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2006年12月13日 (水)

ガガーリン56 来日その6 ガガーリンが語るテレビ出演の思い出

ガガーリン45でも書きましたように、
дорога в космос(ダローガ・フ・コスモス)」はロシアでさまざまなバージョンがあります。
ソビエト連邦では1961年4月から6月にかけて新聞プラウダ紙にシリーズとして掲載。
その後、加筆して同年に一冊の本にまとめられました。

その後、1963年、1969年にも加筆版「ダローガ・フ・コスモス」が出版されていることは、
それぞれの現物が日本ロシア語情報図書館にあることから私自身が確認しています。

何が加筆されているのかといいますと、
宇宙から帰還後ガガーリンが世界各国を歴訪した体験などですね。
1962年5月の日本滞在も、1963年、1969年出版の「ダローガ・フ・コスモス」には掲載されています。
1961年版にはもちろんですが、掲載されていません(この時点では未来のことですものね)。

さて、日本語に翻訳された「ダローガ・フ・コスモス」はどうなっているのかといいますと。
日本も様々なバージョンがあることはこのブログ内のガガーリン45で触れたとおり。
「ダローガ・フ・コスモス」のタイトルをそのまま日本語に訳した「宇宙への道」というものから、
「地球は青かった」というタイトルになったものまで、そして内容も完訳版からダイジェスト版までさまざま出されています。

これらすべては1961年版の書籍「ダローガ・フ・コスモス」もしくは新聞寄稿記事が元。
つまり、私の今までの調べですと、ガガーリンが日本滞在について語った文は日本語に一度も訳されていないのです。
日本で紹介されていないはずです。

もったいないことです。なぜなら、興味深いエピソードが一杯書かれているから。
たとえばガガーリンは日本のテレビの普及ぶりやさまざまな放送番組に感心したようです。
その一つとして圭三ショーについてこう書いています。訳してみます。


私たち(ガガーリン夫妻)と一緒に多くの人がスタジオに招かれていました。
早稲田大学の学生。南極から戻ってきた南極探検隊のメンバー。
50年以上前に日本で最初のパイロットとなった徳川氏の夫人。
日本でロケット設計の研究をしている糸川教授など。
その他に私がボストークで有人宇宙飛行をした日に誕生し、1歳になったばかりのNちゃん。
(私メモ:このブログではイニシャルにしますが、
ガガーリンはこの本の中でその名前をきちんと記しています。Mさんの娘さんです)。
この番組を見た方がとてもよかったと感想を伝えてくれました。
特に、私が1歳のNちゃんを抱き上げ、何度もキスをするところがよかったのだと。

打ち合わせもなくその場で私がおこなったことでした。
私はNちゃんが他の日本の子供達と同じように、戦争を知らないですむように、
彼女の人生がずっと平和で創造に満ちたもので、
豊かな才能や勤勉な国民性を発揮できるものになるよう願いながら、心からのキスをしました。

日本初の飛行士徳川氏は健康状態を考慮してご自身はテレビスタジオに来ることはできませんでした。
けれど映像で登場しその声が流れました。
普段着姿の老紳士徳川氏は、
「あなたが最初に宇宙飛行を遂行したことに大変満足しています。
その宇宙飛行士と直接お会いできないのが残念です。
日本とソ連の人々が末永く平和で友好的に暮らすことができることを望みます」
と語られました。
着物姿の徳川氏の夫人が私に記念のプレゼントをくださいました。
それは夫の徳川氏が日本ではじめての飛行を成し遂げた時の飛行機の模型でした。
私はこのプレゼントに感謝しながら、徳川飛行士への敬意をお伝えしました。
そして、徳川氏が最初に飛行機で飛び立つことができたのとほぼ同時期に
ロシア人飛行士達も飛行のパイオニアとしていくつかの国際的な記録を獲得していることもお伝えしました。

それから、私は思い出します。
100年以上前に世界で最初の飛行機をつくったロシア人モジャイスキー氏が乗船員のひとりとして
日本の沿岸をフリゲート艦ディアナ号で航海中に、
おおしけにあった日本の漁師たちを救ったことを。
モジャイスキーが当時の下田湾を描いた絵の複製画を私からのプレゼントとしてご主人に渡してくださるよう徳川夫人にお願いしました。


この他にも圭三ショーについては、
ロケットの研究をしている糸川教授他の日本の学者たちの座談会が番組の放映時間を越えて続いたことが書かれています。
(あくまで私の解読によると、
なのでロシア語の心得のある方はぜひ日本ロシア語情報図書館で原本をごらんください。
1963年版ですとp284~286、1969年版ですとp287~288です)

ガガーリン来日その5はこちら その7はこちら

ガガーリンINDEXはこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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