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2009年2月21日 (土)

星のささやき---その7.『永遠のシベリア』とセルゲイ・オブルチェフ

ミハイル・イリーンによる見習い水夫ザハールの物語(cf.星のささやきその4その5)で、「星のささやき」についてザハールに語る「若い地理学者」。オイミャコンで寒極と星のささやきも体験したと語るだけで名前は明かされていません。
でも、1926年のオイミャコンの最低気温の記録はセルゲイ・オブルチェフの遠征隊が体験しているものなので(cf.星のささやきその2その3その6)、セルゲイ・オブルチェフがモデルなのかなあ、なんてやっぱり思います。

Eiennosiberia セルゲイ・オブルチェフのプロフィールを
『永遠のシベリア 探検家チェルスキー夫妻の生涯』(アルダン-セミョノフ著 加藤九祚訳/新時代社)より抜粋。


オーブルチェフ(1891年生まれ)はソ連の世界的な地質学者・探検家ウェ・ア・オーブルチェフの子で、1915年モスクワ大学を卒業後、1917~24年エニセイ川流域の地質調査を行ない、トゥングース炭田の発見に貢献した。1926年~35年シベリア北東部(インディギルカ川、コリマ川流域)およびチュコート半島一帯を調査したが、この時約30年前、チェルスキーの通過したのとほぼ同じコースを通り、新たな大山脈を確認してチェルスキーの洞察を裏づけ、「チェルスキー山脈」の名をあたえて彼の名を世界に顕彰したのである。
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さて、氷点下40~50度以下で起こる現象「星のささやき」。
体験できる人も限られますが、この現象を知って伝える人も限られます。

1950年以降のいろんな文献で語られていることは確認できましたが、誰が発信源となったのでしょうか。

1)地元サハ(ヤクート)の人々
2)地元サハ(ヤクート)で伝承されている話
3)1950年代以前にシベリアになんらかの事情で訪れた人(が現地の人から知る)

の3つが考えられます。

1)だとすると、発信源となるには一般の人ではなくて作家とか広く伝えることのできる立場の人。
2)書物として存在するのか、私はまだ「星のささやき」に関する民話etc.みつけられず。
3)を具体的に挙げてみれば、デカブリスト、抑留、強制収容などで余儀なくシベリア送りをされた人々、探検家、漂流者などでしょうか。(大黒屋光太夫も体験していないか調べたい・・・)

今のように、旅行者が訪れることが容易ではない土地。
となると、シベリアへの遠征調査の1926年の体験を語ったものが、ザハールの本で紹介されたり、アメリカ気象局の1958年1月のマンスリーで引用されたり・・・、最初の人とは言えなくても、セルゲイ・オブルチェフが「発端の発信源」の一人と言えるのかもしれません。

Nekoashiatojpg

ところで、セルゲイ・オブルチェフ。思いがけないところにも名前が出てくるのです。それは
1908年6月30日の朝、シベリアのエニセイ川支流のツングース地方で起きたツングースカ大爆発。森林の木が広範囲に渡ってなぎ倒されていたというこの大爆発に少し関係しているのです。

上記の青文字のプロフィールにも「1917~24年エニセイ川流域の地質調査を行ない」と出てきますよね。この地質調査の最中に、オブルチェフは地元の住民にこの大爆発に関する聞き取り調査を行っているのです。
いくつかロシアのサイトからご紹介しましょう。(私による訳をオリーブ色。原文は青文字で)

サイト名【
ツングース隕石問題を取り上げるサイト①】(ttp://www.tunguska.ru/)

history →ИМЕНА (名前の意味)のページで


セルゲイ・ヴラジーミロヴィッチ・オブラチェフ(1891-1965)/ソビエトの著名な地質学者。1924年にワナワラで目撃者に聞き取り調査をおこない、なぎ倒された木々の最初の地図を作成する。 ②

БИБЛИОГРАФИЯのページでは
セルゲイ・オブルチェフが「
1908年のハタンガ地方の大きな隕石の落下場所について③」という論文を, 『Мироведение』に発表していることが書かれています。

サイト名【
ツングースカ現象④】(ttp://tunguska.tsc.ru/ru/)   ttp://tunguska.tsc.ru/ru/science/1/BronstenMMM/Glava4/
1924年の夏、この地方に滞在し、ツングース地方の石炭を含有する地域の地質調査をしていた地質学者のセルゲイ・オブルチェフ(後にソ連科学アカデミー準会員)は、クーリックから不可解なフィリモノフスキー隕石のことを知り、現地のエヴェンキの住民にアンケート調査を行うという大きな仕事をした。エヴェンキの人たちはオブルチェフに森林がなぎ倒されている広大な一帯を示した。しかし、オブルチェフがそのエリアに立ち入ることは許さなかった。なお、フィリモノフスキー隕石(私の注:ノボシビルスク地方の地名)がツングース隕石と一般的に呼ばれるようになったのは3年経ってからである。 
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「星のささやき」を追っていただけなのに、ツングース大爆発まで足を踏み入れてしまうとは思ってみませんでした。

♪メモ♪
ツングースカ大爆発/Tunguska explosion/Тунгусский метеорит

①Сайт посвящён проблеме тунгусского  метеорита

②Обручев Сергей Владимирович - (1891-1965) известный советский геолог, в 1924  году провел опрос очевидцев в Ванаваре, составил первую карту повала деревьев.

③「О месте падения большого Хатангского метеорита 1908 г.」
1925年No.1 p38-40。
後に『Природа』誌、1951年No. 12  p36-38に載録


Тунгусский феномен

⑤Летом 1924 г.  находившийся в этих краях геолог С. В. Обручев (впоследствии член-корреспондент АН СССР),  изучавший геологию и геоморфологию Тунгусского угленосного бассейна, зная от Л. А. Кулика о загадочном Филимоновском метеорите (название  «Тунгусский»  появится и войдет во всеобщее употребление лишь через три года),  провел большую работу по опросу местных жителей,  эвенков,  об обстоятельствах падения метеорита. Эвенки указали Обручеву на обширную область поваленного леса, но обстоятельства не позволяли ему посетить ее.


さて、上記でご紹介した『永遠のシベリア』には「星のささやき」は出てくるのでしょうか。
「星のささやき」という言葉は出てきませんが、この現象は登場します。
呼吸のときの水蒸気が霜にかわり、白い粒となって胸にふりかかった。 (私による略)。さらさらという細かかな音がきこえた。これは 空気の凍っていく音である。 p79 

星ののささやきINDEXはこちら

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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