こせのりこさんの静かに熱いピアノ
今週の月曜日11月27日は、原宿でこせのりこさんのコンサートがありました。
私も当日スタッフの一人としてささやかながらお手伝いをさせていただきました。
今回のコンサートは、ニューアルバム『forest』を中心にした楽曲を、
チェリスト諸岡由美子さんをゲストに迎えてのコンサート。
晩秋の夜にふさわしい、心に深く響くコンサートでした。
こせさんのピアノ音楽も、ピアノ&チェロの組み合わせも。
ふわふわっと心を浮き立たせるというよりも、
浮ついていたものがすーと自分の身体の中心、丹田あたりに戻ってくるような音楽。
組み合わせがフルートやヴァイオリンではなく、やはり、ずしりと腹から下に響いてくるチェロと。
というのが今回の演目にぴったりで、
こせさんの柔らかくもダイナミックでもあるピアノと諸岡さんのつややかなチェロの音色もよかったでした。
スタッフのお一人が、コンサートの後、
こせさんのピアノ音楽の印象を「力強くそしてあたたかい音色」と語られましたが、本当にそうだなと思いました。
私のイメージではこせさんの音楽はケーキにたとえるとザッハトルテ。
小ぶりでこじゃれた名前がついて、技巧的にいろんな飾りがついているケーキではけっしてありません。
また、アメリカンタイプの大ぶりで軽い、さくさく系でもありません。
濃厚でほろ苦くて、ずしりとくるザッハトルテのような音楽。
ニューアルバム『forest』の中の「forest」他の楽曲も、
たぎるような思いを感じさせるところがかっこいです。
繊細な音色と力強さ。
そして内在する情熱。奇をてらう技巧より、直球で聴き手に訴えてくる。
人間と同じですね。こせさんの音楽のそんなところに安心できるのです。
『Forest』のジャケットは武田双雲氏による「森」という文字が印象的ですが、
当日パンフレットにこのコラボが実現したエピソードをこせさんが書いていらしたので了承の上、ご紹介します。
「このアルバムを作ろうと思い立った当初から心に決めていたのがこのジャケットの墨文字です。
時の風雲児・武田双雲さんに頼みたい!という思いが初めからあり、
一度は諦めかけたものの、どうにも諦めきれずに「ダメモトで」とアプローチしました。
「まずは音を聞かせてください」というお返事にラフミックスの音源を送りました。
数日後「書かせていただきます」とのお返事。「よっしゃ~!」って感じでした。
見事なこの迫力はアルバムに大いなる勢いを頂いた気持ちです。
(by こせのりこさん)
女性が創ったアルバムに墨一色で太い文字で「森」ですよ!
「女性ピアニストのアルバムね」で済ませず、
双雲氏がその音をしっかり受け止めて、
それを表現されたのがわかります。さすが時の人になるだけの感覚だわ!と思いました。
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