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2008年8月 3日 (日)

雷にちなんだ音楽

雷の季節。そこで雷にちなんだ音楽を3つご紹介します。

1)ベートーヴェンの「田園(交響曲六番へ長調)」。

雷の良さ(危険なものに良さというのもなんですが)は、
短時間で気分も空気も変えてくれるところ。
むわんとした、肌にはりつく蒸し暑さが、
雷雨の後は一転。温度は下がり、
マイナスイオンに満ち溢れたようにすがすがしい空気になることがなによりの魅力。

そして、プロローグ(空が曇ったり、遠くからゴロゴロが聞こえてきたり)、
本編(雷爆撃、どしゃぶりの雨)、エピローグ(遠ざかる雷の音、雨やむ、虹も出て再び青空)。
というように、起承転結を持ったドラマを一本味わったような「成し遂げ感」があるのが魅力。

ベートーヴェンの「田園」は、
日常の中に非日常「雷」が起きて、
また日常に戻るという流れを以下の5つの章で構成しています。
第一楽章「いなかに着いた時の愉快な感情のめざめ」
第二楽章 「小川のほとりの光景」
第三楽章「いなかの人々の楽しい集い」
第四楽章「雷雨、あらし」
第五楽章「牧人の歌-あらしの後の喜びと感謝の感情」
(全音楽譜出版社のスコアより)

田園ののどかな風景。
人々の活気。軽やかな音が奏でるそんな日常の風景。
ところがしだいに、音に暗い影が加わってきて、空が曇って雷が来ることを予感させ、
いよいよ雷キター、状態。
その後、雷雨も過ぎ、ふたたびいつもののどかな日常の風景に戻る。

そんな一連のドラマがおよそ45分で展開されます。
冒険映画で非日常にワープして、気持ちをリフレッシュってこと、ありますよね。
同じように家で、短時間で気分をリフレッシュしたいなっていう時に「田園」を聴くのもいいです。
雷雨疑似体験できて、まるで一雨を浴びた後のように気分がリフレッシュできるのです。

2)ザ・フーのアルバム『四重人格』。

あまりロックとかガッツガッツした音楽は聴かないのですが、
私の生涯の名アルバムベスト10にランキングしているのが、
イギリスのザ・フーのアルバム『四重人格(Quadrophenia)』。
同名の映画(邦題は「さらば青春の光」というヤワな題がつけられています)のモチーフとなったアルバムです。

このアルバムにも少しではありますが、雷の音がでてきて印象的。
たとえば、「Doctor Jimmy」という曲(8:39)。
イントロに荒れくるう波、風の音、そして雷。

「愛の支配(Love, Reign o'er Me)」は何度聴いても鳥肌が立つ名曲ですが、
この曲が始まる前、正確には一つ前の曲「Rock」の最後にも雷の音。

『四重人格』は、ジャケットもかっこいいです。
モノクロ。黒いアルバムのジャケット。
デコラティブになったバイク”べスパ”の4つのミラー一つ一つに顔が映っていて、
4つの人格を象徴。そして、どの曲も名曲です。

1曲目の「I Am  The Sea」は、雨の音、荒々しくくだける波の音がメイン。
その波間に見え隠れするかのように、
アルバムの中のいろんな楽曲の一部が現れては消えていきます。
それが、混沌とした中にいろんな人格が現れては消えることの象徴のような感じで秀逸です。

(映画「ターミネーター2」で触れた人間に変身できるターミネーターが最後、液体の中に落ちて、
溶けて終わる場面がありますよね。
彼は液体の中でもがきながら、変身した人物の姿に次々となっていきますよね。
あの場面をみると、液体の中に次々現れる人格として、この『四重人格』のアルバムの出だしを思い出す私です)

3)ブルグミュラーの「大雷雨」

ピアノを習っていた方は小学生の頃に弾いていたかもしれません。
『ブルグミュラー 十八練習曲』(全音楽譜出版社)の13曲目に「大雷雨」があります。
見開き2ページの小曲ですが、ピアノで雷がとどろく様子がうまく表現されています。

出だしでの雷の表現はこんな感じ。
低音のレ・ド#・レ・ファ・ミ・ファ・レ・ド#・レ・ファ・ミ・ファを繰り返し、
その後、レ・一オクターブ高いレ・レ・一オクターブ高いレの繰り返し。
つまり右手の親指と小指で交互に音を何度も叩きつけるところが、
遠くで低くなるゴロゴロと、激しく鋭い雷の音、に感じられます。
(※解説によるとここはまだ遠い雷鳴の設定)

『ブルグミュラー 十八練習曲』の中の解説をご紹介しましょう。
第一部:遠くから雷鳴が聞こえてきて、黒雲のたちこめた空からは今にも大粒の雨が降り出しそうです。
やがて、激しい夕立の前ぶれの風が吹き、雨が降りだしました。
第二部:雨はますます激しさを増し、稲妻、雷鳴も加わってしばらく雨が続きます。
第三部:夕立もしだいにおさまり、雷鳴もはるか遠くに去ってコーダでは、
今までの雷雲も去って後には明るい青空がのぞかれ、あたりは静かな風景にもどっていきます

音楽家にとって、雷をSEで加えるのではなく、自分の音で表現するのって創作意欲が湧くものかもしれません。

雷にちなんだ曲はまだまだあります。いつかあらためて。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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