ラフマニノフとロシア聖歌
セルゲイ・ヴァシーリエヴィッチ・ラフマニノフ。
その音楽はメランコリック、激しくたぎるような想いがほとばしるもの。
土着的で力強く深く。それでいて気が遠くなりそうに甘美なメロディーも織りまぜられて。
心あらわれる清らかさ「浄」を持ちながらポピュラー音楽に通じるようなメロディーもあり、
「聖」の中に「俗」や民族的な「族」が自然に融合した音楽。
いろんな要素を持つラフマニノフの世界にロシア魂を感じます。
ラフマニノフはロシア正教の典礼のための曲も作曲しています。
まずは『晩祷(ばんとう) op.37-無伴奏合唱によるミサ』という作品。
この中の「至高きには栄光」は、 空の雲が割れて光が差し込み天使が降りてくる。
そんな風にハーモニーが光を帯びている気がします。プラネタリウムで流すと、プラネタリウムの空間が教会のドームに変わります。
星の光と声の光にまーるく包まれている気持ちになれる気がします。
Rachmaninoff: Vespers ROBERT SHAW FESRIVAL SINGERS
7曲目が「至高きには栄光(Glory To God In The Highest)」です。
もう一つ、ラフマニノフによるロシア聖歌でおすすめは、
ロシア正教会典礼音楽『聖ヨハネス・クリソストモスの典礼』の中の1曲、
「我ら 汝に歌わん(тебе поем/チビェ・パヨーム)」
Тебе поем, Тебе поем,
Тебе благословим,
Тебе благодарим, Господи.
И молимтися, и молимтися Боже наш.
И молимтися Боже наш.
英語では「S. Rakhmaninov We Praise Thee」で検索すると資料をみつけられるでしょう。
この楽曲は、カウンターテナーのスラヴァ(Slava)も歌っています。
アルバム『ヴォカリーズ(Vocalise)』の中の一曲「クワイエット・メロディー(The Quiet Melody)」が、
該当曲、ラフマニノフの「我ら汝に歌わん」です。
ライナーノートを見ると
”ロンドンでもっとも響きが美しいと評判のオール・セインツ教会でアカペラ(器楽伴奏なし)で収録された”
と書かれています。ベラルーシで生まれたスラヴァが、
声だけで紡ぎだすロシア聖歌の重厚なハーモニーに親しんでいたから、
声の多重録音のアルバムを発表されたのかななんて思いました。
「クワイエット・メロディー」。
スラヴァが低音の重厚な響きから甘いハイトーンボイスまで全部を自身の声で重ねています。
波立つ心がすーと凪いでいくような静けさが広がる1曲です。
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