日米対抗フィギュア０７ 真央とジャンが圧巻

日米対抗フィギュアをテレビで見ました。
圧巻は浅田真央とキャロライン・ジャン。

【浅田真央】
まだシーズンはじまりでありながら、別格の仕上がり。
大人っぽくなりましたね。衣装が落ち着いたブルー系だからというだけではなく凛とした雰囲気。
「ちっちゃくて細い真央ちゃん」のイメージがまったくなくなり、「手足が長く背の高いすらりとしたお姉さん」という風情。

ノクターンとまったく違う曲調と振り付けが浅田真央の持つ品格と秘めた激しさとを引き出していました。
ストレートラインステップいいですね。腕や上体の大きな使い方。
激しさが胸を打ちます。タラソワさんが関係しているときいて納得。
去年までは、腕を伸ばして滑る時とかふんわり感が無防備な感じがしましたが、それがありません。
去年まで妖精で地上より少し上を舞っていた真央ちゃんがしっかり地球に足を下ろしたという力強さすら感じさせる雰囲気。
それでもドスドス重力を感じさせるというわけではなく、着地したのはジャスト氷の上、スルスルなめらかに滑っていると思わせます。
そして、ふわりとリキミのないアクセルジャンプの着地などに、今までのふんわり真央がかいまみれるのもうれしいです。
キス＆クライでもまわりに愛想をふりまくでもなく真剣に点数を待つ様子。
インタビューでの受け答えにもほわっとした様子がなくなりました。演技も人間としても素敵に成長しているのを感じられます。

EXもいいですね。腕が肩からだけではなく背中から動いていて身体を大きく使っている演技という解説もありましたが、
力強くしなやかに波打つように腕を動かすたびに、観客席に空気が波打って届くのではないかと思えました。

【キャロライン・ジャン】
見事。
技がないつなぎのところでも、腕や指先の使い方、目線などでスパニッシュな踊り子を演じきり、
技術だけではなく表現力の非凡さもたっぷり見せましたね。
スパイラル。天井までぴんと伸ばした足の美しさ。
後ろ手で足を持つスパイラルポジションも、スピンの上体を思いっきりそらしてからのビールマンスピンも素晴らしい。
EXでたっぷりとみせるイナバウアーもスピンのバリエーションもスパイラルもどの一瞬も濃いです。
音楽を掴むセンスと技術と度胸。楽しみな１４歳ですね。

【ジョニー・ウィアー】
EXがよかったでした。髪を切り少し印象が変わりました。
どこかユリア・セバスチャンのような東欧系の女性スケーターの雰囲気を醸し出している気がしました。
もちろん力強さは男性的ではあるのですが。滑り込んでプログラムをどんな風にまとめていくのか楽しみです。

【高橋大輔】
後半のストレートラインステップは今年も渾身の振り付けですね。
ジャンプは転倒すると体力をものすごく消耗するとうかがいますが、
後半にあれだけのステップを控えながら、
４回転を二度挑戦する姿勢に「アグレッシブに今年も行くぞ」という決意表明を見た気がしました。

【長州未来】
丁寧に指先まで意識して滑っているところが好感持てました。
ダブルアクセルのときのふわっとした着地の美しさ。
スパイラルの時の挙げた足のポジションの美しさ。
点数以上に光るものを感じさせました。
観客を惹き付ける魅力がありますね。

【水津瑠美】
女性的な体型だけどシャープ系。
最初のスピンの時、軸足がまったく位置がずれなかったり、
細かなところできちんとできていて目を引くところがありました。

【安藤美姫】
去年以上にさらにひきしまった体つき。
きちんと練習をこなしているだろうということがうかがえます。
怪我がこれからも心配だけど根性も総合力もありますね。
EXのハート。見ごたえあって素晴らしかった。祈りや叫びが体全身から感じられて。
うわつかないこういう切々とした曲で滑るのが合っていますね。

【村主章枝】
カメラワークがよくなくて、近くでみたい演技が遠目であまりわからなかったのが残念。
他の選手がらくらくとやっている足挙げスピンがまだ完璧とは言いがたいですが、それでも挑戦しているところがすごいです。
村主の場合、今シーズンは何を表現したいのか、何を克服してみたいのかが気になるアスリート。
EXのコケティッシュな世界でみんなを引きつけられるのは村主ならでは。
違う面を出そうと思うのかEXでコミカルやセクシーなものを披露する若い選手もいますが、村主クラスだからこそ成立するのでは。
若手は真央や安藤のEXみたいにできるだけ王道、端整を追求したプログラムで滑ってほしいなと思います。