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2009年3月12日 (木)

星のささやき---その10.オーロラの音

すっかり更新が空いてしまいました。
実は、氷点下50度を体験したくなって、シベリアに行っていたから、
ということはなく、普通の日常生活を送っていただけなのですがぱたぱたぱたぱたしていました。

Ogawaseijisanaurora さて、「星のささやき」シリーズ。

今回は「オーロラの音」についてです。

というのも、バディギンの『グルマントへの道』(cf.その1)、アラバジの『単純な水の謎』(cf.その3)で、星のささやきが最初はオーロラのせいだとおもわれていた、と書かれていたからです。


               
                              
緑色の光が美しいオーロラ<撮影 小川誠治氏>

「オーロラ」。
私の専門外なので、文献をいくつかみた範囲での把握となりますが、
・オーロラから音が聞こえたという報告はいくつもある
・だが、まだオーロラの音が録音されたものはない
・オーロラが音を発するのかは科学的に解明されていない ようですね。

オーロラがどんな音だったかを
『オーロラ』ニール・デイビス著 山田卓訳(地人書館) 第17章オーロラの音のミステリー
で取り上げられている証言より。

「遠くでパチパチとかシューパチパチという音を立てながら、頭上で物が引き裂かれるようなススススススッスッスゥスススススという音」
「速いスウィッスウィッという音と、パチパチという音」
「しわくちゃにしたティッシュペーパーを何枚か手でこすったような音」
「柔らかなパチパチという音がしたので、火が完全に消えていないのかと思ってあわてて飛び出した」
「シューという音」「パチパチ」
「長く続く規則的なヒューッヒューッという音。ハープの弦に軽くふれるときに聞こえる音楽のよう」
「紙の上で紙を引きずるような音」
「サラサラ。氷におおわれた柳の小枝が、そよ風に吹かれたときのような音」

『オーロラ』では以上の報告から
・オーロラの音は、Sの音で表現されることが多い。
・シュー、ヒュー、パチパチ。
・タフタスカートの衣擦れ、燃える枯れ草、女性の髪を撫でてとかす、油で揚げ物をする、セーターの静電気が放電するときの音のよう

とまとめています。

一方、「星のささやき」はどんな音でしょう。私が今まで調べた文献より。

サラサラ、カサカサ、パチパチ。
穀物の粒を注ぐような音
風が木の枝から乾いた雪を払い落とすような音
カチカチと鉄砲を鳴らすような音


→サラサラ、カサカサする音に使われているロシア語の「シャルシャーチ」。
衣服・木の葉・髪などがさらさら、かさかさ、がさがさ音を立てる様子に使う言葉。

→パチパチする音に使われる「トレシャーチ」。暖炉の火が燃えたり、氷がみしみし軋む音などを表現する言葉。

オーロラの音の表現の原語が知りたいところですが、
サラサラ。パチパチ。衣擦れのような、木々を風が揺らすような、炎のようなという音のニュアンスは共通していますね。

さて、渋谷星の会の会長の小川誠治さん。オーロラに魅せられ、オーロラを18回も観測&撮影にいかれ、各地で写真展や講演をされています。私の星のイベントにいらしてくださったり、このブログ『今日も星日和』もご覧くださっているのですが、ありがたくもオーロラの音について言及している本の情報を教えてくださいました。

早速、それぞれのくだりを読んでみると、

◆オーロラ研究の第一人者赤祖父俊一氏の『オーロラへの招待』(中公新書)
何千年も前からオーロラの音を聴いたという人がいることは事実だ。共通しているのは、ヒューッとかスーッという音で、静寂の中で木々が風に揺れる音、着ているパーカなどがこすれる音に似ている。ただし、オーロラの音はいまだかって録音されたことがないので、その実態は不明。(以下略)
赤祖父氏はオーロラが動くと音も変化するという証言に光と音の速度の違いから矛盾があるとしながらも、オーロラが出した電波をとらえて、脳で音として感じている可能性も否定はできないとしています。

◆上出洋介氏の『オーロラ』(山と渓谷社)

オーロラ活動は超高層大気中に衝撃波を生じ、これは地上まで伝播してくるが、超低周波の音波であるので、人間の耳では聞くことができない。(中略)他の可能性として、オーロラは雷場をもっているので、その雷場のため、地上または雪上で特別な放電が起き、その音が聞こえるのではないか、という説がある。あるいはなんらかの錯覚ではないか。

写真家門脇久芳氏の『オーロラの国で』(アスベクト)
多くの人がオーロラを見ると同時に音が聞こえることを報告しているが録音された音がなく、オーロラと音が関係していることは実証されていない。

写真家田中達也氏の『オーロラの本』(学習研究社)
→オーロラの音を聞いたという証言は少なくないこと。ヒュルルルルーとかパチパチといったかすかな音だったそうであること。ただ、オーロラの動きにあわせて音がするというのは音の伝播に時間がかかることを考えると矛盾すること。イメージとして心で音を聞いているのではないかと書かれています。

おなじく田中達也氏の『オーロラ旅物語』(東京書籍)
→詳しくオーロラの音について言及。「シュー」「パチパチ」「サラサラ」という証言があるが田中氏本人はまだオーロラの音を聴いたことがないこと、先住民族から伝わるオーロラ伝説ではオーロラの音について触れている話も多く、イヌイットやサーメ人の中には今でもオーロラの音を聞くことができる人がいるらしいと書かれています。音を聞いたという証言者の言葉の引用は『オーロラ』ニール・デイビス著と重複。

と、いくつかの書籍をご紹介させていただきましたが、私が今まで目を通したこれらの本では、オーロラの音を、零下50度ぐらいで人の息が凍る時の音と混同した可能性に言及しているものはありません。
証言の事例でも、「最初、自分の息が凍る時の音かと思いました。でも違いました。明らかにオーロラから音がしています」というような言葉はありません。

あくまでも私の推測ですが、オーロラの音を聞いたという証言の中のいくつかは「星のささやき」現象だったのではないでしょうか。
つまり、「星のささやき」体験談を探そうと思ったら、オーロラの音体験談の中に発見できるかもと思うのです。

Minus62 小川誠治さんに見解をうかがうと「私自身は聞いたことがない」とのこと。
今年の1月、アラスカでのオーロラ撮影の際、「-52℃」を体験されたのですが、やはり、音は聞いていらっしゃらないとのこと。
「しかし、オーロラが出現中は撮影に夢中で、音を聞こうとする余裕などない。従って、肯定も否定も出来ない」とのことでした。

→小川さんが-52度を体験された時のお写真がこちら。
  華氏-62°の表示が。
  摂氏=5/9(華氏-32)ですので
  摂氏-52度であることがわかりますね!!

いつか、私自身が氷点下50度の中に身を置いて「星のささやき」を聞いたり「オーロラの音」を感じてみたいです。

さて、最初にご紹介したオーロラの写真は小川誠治さんが昨年1月にアラスカのチナ湖畔で撮影されたもの。
緑の光がなびく様子がとてもファンタジックで美しいので許可を得てこのブログで掲載させていただいております。

葛飾区郷土と天文の博物館で、2009年3月末まで上映されている、「ミュージック・プラネット ケルトの調べとオーロラ」にも小川さんはオーロラ写真を多数提供されているそうです。

渋谷星の会
http://www.geocities.jp/shibuya_star/のオーロラ写真館でも、数々オーロラ写真も披露されています。オーロラがお好きな方、ぜひ訪ねてみてください。

星のささやきシリーズINDEXはこちら

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コメント

ここに書いて気づいてもらえるかな。。。?

オーロラ写真館で、emiさんのお顔
写真で拝見致しました!

うわー大学院の教授みたい☆
このブログ自体もう既に論文の様に
なってますが、こんなご立派な方と
気軽に会話をしていたのかと思うと、
一人パソコンの前で恐縮してました。

オーロラ写真館、いつか笑店でも
ぜひご紹介させて下さいね。

おんぽたんぽさん。こんにちは。
小川誠治さんの「オーロラ写真館」見てくださったのですね。ありがとうございます。
「教授みたい」って照れます。
1000倍言いすぎですよ(*^。^*)
論文みたいなんて、プルプル(顔の前で手を振っています)。
ロシア語も気象も天文も専門家ではないので辞書ひきひき、専門用語にほーとかへーとか驚きつつ書いているのです。

小川誠治さんはオーロラに魅せられて美しいオーロラの写真をたくさん撮って私たちをうっとりさせてくださいます。前世、サンタクロースではないかとひそかに思っています

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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