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2008年5月 9日 (金)

中田悟さんの音の世界(その3)

中田悟さんが世界各地で収録した自然音と、 ご自身作曲によるアンビエントサウンドのコラボアルバム
『ナチュラルハーモニック』。

CD盤を取り出すと、そのトレイの下に中田さんが世界各地で収録した自然音のDATテープが総計985本と
書かれています。そして、その場所の内訳も。一番多い場所は屋久島247本。

中田悟さんの友人で、この遺作アルバムもリリースされたフォトグラファーの広瀬睦さんと昨秋から、
何度か中田さんのご自宅にうかがっておりました。
ご家族の方から中田悟さんが遺されたDATテープをみせていただいておりました。

中田さんは白神山地にも惹かれていらしたようで、
白神山地で収録された音源を何本もテープに遺されています。
白神山地の自然音はまだ未発表だと思うので、今後リリースされたらいいなと思います。
音具(オング)というテープは54本。
サヌカイト、風鈴、ひもの先にたくさんの鈴をつけて鳴らしたものなどが
収録されているテープです。
完パケになる前の素材としてのDAT。
その数の多さに圧倒されました。

1本1本、DATのケースのラベルにどこでいつ収録した何の音か、そしてそのタイムが詳細に書かれています。
提出するためのものではないから、ご自分だけが便宜上わかるためのメモ書き。
そのメモ書きに中田さんの音の捉え方がかいまみれて興味深かったので、ご家族のご了承を得て
いくつかご紹介しましょう。

1)中田さんは、雷の音を録音したことをラベルに書くとき
「雷」ではなく「神鳴」と書かれていました。

雷の語源は=神鳴りと言われていますが、
「かみなり」といえば「雷」と書くのが普通だと思うのです。
「神鳴」と記入されているところに、
人影もない大自然の懐奥深くに入って、
同化するようにして自然の音を収録した中田さん。
その中で雷に遭遇し、畏怖の念も人一倍感じたのではと
察せられました。
Nakatasankaminari

一番上にJUNGLE STREAMと書かれています。
その下に せせらぎ+せみ
その下に 雨、神鳴  
と書かれているのがおわかりになりますか?

2)中田悟さんがいろんな音をご自身で区別するための表現は
たとえばこんな風。

せせらぎ・・・やさしい、明るい、細め、さわやか、ふとめ

滝・・・ 厚みのある ツヤ少ない、ザーポコポコ、乾いた感じ

※滝は水の音だから「乾き」とは無縁なのに、
「乾いた感じ」という表現が何度かみられるのが面白いです。

虫・・・ 浮いている感じ、高周波 

※虫や波は言葉ではなく擬音だったり、波形で書き記されている箇所も多いです。
Nakatasanotonohyougen_2
↑風、虫などの言葉とともに
波のような線が描かれています

中田悟さんの音の世界(その1)はこちら

中田悟さんの音の世界(その2)はこちら

中田悟による自然音---森羅への同化から生まれた音(2007.10.17)はこちら

星と楽しむ音楽INDEXはこちら

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星と楽しむ音楽」カテゴリの記事

コメント

中田悟さんがいろんな音をご自身で
区別するための表現-面白いですね。。。

この前、テレビで、聾唖の方々も
一般の人達と一緒にTV番組や映画を
楽しめるようにと、字幕を付けた、
映写会を開いている活動を
紹介していました。

その時取りあげられたのが、確か
里山の自然と言うドキュメンタリー番組。

川のせせらぎの音や、風の音を
どう表現するか・・・制作側のスタッフの
健常者のお母さんと聾唖の娘さんが、
共に悩んでいらっしゃいました。

プラネタリウムも、字幕を付けて
いつか楽しみたい-と言うようなお話を
していらっしゃったのも印象的で、
私は、この中田さんが丹誠込めて
拾い集めてきて下さった素晴らしい音達を
聞けるんだなぁと思うと、感無量です。。。

emiさんと中田さん、とてもよく
似てらっしゃいますね。 好きなもの・
興味のあるもに対する収集力-素晴らしい
です!

おんぽたんぽさん。テープでのメモ書きの音の表現、面白いですよね。
聾唖の方のドキュメンタリーがあったのですね。プラネタリウムで字幕という試み、すでにやられている方もいらっしゃるとうかがいました。
もっと進んでいくといいですね。
誰も足を踏み入れられない奥地、や絶壁の崖の上での録音、人の気配を消してずっと何時間もたたずんでいたからこそ採取できた音&良いとセレクションされた音。本当に貴重だと思います。
自分がそこに行くことが不可能な場所の音を体験できるのですから。
自分の世界を確立した中田悟さんと比べていただくなんておこがましいですが、似てるといわれるとなんだかうれしいです。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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