ガガーリン72 ピカソが見たガガーリン
ガガーリン65で、ピカソがガガーリンをモチーフにしたドローイングを書いていることをご紹介しました。
イギリスのデイリーワーカーとソ連のプラウダに掲載されたものですが、出典はユマニテとかかれています。
そのユマニテというのが、ガガーリン71で取り上げたフランスの共産党系の新聞のこと。
1961年4月18日のl'Humanite(ユマニテ)の1面に、
ピカソによるそのガガーリンの絵が掲載されています。
l'Humaniteという新聞名の上に
Un dessin exclusif de PICASSO sur le PREMIER VOL cosmique
(初の宇宙飛行に基づいてピカソが書いた独占デッサンというような意味でしょうか)が書かれているので、
ピカソがこの新聞のためだけに寄稿した貴重な絵なのでしょう。
絵はこちらです
絵の下のキャプションは
Notre camarade Picasso nous a fait parvenir ce dessin qui lui a ete inspire par le premier vol d'un Sovietique dans l'espace.
我々の同志ピカソ氏から、初めて宇宙に行ったソ連人にインスパイアされて
描いたデッサンが届きました。
というような意味かしらと思います。
さて、ピカソはガガーリンのどんな姿を見てこの絵を描いたのでしょうか。
ポイントは、マリア様のベールのような、飛行操縦士の帽子のようなこのかぶりもの。
・フランスのテレビで映された一瞬の画像をスケッチするのはむずかしい
・フランスの代表的な新聞ルモンドにはガガーリンの写真掲載はみつからなかった
・ユマニテにはガガーリンの写真が豊富。共産党員のピカソ。
自分の絵を寄稿するぐらいだからもちろんこの日刊紙を愛読していただろう
となると、ユマニテの中のガガーリンの写真をモチーフに描いたのかなと思います。
それが、こちらの写真。
ガガーリンの人類初の宇宙飛行が報道された4月13日の第一面のこの写真。
(このあとユマニテにガンガン、ガガーリンの写真が掲載されていますが、
似たカットはこの13日トップ面のみ)
1961年4月13日のピカソの様子を想像してみましょう。
朝、新聞を手にとって、このガガーリンの写真と人類初の宇宙飛行の記事を読む。
そして、触発されて、一気に描いたのかしらと思います。
絵が18日には新聞に掲載されているのですから、
ピカソがいかに勢い持って筆を走らせたのか、高揚ぶりが目に浮かぶようですよね。
さて、この13日トップのガガーリンの写真。飛行操縦士の帽子のようなもの、と書きましたが、
けっしてヘルメットをかぶった宇宙飛行士としてのいでたちではなく、地球上の飛行機の操縦士の姿です。
元の写真はガガーリンの著書とされる「ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)」の中にも掲載されています。
ありがたいことにその本文(ロシア語ですが)も図版もネットで見られるのです。
ttp://epizodsspace.no-ip.org/bibl/gagarin/doroga/d-v-k-61pr/d-v-k2.html
の3番目の写真がそうです。キャプションは、パラシュート飛行の訓練前のガガーリンとなっています。
ユマニテには、「地球は青みがかっていた」だけではなくて、ガガーリンが語った地球の青さに関する記述が
いっぱいでてきます。
ガガーリンは宇宙からの地球の眺めを撮影するカメラを持っていかなかった
(ボストークの中でのガガーリンの様子を地上で観察するため、
ガガーリンの姿を映す映像カメラはボストークに搭載されていました)ということで、
宇宙から眺めた地球の写真はもちろん新聞に掲載ありません。
なので、当時の人は宇宙から見た地球をガガーリンの言葉から想像するのみ。
青の時代と呼ばれる作風も持つピカソ。
ユマニテの活字を毎日追いながら、ガガーリンが語る「地球の青」にどんなイメージをふくらましたのでしょうね。
ユマニテの続きはガガーリン74に。
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emiさん、日記へのコメントじゃなくて
ごめんなさい。
実は、クリスマスソング(英語)のCDを
探しています。 甥や姪に聞かせたいと思い
おおよその目星は、付けました。
知ってる曲が多く入ってる、子供向けのCDです。
でももし、emiさんに何かオススメがありましたら、教えて頂けませんか?
知ってる曲が多く入っていて、英語で歌われて
おり、かつ大人向け-これが、なかなか
見つけられないのです。 歌い手さん、それぞれ
で出してるからでしょうか。
お忙しいでしょうから、いつでも結構です☆
どうぞヨロシクお願いします。
投稿: おんぽたんぽ | 2007年12月 9日 (日) 18:45
おんぽさんぽさん。甥っ子さんや姪っ子さん向けに考えていらっしゃるのですね。
いくつかこれがいいかしらと思うアルバムがあります。あと、そのアルバムの中にはクリスマスソングが2曲しかはいっていないけど、英語でかつお薦めのアルバムもあります。
おいそぎでいらっしゃいますか。
お役に立てたらうれしいです。水曜の夜ぐらいまでお時間いただいて大丈夫ですか。
以前、メールをいただいたアドレスにまずお送りいたしますね。
甥っ子さんと姪っ子さんに素敵なクリスマスのひとときをプレゼントできるといいですね(*^。^*)
投稿: emi | 2007年12月 9日 (日) 19:14
ガガーリンとピカソの関係、初めて知りました。
古い新聞まで調べて凄いですね。
勉強になるし、正直、ガガーリンなんて興味ないと思ってる人にも、ピカソと絡めるとガガーリンがより身近に感じられて、いい!と思いました。
投稿: ポポ手 | 2007年12月10日 (月) 12:03
ポポ手さん。ありがとうございます。ポポ手さんこそ、古典の資料は多岐に渡って大変なのでは。
私もまさかガガーリンを調べていて、ピカソにつながるとは思わなくて、思いがけず掘り出し物をみつけたようなうれしさがいっぱいです!
投稿: emi | 2007年12月10日 (月) 18:27
emiさん、全然急ぎではありませんので、
お時間のある時、教えて頂けますか?
楽しみにしております☆
投稿: おんぽたんぽ | 2007年12月11日 (火) 08:33
おんぽたんぽさん。ではもうちょっとお待ちくださいませ。☆ミ
投稿: emi | 2007年12月12日 (水) 17:29