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2008年2月13日 (水)

NHKのドラマ「フルスイング」に泣かされました

NHK土曜夜9時からのドラマ「フルスイング」。先日2月9日の回を見ました。
テレビドラマでこんなに泣かされたのは久しぶり(ToT)(ToT)

プロ野球の世界でコーチとして30年間活躍した後、高校教師になった高畠導宏さんの実話を基にしているそうですね。このドラマの設定では「高林先生」。高橋克美がいい味で演じています。

9日の回は、同僚の英語教師が不登校になってしまう話。原因は、帰国子女の女子生徒が授業中にまくしたてる英語が聞き取れず、英語の先生なのにと生徒たちにからかわれる日々が続いたこと。

ベテランの先生は、彼は二度と教壇に立てないだろうと言いますが、高林先生は英語教師の強さを信じます。そして、ひきこもる英語教師を誘いだしておこなったのは、キャッチボール。
キャッチボールのコツは、最初は絶対受け取れるという距離に近づいておこなうこと。それで自信がついたら少しずつ距離を遠ざかっていく、のだと。

原作を読んでいないので、どこまでが実話でどこからが脚色かわかりませんが、すごくシナリオがいいです。
高林先生が「野球」という自分の「持ち場」からの具体性を持ったアドバイスをするところがいいです。

それから、キャッチボールをしながら、少しずつほぐれていった英語の先生が、「キャッチ」にはいろんな意味があるんですと、うれしそうに英語の知識を語りだすくだりも印象的(視聴者に、本当に英語が好きな英語教師なんだって思わせます)。

高林先生とのキャッチボールを続けるうちに、この先生は気づきます。女子生徒が授業中、語っていた言葉が「I just want to catch me.(少しヒアリング自信なし)」だったことを。
ネイティブの英語が聞き取れない自分をからかうつもりではなくて、「私を受け止めて」と切願していたのだと。
「責めていたのではなくて、助けを求めていたのだ」と愕然とする英語教師。
このシーンで、涙がダー(ToT)

このドラマでは言葉の壁による誤解という面がありましたが、人間の訴えって本当にやっかいだと思います。
小さい子供が怒ってお母さんの足をぶんぶん叩くのも、抱っこしての訴えだったりしますよね。
ストレートじゃないことが多い。
大人も、攻撃的な態度の何パーセントかは<私を認めて、受け入れて>の裏返し表現だと思うのです。
当事者になってしまうと、それが見えなくなってしまうけど、私自身も当事者の時に、端の人から気づかされたことや、私が端の立場で見てきたことなどから感じてきました。

ある日、こじれた問題が発生したことをきっかけにぎこちなくなってしまった人間関係を抱えている方々、今、誰かに責められていると感じる方々、それで萎縮してしまう方々。
発端は自分が作ってしまったのでしょうがない。利害関係があるとこうなってしまうのだろう。私だけ折れていればいいのだ。とどんどん自分に対して無力になってしまうことがあるかもしれません。

大変な状況に対して、3行ほどで励ませるものはないでしょうし、解決の特効薬なんてないのかもしれません。確かに、本当に責められているのかもしれません。
ですが、相手は、「私を受け入れて」の思いを屈折して訴えているのかもと、とてつもなく大きく怖いと思う相手が、承認を求めている小さな子供にみえたら、それだけで、相手を見る立ち位置がかわって、何かがかわるかもしれません。ほんのすこし。

さて、ドラマに戻ると、英語教師は、緊張に襲われながらも再び教壇に立ちます。
そして、野球のボールを受け取った人が英語で語り、また誰かにボールを放って、キャッチした人が英語で語るというゲームを提案します。
帰国子女の女子生徒の番になった時、先生は萎縮します。やはり、何を言っているのか聞き取れません。
でも、先生は女子生徒に近づいていきます。
「相手のボールがキャッチできない時はキャッチできる距離まで近づくのがコツ」と教わったと。
そして、「もう一度言ってください。今度は必ずキャッチします。あなたの思いをすべて」と、たじろがずに女子生徒をみつめるのです。
女子生徒は戸惑いがちに、やがて、堰を切ったように、帰国子女としての悩みを英語で打ち明け、自分が先生に受け止めてもらえたことを感じる。というストーリーでした。

このドラマの演出が巧いと思うのは、この英語教師がけっしてイケメンでないこと。おどおどしているから生徒にからかわれてもしょうがないと視聴者に持たせる雰囲気なのです。
それなのに、再び教壇に立って、女子生徒に歩み寄っていく。その時、なんと堂々と見えることか。
なめていた先生を見直す生徒たちの気持ちを視聴者が自然に追体験できるのです。

きめこまやかな演出のドラマでしたが、英語教師の奥さん役の俳優さんもいいですね。気丈に明るく振舞い、ささいなことに「涙がでるほど可笑しい」とケタケタ笑いながら、「笑ったら、気が抜けて涙がでてきちゃった」といつしか泣き笑いになり、やがてしんみり涙に至る過程。わかる!とぐっときました。

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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