私が見たい私
フィギュアスケート女子シングルのショートプログラム。
特に印象に残った選手を。
長洲未来。美しかった。しっとりした音楽もいいですね。
スパイラルのY字に足をあげるところも、足のつけねからの開きがものすごくきれい。
あげた足を降ろす時もドスンじゃなくて、かなりゆっくり丁寧に降ろすのも美しかったです。
レイバックスピンも軸がぶれず、回転も乱れがないまま最後の美しいビールマンのポジションにもっていきましたね。
背筋が強いのでしょうか。
すごく背中から腕までの姿勢もきれい。
ステップでも愛らしい長洲未来の等身大の魅力があふれていました。
浅田真央。すばらしかった!!
直前の6分間練習の時の緊張しているような表情。
フウと息を吐いたり、つばを飲み込むような様子にこちらまでどきどき。
でもその緊張すら(もちろん演出ではないわけですが)
「初めての五輪で踊る浅田真央」に「初めての仮面舞踏会で踊る少女」がだぶってみえました。
ミスが絶対許されないというショートで、
トリプルアクセルを鮮やかにコンビネーションで決めたことが本当にすばらしかったです。
その直後から表情もやわらかくなって。
スパイラルの姿勢も、ビールマンスピンもステップもすごくよかった。
確かにキムヨナに比べると、
音のひとつひとつと動きをシンクロさせているわけじゃなかったり、
ここはもうちょっと音にパッと動きをあわせて、少し休止姿勢の方がウケがいいのかなと思うところもありましたが、
ショートは僅差で浅田真央が上が妥当だったのでは。
トリプルアクセルしかり、あれだけ休まず、疾走で滑り続け、踊り続けるというスタミナへの評価。
そのスタミナを維持して後半決めることのできるステップ他への評価、もっと高くてもいいのに。
でも、浅田真央本人が終わったあと、
すごくうれしそうにしていたこと(ぴょんぴょんがかわいかった)がよかったです。
会場が沸いた様子もテレビ越しに伝わってきましたし。
私はこの日、外出中だったのですが家電量販店のテレビで浅田真央の演技は生観戦することができました。
大勢の方達と一緒に街頭テレビ状態で食い入るようにみました。
多くのプレッシャーを乗り越えた演技に、涙がこみあげてきました。
演技が終わったあと、まわりからも拍手が湧きおこりました。
浅田真央が五輪に挑むインタビューでトリプルアクセルを果敢に入れていくつもりであることの理由を、
まだトリプルアクセルを加えパーフェクトに滑りきったことがないので、
完璧に滑りきるプログラムを、そんな自分自身をみてみたい、というようなことを語っていました
(録画していたわけじゃないので言葉の細部正確ではありません)
「予定調和」はつまらないですよね。
壁を越える。自分自身が想像していない境地に立つ。
ショートでそれを一番成し遂げたのが浅田真央ではないでしょうか。
<私が見てみたい私をみることができた>
それは順位やメダルに変えがたい宝物なのでは。
キム・ヨナ。浅田真央が滑ったあと、ミスなくあれだけの演技をできる精神力と技術に感服。
007は名プログラム。
メイクもコスチュームもぴったりですし、
ストレートラインステップは多彩な動きとコケティッシュ&洒落た雰囲気があって魅力的ですね。
それでもスパイラルのポジションはそんなにきれいではなかったし、
スピンも同じところでまわり続けるというよりも少し流れているところもありました。
緩急のめりはりがついたいいプログラムですが、
「急急」の浅田、「緩急」のキム・ヨナ、浅田と演技を見直してしまうと、
運動量が浅田真央よりも少なく見えて、物足りなさを感じます。
鈴木明子。キムヨナのあと。一番滑りにくい空気の中で、
リンクサイドで自分のほほを何度もポンポンとしているところが印象的でした。
大丈夫大丈夫。私は自分の演技をするだけ、って自分自身を励ましているような。
ジャンプのミスはあったものの、自分のよさをすべて発揮できたショートだったのでは。
手のかざし方、ステップetc.踊る天性の素質、世界中に伝わったと思います。
フリーで順位をあげてぜひEXを披露してほしいです。
長洲未来と鈴木明子が闘争心をカラッと明るく現すところが素敵。
「真央ちゃんはトリプルアクセルをしているところがすごいですよね。
トリプルトリプル」。
声を弾ませて語っていた長洲が同じ舞台に立つようになって
「憧れからライバルという気持ちで滑らないといけないと思う」というようなことを落ち着いて語る様子。
鈴木明子が会見で「一番私が輝いた演技をみせるぞ」というように語るところとか。
ロシェットでは胸が熱くなりました。
母国での娘の勇姿を見ず、急逝したお母さん。
演技が終わった直後に涙。
演技が終わるまでどれだけこらえていたのだろうとじーんときました。
今の採点方法を加味しても、点が思った以上に伸びましたが、
音にあわせてタンゴを踊るという面では見事でした。
何年か前は、ここまで上位に食い込んでくる選手に成長するとは思っていませんでしたが、
ショートは、ジャンプ他のわざだけじゃなく
全体が密度濃くタンゴを踊っている振り付けをこなしていてすばらしかったです。
« 長洲未来いいですね | トップページ | 銀盤の女王は銀がふさわしい~浅田真央~ by 太田由希奈 »
「 フィギュアスケート」カテゴリの記事
- りくりゅうペアでみてみたいプログラム、村元哉中&クリス・リードの桜をテーマにした名プロゴウラム(2022.03.13)
- 北京五輪。りくりゅうペアにじ~ん。涙涙。一緒に滑られるしあわせがあふれていました(2022.02.20)
- フィギュアスケートアイスダンスのクリス・リード&村元哉中の桜の名プログラムは永遠。(2020.03.17)
コメント