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2006年11月13日 (月)

堤江実さんによるポエトリーリーディングのよろこび

詩人堤江実さんのファンです。
作品だけではなく、一人の女性としてこんな風に年を重ねていけたらいいなと思う憧れの女性です。
私が担当してましたプラネタリウムでのヒーリングプログラム「スターライトヒーリング」では、
アーティストの方に構成、音楽すべておまかせしたこともあります。
渋谷・五島プラネタリウム時代だったので6年以上前のことですが、
光栄にも、堤江実さんにもこの形でおこなっていただきました。
満天の星の下での堤江実さんによる詩の生朗読。
音楽は堤さんがコンビを組んでいらっしゃる佐藤より子さんによる選曲、という番組。
至福のひとときを創りだしてくださいました。

その堤江実さんがポエトリーリーディングのワークショップを開催されています。
以前から興味があったのですがタイミングが合い11月11日の一日ワークショップに参加しました。

堤さんの今回のワークショップは、たとえばプロのアナウンサーになるためのテクニカルなことを覚えるというものではありません。
正しく上手く読むということよりも、詩の言葉に触れながら心を開いて気持ちよくなること。
素直な心で言葉を発し、その思いを伝えることにおもむきをおいたワークショップです。

詩は、美しいこと、よろこびなどではなく、哀しいこと、
人間の業や過酷なことに目を向けた詩であったとしても、どこかに生きていく強さなど感動させる何かがあるはず。
だから、皆様にお聞かせしてしあわせな気持ちをおすそわけしようと思う時に、
よろこびにあふれた詩を選ばなきゃって思う必要はないんです、
というようなことを堤さんが語られたのですが、
そうなんだわとしみじみと感じました。

確かに、今まで自分が読んできた作品を考えても、
人間の業を鋭くえぐりだした小説と詩では何かが違うのかもしれません。
詩だったら、たとえハードな内容でもどこか読後感には救いというか光が感じられる気がします。
「詩」と「ヒーリング音楽」って近いのかもしれません。
ただ、美しい言葉やメロディーを並べただけでは心を癒すことはできない。
一方、綺麗事じゃない激しい詩や、穏やかさとはほど遠い、激しく揺さぶったりメランコリックな音楽が、
心の中の埋められない何かに触れ、そこを癒すかもしれないのですよね。

お昼を挟みながら一日ご一緒した参加者の方々。
堤さんのワークショップを何年来も経験していらっしゃる方から私のようにはじめての方まで。
お年も戦争や激動の時代を生き抜いてこられたダンディな紳士の方から若い女性までさまざま。
あらためて、声の力を感じました。
今日お会いするまで、お一人お一人がどんな人生を歩んできた方なのかはお互いにわからない。
それでも、「声」にはいろんなものが現われるものなんですね。
人生の年輪やキャラクターというものがにじみ出ている気がしました。

たとえば、何かをご相談した時、この方はこうお答えなさるだろう、この方はこう励ましてくださるだろう、
そんなことまで、声をうかがいながら推測ができてしまう。
声に性質が現われるというよりも、声そのものに性格が宿っているのかもしれません。

堤さんも語っていらっしゃいましたが、人生経験を積んだことによる声の説得力も素晴らしいですし、
若い世代の方のまっすぐな無垢な輝きが放つ説得力も素晴らしいものでした。
参加者の皆様、朗読をナリワイとはされていない方ばかりです。
それなのにお一人お一人のポエトリーリーディングが心を揺さぶります。

星もない普通の明るい空間で、想いをのせた「声」がこれだけ心に届くんだもの。
星に包まれるプラネタリウムの空間で「声ができる」役割はもっともっと可能性があると感じました。

好きな詩を発表しあうポエトリーリーディング楽しいですね。
朗読ブームなのですから、カラオケボックスではなく、みんなで朗読しあう朗読ボックスがあってもいいですよね。
一篇一編の詩のイメージビデオと音楽が画面に現われ、それを朗読するという。

お一人お一人の朗読に佐藤より子さんが音楽をその場で合わせてくださる時は、
一つ一つの詩の世界にどんな曲をチョイスされるのか、
その絶妙さに触れることも選曲も仕事とする私にとっていい刺激となりました。

最後は堤江実さんご自身による朗読。みんなで聞きほれました。
堤さんの声の魅力は華があるけれど、香水ぷんぷんというのではない品のある華やぎ。
大人の知性を感じさせるけれど、冷たくはないあたたかな声。
ふんわりほのぼのというのではなくて、ぴしっとしていて凛としているのだけれど、やわらかさがあるということ。
よろこびやあたたかさ、と威厳、凛としたってイメージとしては正反対のようですが、
堤さんご自身の声、話し方にはその両方が存在されていて。だからこそ憧れなのかもしれません。
「同性のどんな声が好きか」そこに、その人がなりたい「像」がみえるのかも。
私の場合は、よろこびやほのぼのを伝えるけれど浮つかない、媚びない。
凛としているトゲトゲではない。やわじゃない。そんな女性でしょうか。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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