夜のしじま イヴァン・リンスのアイランド
もう12月。秋の夜長というよりも、冬という言葉がふさわしい季節になりました。
あたたかくした部屋で、夜、明かりを落とし、お酒や一杯のおいしいお茶でバーのようにくつろぎたい。
「夜のしじま」そんな言葉が似合うようなひとときを過ごしてみたい。
そんな夜にぴったりなのがブラジルのイヴァン・リンス(Ivan Lins)の「コメサール・ヂ・ノーヴォ(comecar de novo)」。
この曲、コード進行が複雑ということなのでしょうか。
次のメロディーが予測つかないんです。短調なのかなあと思うと明るく転調したように変わって、また一瞬に戻るような。
その不思議さにうっとり。
夜の深い色の河の水面で時折揺れる街灯のオレンジ色。
もしくは、褐色のコーヒーに渦を描いて溶けてゆく白い生クリーム。
そんな感じで、濃い暗い色70%に明るい色30%が織り交ざっているような曲です。
タイトルのcomecar de novoとは「夜明け」という意味のようですが、
詩の内容は実は曲から推測するものとは違います。
この曲は「ジ・アイランド(The island)」というタイトルと英語の詩で多くのアーティストにカバーされています。
こちらの歌詞の方が隠微な雰囲気の内容で、この曲調にぴったりです。
ジ・アイランド。日本ではMonday満ちるもアルバム『4 seasons』の中で英語で歌っていますが、
このアルバムのライナーで紹介されている訳詞がこの曲のなまめかしさを伝えていてすごくいいです。
様々なアーティストのカバーによる「comecar de novo」を全部聴いているわけではないのですが、
ジャズバンドの大編成だったり、豊かな肉体&たっぷりとした声量で高らかに歌い上げるテイストのものは
この曲にはあまり合わない気がします。
私がいいなと思うのは、
イヴァン・リンスの「ジュントス(Juntos)」というアルバムの中の「comecar de novo」。
ヴェロニカ・サビーノという女性とイヴァン・リンスが歌っているのですが、
二人とも、こってり、とは無縁の水彩絵の具をスーッとのばしたような歌声がいいです。
特にイヴァンリンスの声。クラシックのカウンターテナーとは違うけれど包容力のある甘さが酔わせます。
耳で聴く声というよりも肌で聴く声というかんじです。
ジュントス
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