花実さんのアルバム「月の娘」---透明という強さ
私が大ファンでライブに通わせていただいたり、
プラネタリウムでもナビゲーターをつとめていただいたミュージシャンの花実さん。
その花実さんの待望のアルバムが発表されます。タイトルは「月の娘」。
11月21日発売ですが、青山のギャラリーでの作品展で先行発売されたので、一足先に入手しました。
そして、毎日聴いています。うれし。
花実さんは、月が故郷と感じるくらい月に惹かれているそうですが、
声質も描かれる世界も、月の光を感じさせます。
繊細で透明、それでいて、凛としているような。
つややかな歌声は、夜空になびく薄いオーガンジー。
そこにたくさんの星がちりばめられて瞬いている。そんな雰囲気。
アルバムの仕上がりが、ひたすらアコースティックなのもいいです。
花実さんの声と溶け合うのは、
プロデュースされたバイオリニスト、ツルノリヒロさん、ラ
イブを支えてこられた素晴らしいミュージシャンの音。
上質な音を奏でられるからこそ、ごまかしが要らない。
余分な音をどこまでもそぎ落とし、研ぎ澄まされた音たちで創られた世界。
だからこそ、一つ一つの響きの美しさが堪能できるんですね。
心の原風景から届くあたたかい風のような歌の数々。
ふと、歩きながら口ずさんでしまうのは「ポケットにライカ」。
そして、ファンタジックな世界とともに、切なる祈りを感じさせる曲たち。
ほんとうにきれいなものだけ
ここに集めたから
何も見えない世界ができあがった(詞:花実)
と歌われる「Still Water」や「僕らの風景」「空と水」。
特に、私がライブで聴くたびに救われていたのは「空と水」。
決して綺麗なことだけの中にいたら生まれてこない詩。
だからこそ、心の中にうごめく負の感情やその毒に私自身がおぼれそうになった時に、
この曲に救われてきたのです。
空色よ 目を覚ませ
この僕を つれてゆけ
すべてはせつない祈りだと 知って(詞:花実)
この曲に感じる色は「アクアブルー」。
夜が明けて、地球の大気が虹色から美しい青い大気に変わる。
繊細で透明なアクアブルー。
涙が溢れていても、うつむいていても、顔をあげたくなる。
何も見えなくても、前を見据えたくなる曲。
本当の強さって。
カップクよくて、ふてぶてしく歩いて、ガンを飛ばすとみんなが避ける、
もしくは、ガンを飛ばす前に、みんながよける。
鶴の一声で、ははーとみんなが従う。
とかそういうことではなくって。
本当の強さって、
一見弱くもろくみえる透明さを
研ぎ澄ませていく意志なのかもしれません。
それが本当の「凄み」。
目に見えないけれどどこかに存在している自分の理想の世界。
それを結晶化したいと、とことん希求する意思。
透明も繊細さも磨いていけば強さになる。
そんなことを魂で感じられることも、私が花実さんの歌に力づけられる一つ。
あたたかくて、やわらかいという強さを私ももっと身につけたいと。
「月と娘」。
ジャケットも装丁もフェアリーの世界を感じさせて素敵です。
高田美苗さんによる蔵書票(銀版画)も素敵。
『月の娘~Daughter of the Moon~』
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空色よ 目を覚ませ
この詩で、私が感じたのは、
心の中に 既にある、空色。
そこに語りかけて、目を覚ませだなんて、
花実さん、素晴らしい表現ですね。
私の心も、今曇っているので、
空色よ 目を覚ませ、と呪文を唱えてみます♪
投稿: | 2007年12月 1日 (土) 12:57
お名前がないのですが、おんぽたんぽさんかしらと思います。(もし違う方だったらごめんなさい)。
「空色よ 目を覚ませ」に感じられらのが心の中に既にある空色。というお言葉にハッとさせられました。
私は何度も歌を聴きながら、ずっと外にある空色に意識を向けていました。
そうです。心の中の空色。どんなに雲っていても、心の中にある澄んだ空色に意識を向ける。
天上の世界に一番近い空色に、と思って、花実さんの歌をきいたら一層、力づけられる想いがしました。
今、心が雲っていらっしゃると書かれていますが、こんな風に感じられるだけでけっしてけっして。きっとうす曇り。どうぞ晴れますように。
投稿: emi | 2007年12月 1日 (土) 23:59
emiさん、ごめんなさい。
私の書き込みです。
投稿: おんぽたんぽ | 2007年12月 2日 (日) 07:10
おんぽたんぽさん。ごめんなさいなんてとんでもない。やっぱりおんぽたんぽさんと当たってよかったです。
素敵なことに気づかせてくださってありがとうございます。(*^。^*)
投稿: emi | 2007年12月 5日 (水) 15:54