中野友加里---努力はオーラに顕れる
年末年始はフィギュアスケートの放送三昧。はや、半月が経ってしまったのですが、
印象的だったことを少しずつまたアップしていきます。まずは中野友加里。
以前からトリプルアクセルをこなす技術がありましたが、
ここまで洗練された選手になると思っていませんでした。
私達は選手の日常はうかがいしることができません。
選手を見ることができるのは年に何回かの競技。
一度の競技でもしテレビで公開されるとしても公式練習、
本番前のウォーミングアップ、ショート、フリー、そのあとのキス&クライ。インタビュー。エキシビション。
もし、一年間のすべての試合が放映されたとしても一人の選手の姿を見られるのは365日のうちの正味1日にも満たないでしょう。
それでもリンクに立つ選手を見ると、競技以外の時間の過ごし方が察せられます。
一つには体つき。どのくらい絞れているか。
それから、シーズンが始まってからはどのくらい次の競技までにプログラムを練り上げているのか。
技の難易度をあげていたり、つなぎを工夫してプログラムをバーションアップしているかで、頑張りを感じたりします。
それが特に感じられるのが最近の中野友加里。
いろんな状況にふてくされることなく、練習を積んで毎年毎年進化していることに感動します。
今は間違いなく、魅せることのできるトップスケーターの一人と言えるでしょう。
何よりも、できる限りの練習をしてリンクに立つ姿は自信と気迫がみなぎっています。
彼女をみていると、誰にも知られない陰の努力、地道な精進はいつかその人を輝かせるオーラとなって顕れるものなんだ、
って教えられる気がします。
彼女の演技は持ち前のシャープさ、すがすがしさに、女性的な優美さが漂うようになりましたね。
インタビューでは、真面目で負けん気が強いことを感じさせますが、
負けん気の強さをアスリートとして正しい方向に向けていると思います。
私の勝手なイメージですと、中野友加里は音楽にあわせて自ら表現する力があるかどうかではなくて、
振付がきまったら、それをたゆまない練習で身につける精神力と身体能力に秀でているのかなと。
巻き足はおいといて、美しいポジションを頭と体で覚えつくしている気がします。
たゆまず練習して客観的にいろんな角度からどう見えるかまでを意識しつくしている気がします。
闘争心。地道でハードな練習をこなす身体能力。それに応える精神力。
競技でははなやかな衣装をまとうのが女子スケーターだけれど、アスリート魂を感じます。
そして、ショートのさゆりは名プログラムですね。
すべてが中野のテイストにぴったり。あげた髪。うなじ。
後ろがVになっているコスチュームの背中のライン。
演技前、リンクに立つ姿だけで、和服の女性の後ろ姿を彷彿とさせるたたずまい。
滑りもなめらかしなやか。スピンやスパイラルで両手を夢見る乙女のように頬の下に重ねる姿他、
誰もがおこなうポーズに一味「東洋的な」テイストが加わっているところが効いているプログラムですね。
1月4日放映のショーの、傘を持ってすべるさゆりも素晴らしかったです。
演技のフィニッシュで、傘をもう一度差して、すこしはにかんだ様子でうつむきます。
そのあと、拍手に包まれながら、しばらくはにかんだような表情のままでした。
そして顔をあげてみんなに挨拶をする。その間がぞくっとするくらいよかったです。
解説では、中野は今期、表情とか目線とか気をくばるようになったと言うけれど、
あの演技後の間は計算じゃなくて、さゆりになりきった中野がさゆりのまま、
顔をあげてみんなをみるような感じがして、惹かれました。
バンクーバーを目指して、たゆまず研鑽してゆくだろう中野友加里。
これからもどんなスケートをみせてくれるのか楽しみです。
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