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2008年2月27日 (水)

雪の結晶を観察した人たち(その6)---マルテンス

雪の結晶を観察した人たち(その4)の続きです。

6)1675 フリードリッヒ・マルテンス(Friedrich Martens)24種ほど。結晶の形と寒さとの関連に言及。

人物/ドイツ人の医師であり博物学者。
掲載文献/『Spitzbergische oder Groenlandische Reise Beschreibung : Gethan im Jahre 1671』(1675)。
現在取り寄せ可能かわかりませんが、紀伊国屋書店のbookwebではこちら
2002年に出版された『Spitzbergische oder Groenlandische Reise Beschreibung : Gethan im Jahre 1671.
Neu hrsg. u. eingel. v. Volker Matthies』のデータがあります。
(本のタイトルは1671年のスピッツベルゲンあるいはグリーンランド旅行の見聞記のような意味でしょうか)

詳細/この本は、マルテンスが1671年に捕鯨船に乗り、スピッツベルゲン、グリーンランドへ遠征した時のことをまとめた見聞記。
極地方で見た雪の結晶もスケッチして、形と気温との関連に言及しています。

加納一郎氏はマルテンスについてこう述べています。

彼が雪の結晶の研究史上きずいた功績は、とくに結晶形と天候との関係をあきらかにしたことで、
(一)寒さがきびしいときには雪は細長い槍状または小粒状をなすこと、
(二)寒さが弱いときは雪華は星状をなしシダ状がいちじるしくなることなどを指摘している

『氷と雪』加納一郎著(梓書房 1929) p210より。

小林禎作氏は『雪華図説考』(築地書館 1968)の中で、
ヘルマン著『scheekrystalle』(1893)からマルテンス雪の結晶結晶スケッチを転載し、

彼の描いたスケッチは、技法的には不満足なものであるが、
雪が降ってきたときの気象状況と関連させて雪の形を述べていることは、とくに注目に値する。
即ち、<降雪に際して寒さが厳しいと、雪はNü1にみられるように槍状の小粒として降る。
寒さがゆるむと、雪はNü2にみられるような、鋸歯をつけた羊歯状の星型をして降る。
(中略)
マルテンスは結晶形と気温との関係に気づいた最初の人であり、またその記述は正しい。
と述べています。(p92~93)

翻訳本/日本語で訳された本はなさそうです。

ネット閲覧/
ありがたいことに全頁閲覧できます。そのサイトはGDZ(Gottinger Digitalisierungszentram)。
ドイツにあるゲッティンゲン州立大学図書館のHP 
http://gdz.sub.uni-goettingen.de/(ドイツ語&英語)。
こちらのページが、このマルテンスの本のトップページになります。
雪の結晶のスケッチのページは「151」にあります。
辿るには、「Pageview」がグレーの色になって選択されていることを確認。
中央の「1:」となっている小窓の右の▼を辿って「151:」を小窓に出すと該当ページが開きます。

マルテンスによる雪の結晶図、きちんと分類されていますよね。
精密というよりもペンでちょこちょこって描いた絵のようなタッチにみえます。
(Nü4)や羊歯状の(E)の絵がすごくラブリー。ぜひご覧ください。

(2015.2.7追記)
ドイツデジタル図書館(ttps://www.deutsche-digitale-bibliothek.de/)で
この資料がパブリックドメインなのを確認。画像をご紹介します。
Martens_snow_flakes_2

アルファベットも雪の結晶の描き方もイラストっぽくてかわいいです。

【雪の結晶を観察した人たちシリーズ】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

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雪の結晶」カテゴリの記事

コメント

emiさん
久しぶりに訪ねましたら雪華の充実ぶりに仰天です。そしてなによりホームメード結晶のけなげさにため息。旭川は北海道でもなかなかの豪雪地帯と聞きました。平松先生も雪華に魅せられたお一人なのですね。
旭川に「雪の美術館」があるのを見つけました。ご存知かも。
http://www.yukaraori.co.jp/yukibitop.html
こちらは春までまだ少-----し間がありますので、「結晶を観察した人たちシリーズ」ゆっくり楽しませていただきます。

nonさん。ありがとうございます。ご覧の通り、カテゴリ雪の結晶が成長しました~。
ガガーリンシリーズもまだまだ続ける予定なのですが、雪が解けないうちに雪華をもう少し進める予定です。
ホームメード結晶のけなげさも愉しんでくださりありがとうございます。
雪の美術館は聖地の一つと思いながら、まだ足を踏み入れていません。
旭川はプラネタリウムも魅力的です。

nonさんのところはまだ雪・雪・雪なのですね。
私もカンテレの国、フィンランドが大好きなので、nonさんの雪祭りレポート楽しく拝見させていただきました。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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