ガガーリン75/「青いもや」の謎
フランスの新聞、ルモンドにもユマニテにもガガーリンの言葉として
「地球は青いもやに覆われている」という表現があります。
ルモンド、ユマニテ2紙とも1961年4月14日の新聞の紙面。
4月12日にガガーリンがボストーク乗船中に地上に送った交信の9時22分(パリ時間7時22分)のものとして、
Je puis voir la Terre,
私) (見る)(地球)
Elle est couverte d'une brume bleue.
(前の文章に出てくる地球のこと)(覆われる) (青いもや)
私は地球を見ている。地球は青いもやに覆われている。という言葉を紹介しています。
美しい表現ですね。ただ、少しハテナなのです。
モスクワ時間の9時22分となっていますが、
イズベスチヤやプラウダ、その他今までみてきた各国の新聞にこの言葉はありません。
ユマニテも4月13日の記事ではElle est couverte d'une brume.でした。
つまり「地球はもやに覆われている」だけで「青いもや」という表現はなかったのです。
日本の新聞でも、朝日、毎日、読売にはこういう文はなし。
産経新聞(東京版4月13日)は「地球がみえる。青いもやに包まれている」とこの言葉を伝えています。
ルモンドとユマニテと産経は伝え間違えたのでしょうか。
わかりませんが、言えることは二つ。
1)この言葉の真偽はともかくとして、これらの新聞を当時読んだ人は「地球は青いもやにおおわれている」
とそのビジュアルを頭にインプットしたはず。
2)ガガーリンは地球に帰還後、「地球は青い光輪につつまれていた」と発言していることを考えると、
「地球は青いもやにおおわれている」というのは誤訳だったのかもしれないけれど、結果的にはガガーリンが見た光景と一致している。
国によって取り上げ方の違いがそこに住む人の地球のイメージを少なからず創り上げていることが面白いと思います。
ガガーリンINDEXはこちら
« ガガーリン74/宇宙から見た地球の青(フランス語) | トップページ | ガガーリン76/地球は青かった(中国語編)地球像个天藍色大球 »
「 ガガーリン」カテゴリの記事
- 今日は4月12日水曜日(2023.04.12)
- ガガーリン103 映画『ガガーリン 世界を変えた108分』を観ました(2015.01.08)
- ガガーリン102 山梨県立科学館(甲府)に行ってきました(2014.04.30)
- ガガーリン101 プラネタリウム番組「はるか地球をのぞむ」。ガガーリンの言葉の翻訳を担当させていただきました。(2014.04.16)
- ガガーリン100 ソチ五輪の開会式でガガーリンが少し登場しましたね(2014.03.02)
コメント
« ガガーリン74/宇宙から見た地球の青(フランス語) | トップページ | ガガーリン76/地球は青かった(中国語編)地球像个天藍色大球 »
emiさんのガガーリンシリーズ、とても好きです。とことん突き詰めて研究するところがB型らしいなどと思ったりして…
「地球は青かった」は子供心にインパクトのある言葉でした。実際の言葉とは少々違っていたようですが、このフランス語にしてもそれぞれが好きな表現に変えているのに、結果として同じものをイメージしていたのだと面白く思いました。
それにしても本当に美しい地球。何とか守っていきたいですね。
投稿: さる子 | 2008年1月11日 (金) 23:27
さる子さん。ガガーリンシリーズを拝読していただけてうれしいです。
そうなんです。典型B(^_^;)
こだわらないものにはとことんこだわらず、こだわるものにはとことん突っ走ってしまうという・・・
ほんと、美しい地球、守っていきたいですね。
投稿: emi | 2008年1月12日 (土) 13:34