オリガ---飛翔するロシア語の美しいひびき
以前韓国の言葉って、ニュース映像の声明などでしか接していなかったので、
とてもいかめしい&勇ましい響きの言葉だと思っていました。
冬ソナに夢中になった時に、各俳優の語る言葉の美しさに酔いしれました。
ハングル語ブームが起きることにも納得。
同じように、ロシア語って無骨と感じていらっしゃる方も多いと思うのです。
私も昔はそうでした。
テレビの政治家の声明などで、ぶつぶつとセンテンスを区切りいかめしく話す様子を見て。
けれど、ロシア語も触れれば触れるほど、本当に美しい響きの言語の一つだと思います。
実はボサノヴァとかにもぴったりあうんですよ。
そして、ロシア語の美しい響きを堪能できるといえば歌姫オリガの歌。
一昨日の20日、そのオリガのコンサート(原宿クエストホール)に行ってきました。
8年ぶりのコンサート。歌声もさることながら、独特の節回しがとても気持ちいいのです。
ひゅるんひゅるんと声が会場を飛翔します。
声質、稀有の魅力を感じます。ふわーとしていてます。
でもそのふわーって小野リサみたいなふわーではなくて、
どこかストリングスみたいに締まるところがありながらのふわー。
絵のタッチでたとえていうと薄くにじんだ色が広がるというのではなく、濃い細い線がすーと延びている、
けれどその線の周りに溶け合うように薄くにじんだ色合いが霧のようにやわらかく広がっている、というかんじ。
決して油絵のように濃く太い線がどこまで突き抜けるというのでもなく。
だからこそ、幽玄、はかない世界を感じさせます。
20日はエレクトロニカの歌姫としての面も披露しながらも、アコースティックなライブがおこなわれました。
故郷ノボシビルスクからのグループ「2+1」と一緒に。
オリガの歌とキーボードのみ。オリガの歌とバイオリンとシャラシャラのみをはじめ、
シンプルでアコースティックな編成がよかったでした。
声質以外でもオリガに魅せられるのは、言葉のメロディーへの乗せ方の独特さ。
おなじみの言葉が不思議な語感でよみがえります。日本語による歌も、こんなにも日本語は美しい響き
だったのかと再発見。
独特の節回しで声がひゅるんひゅん飛翔する。そんな歌姫が大好き。
コクトーツインズ(イギリス。ケルティックな雰囲気)
サラ・マクラクラン(カナダ)
オフラ・ハザ(イスラエル)
ノア(イスラエル・イエメン)
フィリッパ・ジョルダーノ(イタリア)
そして、オリガ(シベリア)
以前、オリガはNHKのテレビロシア語講座のインタビューでこう答えていました。
「マヤ・アウラ・フ・ストラニェ・ゴール。Моя аура в стране гор.」
テキストでは私のアウラ(霊気)は山国にあるのです。と訳されていました。
深山幽谷を自由自在に漂う霞のようなオリガの魂。天女の薄衣のように。
シベリア出身ですし、どこか日本的ですし(曲調がというわけではなくてしっとりしたはかなさが)、
「シベリア天女」と命名したいです。
アンコールのポーリュシカ・ポーレ。しっとりとした終わり方にぞくぞく。
オリガが歌うポーリュシカ・ポーレの歌詞、いいんですよ。
ざっくりというと「夏草や つわものどもが夢のあと」の世界。果てしない空間に感じるせつなさ。
いろんな人がカバーしている「There must be an angel」。オリガ版も楽しく弾けていて好きです。
フィリッパ・ジョルダーノやノアがその独特の節回しで「グノーのアヴェマリア」を歌っていますが、
ふと、オリガがグノーのアヴェマリアを歌ったらどうなるのかしらってすっごく聴きたくなりました。aria(アリア)
オリガのおすすめ『アリア』
収録の「川よ、私の川よ」
少しもの哀しく、そして幻想的。
声が大地を渡る霧のようです。クリスタル・ウィンター
『クリスタル・ウインター』収録の「ベリョーザ」。
ベリョーザとは白樺のことです。
とても短い曲なのですが、一人輪唱でしっとりと心に残る曲です。昭和世代なら仲雅美の歌で覚えている『ポーリュシカ・ポーレ』。
歌の内容は。日本にとても近い感覚の俳句があります。
「夏草や つわものどもが 夢のあと」。
晴れているのにせつない。広大な大地がせつない。
ロシアでいう憂いの感覚「タスカー」を感じさせる歌です。ポーリュシカ・ポーレ
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