コンビニで働く人は街の守護神
皆様のお住まいの近くにはコンビニはありますか。
コンビニで働いている友人はいらっしゃいますか。
コンビニ。主婦の方はスーパーで買い物することが多いはずからあまり利用しないかもしれません。
けれど、もろもろ、コンビニって町で一番重要スポットの一つじゃないかと思うのです。
様々なジャンルで光を放っている方々をご紹介するカテゴリ「光り人」。
今回は家の近所にあるコンビニA店とB店で働く3人をご紹介
(A店で昼間働く30歳前後の男性。
A店で深夜から朝まで働く30~40代の男性。
B店で夜働く50歳前後の女性)。
この3人。私は「カリスマコンビニスト」と心の中で呼ばせていただいています。
まずA店の30歳前後の男性。
人って、自分が何者かを主張しなくても、発している空気で伝わるものがある。ということを感じさせます。
ごく普通にコンビニの制服を着て、ごく普通に声かけやレジをして接客をして。
それなのに何かが違うのです。
一言で言うと「澄みやか」。(※こんな単語はありませんが、「さわやか」&「澄んだ」のニュアンスで)。
何かが違う。コンビニの派手な色のうわっぱりを着ているけれど、雰囲気は「牧師」さんに近いんですね。
コンビニの中に入る時、鳴る音はピポンピポンだし、おでんの匂いはするし、
教会とはまったく似てもにつかない店内なのに、
この男性がいる時に店に入るとどこかおごそかな感じがします。
このコンビニに入る時は、牧師さんに逢いにいく、みたいな気持ちになります。
実は、以前、路上でご老人が落し物をした時、この方が屈んで一緒に探している場面をみたことがあります。
ある時は、マスクをしてレジに立っていた時、おばちゃんに、「あら、風邪なの~」とか心配されていました。
たぶん、「こんな息子がいたらいいわねえ」って思われるタイプ。
大げさにいうと、この男性が私たち町内の人を愛していて、それを町内の人も感じ取っている、ということかも。
私のことも覚えてくれているようですが、余計な会話をしたことがありません。
でも人って「型通りの挨拶」の中にもその人の人格とか内面のあたたかさとか伝わるものだなと痛感します。
私自身、仕事の一つで接客もあります。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」一つでも心をこめると何かが違うっていうのを肌で感じて、とても勉強になります。
B店の女性は、ゆるいウエーブに少し明るい色の口紅。
マダムと呼びたくなる華やかさと、子供は男子二人かなと思えるおばちゃんバイタリティがミックスした女性。
コンビニの制服を着ていても充分おしゃれな雰囲気が出ています。
ですが、つんけんな感じが一切なく、目じりには笑いじわ。にこやかに接客される女性です。
夜遅くなって、終電で帰るぐらいの時にこの店を利用します。
やはり、プライベートな会話はしません。「まあ、遅くまで仕事?」とか訊かれることもありません。
でもお釣りとレシートを受け取る時の「ありがとうございました」の笑顔に、
「今日も一日お疲れ様。おかえりなさい」みたいに言ってくださっている想いが感じられます。
3人目はA店の30~40代の男性。たぶん、私とあまり年はかわらないのでしょう。
夜から朝の時間帯の勤務のようです。
私はこの男性がいる時に店を利用することはあまりないのですが、結構ファイトの素となっています。
「夜、帰りが遅くなったけれど、これから家に戻っても徹夜だ~」っていう時、
このコンビニの前を通って、この男性が働いているのをみると、
「この人も明日の朝まで働くのか~。寝静まった時に働くのは自分だけじゃないんだ。私もがんばろう」
って気持ちにさせられます。
早朝から仕事で出ることが多い私。
いつもこの男性をガラスの外からチェックしています。
早朝はお客さんの出入りがあまりないのですが、いつも何かしら動いていらして「やすめ」の姿勢をとられている時がありません。
特に冬の早朝出勤の時は、このコンビニの明かりにほっとしました。
まだ夜が明けず、駅までの道のりも真っ暗。
その中で、唯一明るいコンビニは、ヘンゼルとグレーテルが森の中でお菓子の家をみつけたぐらい、心のたよりになりました。
そして、この男性が働いているのをガラスの窓越しに見て、「私も早朝からがんばろう」ってモチベーションをあげたのでした。
自宅の近くのコンビニってとても影響力が大きいと思うんです。
一人暮らしの人にとっては、一日のはじまりに最初にあうのがコンビニの人。
一日の最後にあうのがコンビニの人ってことも多いはず。
みんなが寝静まった時間なのにきびきび働いている人をみたり、きちんとした接客を受けたら。
「今日は一日いやなことばかりだったな」っていう人の気持ちもほんの少しかわるかもしれません。
コンビニも指導が厳しいでしょうし、問題がある接客をする人はいないと思うのですが、
バイトなどで働いている人でも大きな役割を担っていることを誇りに持ってほしいです。
ホテルでの接客や一流ブランドで高価な買い物をするセレブな顧客相手の仕事でもない、
八百屋さんのように常連さんと会話をしながら、ねぎったりおまけしたりみたいなやりとりもない。
自分のカラーも出せない仕事。だなんて決して思わないでほしいです。
コンビニのお仕事ってあのスペースにいろんなものが揃っていて、
陳列からレジからエトセトラいろんな仕事がそれを2~3人でこなすのだから、
一つ一つの仕事を身につけるだけでも大変でしょうけれど。
コンビニで働く人は街の守護神と言っていいかもしれません。
住まいに一番近いコンビニは交番よりも頼りになるかも。
何よりも一階にあって、通りに面していてガラス張りで働いている姿が見えるというのがポイント。
お店を利用する人はもちろんのこと、利用しなくても、夜中にその明るさを頼りにするetc.町の重要なスポットになっているのです。
親元を離れている友人の一人は、実家のすぐ近くにコンビニができて、
そこで働いている人がとても感じがよく、あの人が親の近所にいてくれると思うとほっとしたと語っていました。
交番のおまわりさんではないし、
何かあって近所のコンビニに助けを求めるってことは具体的にないにしても、
親が住んでいるところのすぐ近くで24時間誰かが必ず起きている。そう思うだけで安心する気持ち、すごくわかります。
「この人が近所にいてくれてうれしいな。一日の最初にあう人でうれしいな。
一日の最後に会う人でうれしいな」「この人ががんばって働いているから私も今日一日がんばって働こう」
コンビニで働いているあなた。気づかないだけで、仕事ぶりを誰かがみていて、そんなあなたを励みにしているかもしれませんよ。
でも、どうがんばったらいいんだろう。
レジの時に何か親しげに話しかけなきゃいけないのかな、
なんてプレッシャーにならないでくださいね。
ごく普通に元気に明るくマニュアルにそった声かけと仕事をするだけで充分。
働いていれば不愉快なお客さんもいるだろうし、プライベートでもいろいろあるでしょうし、
そんなことがあっても「元気に明るく」を保つだけで大変な努力なのですから。
「一生懸命元気に明るく真面目に」。ただ、それだけ。
その繰り返しだけ。
それだけで尊くて、「私もがんばろう」っていう気持ちに結果的にまわりがなるのだと思います。
« 星愛で(その16)「星愛で茶会」でいろんな宝物 | トップページ | コンビニと教会と »
「 光り人(hikari bito)」カテゴリの記事
- 三浦大知沼にズブズブ~。肉体がある歓びを200%表現する姿に鳥肌!(2023.02.03)
- 感染の危険を覚悟しながら命がけで救おうとする医療従事者の姿にジーン。(2020.04.19)
- U18の試合。マウンドに立つ仁王、西くんが私のMVP(2019.09.08)
- 山下弘子さん。どんな時も輝いていました。(2018.03.26)
- その輝きはまるで火打石の火花かマグマ。高校生の和太鼓演奏。気迫、ほとばしるエネルギーに圧倒(2017.09.25)
晴佐久昌英氏の詩集『だいじょうぶだよ』に載っている
「ぼくらの街のセブンイレブン」という詩を思い出しました。
コンビニで働くひとにファイトをもらうこともあるのかあ・・・
私も誰かの元気の素になれるように 一つ一つの仕事に気もちを込めよう・・・
って思いました。
投稿: Orange | 2007年5月10日 (木) 12:03
Orangeさん。はじめまして。
実は友人から電話をいただきました。晴佐久昌英氏の「ぼくらの街のセブンイレブン」の詩を知ったらびっくりして、感動するからって。
電話口で朗読してもらって、セブンイレブンを教会にみたてるこの詩と晴佐久昌英神父の感性がとてもうれしくなりました!
ふてくされているよりも、きびきびしている方がきっと端からみていても、また自分自身も気持ちがいいだろうから私もできるかぎり、ぞんざいより、丁寧、心をこめてを心がけようと思います。
投稿: emi | 2007年5月11日 (金) 18:31
共感しました
以前別のブログでコンビニやスーパーの店員は一々「千円札ばかりで宜しいでしょうか」「一万円からで宜しいでしょうか」とうっとおしいという意見を読んで
随分ごう慢な人だなぁ、ナニサマだと思っているんだろう自分を……と、思ったことがあります
こちらの意見はいつも優しくて心がホッコリします
Macで文字化けしてしまうのでうまく書けたか気掛かりですが
投稿: ポポ手 | 2007年5月13日 (日) 22:39
ポポ手さん。
あたたかいコメントありがとうございます。
きちんと文字化けせず受け取りました。
言葉づかいのクレームがあって、大手ファミレスでは、「一万円から」とか「~でよろしかったでしょうか」という言葉づかいはしないようにと徹底させているというニュースをみたことがあります。
言葉づかいも大事だけれど、バイトで働いている若い世代が言葉づかいに気をとられすぎて、萎縮しないようにしてほしいですよね。
投稿: emi | 2007年5月14日 (月) 04:37
http://d.hatena.ne.jp/maonima/
触発されてこんなのを書きました
大学の同級生も感動のメールくれました
今度彼女と星愛で茶会行きたいです
またそういうイベントがあったら告知してくださいね
投稿: ポポ手 | 2007年5月19日 (土) 21:33
ポポ手さん。早速拝見させていただきました。ありがとうございます。
ポポ手さんのおばあちゃまもコンビニを利用していたのですね。
「バイトの子でさえ親切でにこやか」
「ノーブレスオブリージュの日本人的表現かもしれない」のお言葉、なるほどって思いました。
星愛で茶会。ポポ手さん、同級生の方にもいらしていただけるよう、力を整えて次の開催を目指したいです。
投稿: emi | 2007年5月19日 (土) 23:08
今現在、コンビニでアルバイトをしようと思いましたので、大変助かりました。街で働く姿が勇気づけられる方もいますし、安心感を与えられるアルバイトになれれば良いです。本当に元気が出ました。
投稿: ポパイ | 2008年2月20日 (水) 20:02
ポパイさん。はじめまして。コンビニでバイトをされるのですね。コンビニは棚卸や次々新商品の登場とかで覚えることいっぱいで大変でしょうが、本当に街の中で重要な役割だと思います。
私は今も朝早く出る時、コンビニの中を覗きます。お店に入ることはないけれど、働いている店員さんの姿を、私も今日一日がんばろって思います。
最初に会う人がコンビニの人、最初に「仕事をしている姿」を見るのがコンビニの人ってこと多いです。
風邪ひいた時、ほとんど部屋着のままスポーツドリンクやゼリーを買いにいき、素顔を一番見せているのも地元コンビニって人も多いはず。
たくさんの人がポパイさんのコンビニに訪ねてくることでしょう。
がんばってくださいね!
投稿: emi | 2008年2月20日 (水) 20:56