雪の結晶を観察した人たち(その7)---ロゼッティと司馬江漢
雪の結晶を観察した人たち(その6)の続きです。
7)1681 ドナト・ロゼッティ(Donato Rossetti)、『La figura della neve』で、スケッチ入りで結晶を分類。
人物/イタリアの神学者、数学者。発音はロセッティかもしれません。
掲載文献/『La figura della neve』(1681)
詳細/チューリンの宮廷に6年間滞在中に、雪の形についての研究をしてこの本を出版したこと。
雪の結晶を5つの型に分類していること。
平板状結晶のスケッチが顕微鏡写真から写し取ったのではないかと思うほど表面や内部の構造が
描かれているということを小林禎作は著書『雪華図説考』の中で述べています。
ロゼッティが描いた1結晶図を見ると、確かにベントレーの写真集から写したのではないかと思うほど
精緻!
翻訳本/日本で翻訳された本はなさそうです。
ネット閲覧/Museo Galileo Digital Library (ガリレオミュージアムデジタルライブラリー)(ttp://www.museogalileo.it/en/explore/libraries.html)で全文閲覧できることがわかりました。
結晶図、見事です。
詳細は2015.2.14のブログに)
転載文献/ロゼッティの描いた結晶図は、『scheekrystalle』(ヘルマン)、『氷と雪』(加納一郎)、
『雪』田口竜雄、『雪華図説考』(小林禎作)などで結晶スケッチの一部分が見られます。
8)1796 司馬江漢(しばこうかん) 顕微鏡で覗いた雪の結晶のスケッチを銅版画で描く。
人物/江戸時代の絵師。日本での銅版画の創始者。
掲載文献/『天球全図』(1796)
詳細/一ページの中に9種の雪の結晶のスケッチが描かれています。
以顕微鏡観雪花圖と書かれているので、顕微鏡で覗いて描いたものに間違いないでしょう。
驚くのはその形のバラエティ。
六花の形だけではなく12花になったもの、針状、ピストルの砲弾状のものもあることです。
いずれも、現代では結晶がそういう形になることは知られていますが、当時、固定観念を持たずに
いろんな形をみつけて記した素直さが素晴らしいと思います。
雪ハ六出ヲナス、或イハ十二又二十四、皆六数ヲナス、蘭書麻尓智業杜ト云書に図アリ、
其形チ数品、彼国五十余度ニシテ寒土ナリ、故ニ日本ニ未タ見ザル雪ノ形チ多シ
という文も添えられています。「麻尓智業杜」に「マルチネット」とルビが振ってあります。
土井利位と鷹見泉石が雪の結晶観察に取り組むきっかけとなったマルチネットの本のことでしょうか。
未確認です。
ネットで閲覧/京都大学付属図書館が所蔵&ネットで公開しています。
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k150/image/01/k150s0001.html 。
ぜひご覧ください。
書籍としては/1994年に出版された『司馬江漢全集3』に『天球全図』もこの結晶図も収録。
出版が比較的新しいので多くの図書館でみつけられるでしょう。
こちらは部屋に飾っているポストカード(古河歴史博物館で購入)です。
右側が司馬江漢の結晶スケッチになっています。
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