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2008年11月30日 (日)

NHK杯、浅田真央の快挙!!

フィギュアスケート、NHK杯。
なんといっても浅田真央が素晴らしかったですね。鳥肌が立ちました。

フランス大会でのジャンプのミスなどがあっても、今回も逃げたり安全策をすることなく挑戦。
有言実行。アスリートとしても、少女から大人の女性としてもぐんぐん成長している姿、
同じ時代でリアルタイムに彼女の成長を追えることがうれしいです。

フリープログラムに臨みリンクのへりに立つ浅田。
タラソワコーチの言葉に、真剣なまなざしで何度もうなづいて、
最後にふーと息を吐いてリンクに向かうその表情。
緊張しているのが痛々しいほど伝わってきましたよね。
母国での大会は観客の応援がうれしさにもなるけれど、プレッシャーにもなりやすい。
固唾を呑んで、演技を見守る幾千もの目。
ほとんどの大人がこれだけの緊張を背負う大舞台を経験しないで生活しているのに、
わずか18歳で、きゃしゃな身体の心臓でこの緊張を乗り越える、たいしたものです。

トリプルアクセルの2つ目はDGされて、成功とは認定されなかったようですが、
一つのプログラムに二度トリプルアクセルを入れる、
それをきちんと大事な試合で挑戦した、そこが評価されるところですね。

しかし、まったく休みどころのない「仮面舞踏会」。
こんなハードなプログラムをやらせるなんて、タラソワさん、鬼すぎます。

通常、選手はアップテンポの序盤、スローパートの中盤、
クライマックスへみたいにメリハリをつけたプログラム構成をこなします。
ある程度激しい動きやジャンプが続いたあとは、
パッと手を広げ、音楽もいったん終わる。
一呼吸置いて、スローな音楽が始まり次のパートに移る、
という<間>が用意されていたりします。

ストレートラインステップの前も、<間>が組まれていることが多いですよね。
「これからはじまるわよ」っていう合図でもあるでしょうし、
ここで息を整えてステップに向かうための一休み時間だったり、
ステップの前の場面で演技がずれこんでしまった場合の<調整>の間だったりするのでしょう。

ところが、浅田真央の「仮面舞踏会」。
休みの時間が一切なし。
ジャンプが一通り終わってパッと腕を広げ、少し曲調が変わるところも、その後、間断なく続きます。
最後の激しいステップの前にも休憩タイムはなし。
そのうえ、激しいストレートラインステップでも途中でレのように挙げた片足に手を添えてクルクルまわる細かさがあったり。
これでもかと体力酷使プログラム。

そしてめりはりがなく、同じメロディーがリフレインされる曲調というのも斬新ですが危険ですよね。
いったん、ぐだぐだしてしまうと、建て直しどころがないような。

カナダのロシェットは曲調の緩急やめりはりやプログラム構成がうまく、
浅田真央よりも運動量が少ないけれど見栄えはあるプログラムのようにみえます。

タラソワは、もっと体力を消耗させずに見栄えのあるプログラムを作れるのに、
あえて、浅田真央にこの過酷なプログラムを今期持ってきたのかなと思います。

同じメロディーが続くプログラムというと、
アイスダンスのトービル&ディーンのボレロが伝説となっていますが、
仮面舞踏会の単調な繰り返しを、怒涛の激しい演技で滑りきり、
観客に息つく暇を与えず魅せ切った浅田真央のプログラムももはや伝説といえるでしょう。

バランスの取れた体、柔軟性、癖のない綺麗なフォームのジャンプ。
浅田真央ならどんなプログラムもこなせるだろうと、これからも楽しみです。
なによりも、ジャンプの空中でのフォームが綺麗。
女性スケーターは、優美に美しく滑っていても、ジャンプの時はいかり型でぎゅっと腕と脇をしめ、
クルクルとまわる時の様子が「いかめしく」みえる選手がいます。
でも、浅田真央はジャンプの回る最中のフォームすら綺麗にみえます。
それは肩をいからせずに力をこめられるからかもしれないですし、
回転が速いためにジャンプ中のフォームがあまり見えないせいかもしれません。

他の女子スケーターとあきらかに違うところですね。

ワグナーはジャンプのミスなどで4位になってしまいましたが、
どんな時もポジションが綺麗。
クラシックバレエのように優美なショートの手、足、や上体すべてを生かした動きが素晴らしいですし、
フリープログラムの少し力強さも加わった振り付けをこなすところも良かったですし、
エレメント以外の滑る場面をいかに曲調と合わせて密度濃く踊るか、
という面では浅田真央より上回るくらい踊りのバリエーションを楽しませてくれました。

鈴木明子も病気のあとの復活。お見事。
やはりジャンプでのミスなどがあったものの、音楽にあわせて、
情熱的にコケティッシュに演じるという面で、密度濃いプログラムを演じ切っていました。

中野友加里はコンディションが万全ではない中で、きちんとこなしたのが立派。
ジゼルはコスチュームから曲調から、演じるものがわかりやすく伝わってくるプログラムでほっとします。
途中で、トントントンと軽やかにジャンプするような、本当にバレエをみているような振り付けのところ、可憐です。
ドーナツスピンもスパイラルも細部も着実に去年から磨かれていて、きちんと鍛錬しているアスリートだなあと感じます。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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