鈴木明子の魅了ステップ、充実のEX
今年の全日本。鈴木明子も素晴らしかったですね。
自信、風格が感じられました。
指先までこまやかな表現。キレ。
鈴木明子は中野友加里の芯の強さや挑む気迫と、村主章枝の、観客の応援が力になる!
と観客と一体化したいと思う感覚。
両スケーターのいい面を併せ持つのが強みですね。
コメントする時はおっとり口調ですけれどとても冷静に自分をみつめているのがいいですね。
試合に臨む前に勝負にこだわりそうな自分がいたので、
「それよりももっと見せたいものがあるよね」
と自分に話しかけたようなことを語っていることに感心しました。
フリーではこけてしまったけれど、ステップが最高に素晴らしかった。
振り付けとして覚えるというのではなく心身の内側から溢れてくる「ノリ」。
とてもチャーミングで躍動感溢れていて、氷の上で滑っているとは思えない細かなステップ。
そして、ポーズを決めたままスーと風を切ってゆく疾走感。
これは「滑る」ことができる氷上だからこそできること。
フィギュアスケートじゃなければ表現できない「踊り」が満載。
五輪に選ばれた時のコメントでも、ステップのところで本当に幸せだった、
というようなことを語っていて、
五輪の切符うんぬんのプレッシャーを忘れ切るわけではないはずだけど、
「それでも踊るの楽しい!みんなにみてもらえて幸せ」っていう原点の気持ちを達成しきれたことが本当によかった!って思います。
アイスダンスのシェイ=リーン・ボーンも『リバーダンス』の時に本当に楽しそうで、
見ているだけでこちらの身体もむずむず動いてきましたが、
鈴木明子も真似したくなる踊りの楽しさを見せてくれるスケーターの一人。
(ボーンはフリーのウエストサイドストーリーの振付もしているんですよね)。
EXの『カリブ』の音楽は本来、私はあまり好きではありません。
クラシックやピアソラのタンゴは好きだけど、
海外で受けそうなムーディーな音楽とかチアガールですかっていうがガチャガチャした音楽は苦手。
けれど、この『カリブ』。
鈴木明子が滑るのをみて素敵だなあと思いました。
カメラに指を向けてウインクするところとか弾けていて。
大人っぽい振り付けでも清潔感があるのがなにより魅力ですね。
こんなステップも氷上でできるの!って驚く多彩さ。
何度見ても飽きません。
そして、幸せな気持ちが高揚してきます。
人間ってすごい。こんな軽やかに舞うことができるのよ!
って鳥や白鳥に自慢したくなります。
踊る=人間讃歌。五輪にまさにふさわしいフリーやEX。
このEXと笑顔が五輪の舞台で絶対みられますように。
鈴木明子は演技ではなくて、本能で音楽に身体が反応するのでしょうね。
大塚愛が歌った時もその音やリズムを愉しんでいるようにみえました。
次に滑る村上佳菜子がキス&クライの鈴木明子におめでとーと言って、
鈴木明子が村上にがんばってーって言っているようにみえるシーンもよかったでしたね。
村上は軽やかでスピードがあって、ジャンプの前に身体の動きがとまってしまう、
というのが少なくていいですね。
手の動きもこまやかなので、ゆったりした音楽のところでは優雅さもかもしだして、ステップもきちんと刻んで。
武田奈也はジャンプが音楽とぴたりとあった瞬間がいくつもあってそれがとても心地よかったです。
EXはすべての選手の選曲が素晴らしく、世界の大会よりも豪華で質の高いEXでしたね。
特に高橋大輔の「ラブレター」の曲が素敵。
ピアノの甘くはかないメロディーが静かに心に広がりました。
五輪を決めた選手たちの中で滑るのは中野にとって酷なことだったと思うのですががんばりましたね。
安藤のレクイエムもよかったでした。
鼻が高い顔立ちだけではなく、プルシェンコをおもわせる羽生くんはリズムを自然に刻んで滑っているところがすごい。
中野友加里は人一倍努力してあれだけ洗練された技術や表現力を身に付けたのですから今回は枠が3つなのが本当に残念。
トリノ五輪に行けたらよかったのに。
五輪がかなわなくても、多くの人が彼女の演技や取り組む姿勢に胸を打たれているでしょうし、
海外の人だって今は五輪以外の大会の映像を簡単に見ることができる時代。
次の舞台を輝く笑顔で滑るところがみたいです。
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初投稿です。
自分もそう思う。本当はEX「Caribe」ではなくて、昨年一度だけやった本人振付の「Bellezza」をやってほしかった。このEXはひたすら優雅だし、本来こういうプロもできる人だし。でもこのEXは本当に大切な時にしか簡単にはやらないということなので、今回はやっても良かったと思うが、やはり五輪であのEXをやるのかな。全てを出しきれば、EXができる順位までいける。
投稿: たこ | 2009年12月31日 (木) 11:20
たこさま。はじめまして。「Bellezza」を知らず今調べて動画をみてみました。
ピアノ生演奏とのコラボですよね?明るく澄んだしっとりした曲で「ひたすら優雅に滑る」というのがよくわかりました。鈴木明子はダンサーとしてラテン系とか踊れる一方、北欧のスケーターのようなしっとりしたリリカルな雰囲気もあって。
品性というものをとても感じます。
「全てを出し切ればEXができる順位までいける」というたこさんのお言葉通りになってほしいです!「Bellezza」を教えてくださりありがとうございました。
投稿: emi | 2009年12月31日 (木) 12:22