。

ふんわり透明というよりも、繊細だけど突き進む力を持つ声で歌われるアヴェマリア。
歌詞もいいのです。
「ねえ、マリア様。私は調和をとって生きていないことを恥ずかしいと思っているのです」という言葉もあります。
闇の中でもがき、マリア様を慕い、また、懺悔をし、闇を切リひらきたいと願っている。
そんなひたむきな想いを感じます。
だから、私がこのアヴェマリアをリピートしたくなるのも、
何かもがきながら、光の方へ行きたいと願っている時が多いです。

ノアのアヴェマリアでは「サーンターマリーア」という歌詞のところが 
英語で Hey,There,Maria!となっています。
この呼びかけ、本当にノアが、聖母マリアを実体ある存在として感じているのが伝わってきます。

きっと、生まれてからずっとマリア様を感じて、
話しかけて、救いをもとめてきたんだろうな。
いつも、マリア様に見守れている気持ちで生きてきたんだろうなって、
信仰の確かな裏打ちを感じます。
マリア様っていうとクリスチャンでない私には、慈愛に満ちた聖母像としてのイメージだけど
ノアにとっては、もっと近しい存在なんだなあと思います。
最後、アラブ的な節回しで声をひゅるんひゅるんさせて歌うアーメンという言葉も祈りが込められているのが伝わってきます。

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コメント

こんなに色んな方が、歌っていらっしゃるの
ですね。。。

emiさんからのコメントからは、日本情緒溢れる^^家庭の楽しい雰囲気が伝わってきて、
思わずニッコリ。 
それと同時に、emiさんやお父様の心の奥底に
ある静謐さも感じました。
(上手く言えませんが)

いつか機会があったら、ぜひ聴いてみたいです♪
今度、どうかリンクを貼らせて下さいね。
m(_ _)m

おんぽたんぽさん。早速ご覧いただきありがとうございます。日本情緒溢れる家庭の楽しい雰囲気っていっていただけてうれしいです。
そして、「静謐」というのは私が日ごろ、ものすごく惹かれるものであるので、おんぽたんぽさんがこの言葉を出されたことにうれしい鳥肌が立ちました。
私からもぜひリンクをさせていただけたらと思っています。

静かな喜びって良いですね。
ブログ再開しました
更新はあんまりしないかもしれませんが

ポポ手さん。ブログ再開、待ち望んでいました!
しばちゃんにすぐ会いにいきました。
これからも折々楽しみにさせていただきます。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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