ロシア聖歌---静謐な声の重なり
ヒーリング、聖歌というとグレゴリアンチャントを思い浮かべる方も多いことと思います。
リキミが抜けている男性の声の節回しの心地よさ。すーと気持ちが鎮まって広がってゆくような深い安らぎ。
その宗教に属していない者でも敬虔な気持ちにさせられる何かがありますよね。
ロシア正教聖歌も素敵な曲があります。
私はロシア聖教徒ではない部外者ですし、わずかな曲しかしらないのですが、
気づくとずーと1日中リピートしていた、という曲もあるのです。
門外漢ではありますが、ロシア正教とロシア聖歌について簡単にご紹介します。
間違って解釈しているところがあるかもしれないので、詳細をお知りになりたい方は専門書をごらんくださいませ。
ロシア正教はギリシャ正教の流れを汲むキリスト教。
カソリック他との一番の違いを教会建築など目にみえる様式他いくつかの例をあげれば、まず十字架が違います。
いくつかの種類があるようですが、たとえばこの写真のように、
十字を作る縦の棒の下に斜めに短い棒が、縦の棒の上にもう一本短い横棒がある十字架もあります。
それからクリスマスは12月25日ではなく1月7日です。
教会にはステンドグラスの代わりに、イコノスタシスと呼ばれるイコンの連なりが内壁面を飾ります。
イコンというのはロシア正教の聖人を描いたフレスコ画ですね。
そして、ロシア聖歌の特徴はというと、無伴奏で声だけで歌われること。
これは、人間の声が一番神に近づけるもの、という考え方によるようです。
さて、私が出逢って魅せられたロシア正教の聖歌の1曲。
それはチェスノーコフ作曲の「我等汝を讃栄し」。
男性の低い声が何十にも重なってゆっくりとハーモニーが移り変わってゆく楽曲。
心が鎮まります。静謐という言葉がぴったり。重厚。それでいてスペイシーな感じがします。
家で何時間でもかけていたくなる曲ですが、
この曲が一番ぴったり合うシチュエーションの一つが車で高速などをスムーズにドライブしている時かなと思うのです。
スピーディーとは無縁の曲なわけですが。駒は速い回転で回っている時は止まっているようにみえますよね。
速いというのと「動きがない」というのは正反対に見えて共通するものがあるのかもしれません。
ライトが果てまで続くゆるやかなカーブをなめらかに車で飛ばしながら、
(私は運転できないので、乗車してフロントガラスの向うでなめらかに移り変わる景色をみながら)この音楽を聴く。
すると、自分の中心に自分がおさまるような、不思議な集中力を感じます。
『禁じられたロシア正教聖歌集 Ⅰ』
(ちなみにⅡは出ていないみたいです)はビクターから1993年に出されたアルバム。品番VICC-119。
禁じられたロシア正教聖歌集(I)
こちらの3曲目が「我等汝を讃栄し」です。
何時間でもリピートしたくなる曲なので、この曲のためだけにCDを買っても惜しくはありません(主観)。
図書館で所蔵しているところもあります。
私がこのアルバムに出会ったのも図書館でした。ぜひお近くの図書館を調べてみてくださいませ。
♪メモ
チェスノーコフ「我等汝を讃栄し」
Chesnokov 「We Praise Thee」←youtubeでこのキーワードで聴けるものもあります。
Павел Григорьевич Чесноков「Тебе поем」
Тебе поем, Тебе благословим, Боже наш.
Тебе благодарим, Господи.
И молимтися, И молимтися, Боже наш.
И молимтися, молимтися, Боже наш.
И молимтися, молимтися, Боже наш.
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