宇宙飛行士を迎える地球のにおい
昨日2010年6月4日の朝日新聞の天声人語が、こんな文章ではじまっていました。
去年、宇宙に長期滞在した若田光一さんの帰還を、皇后さまが詠まれた歌がある。
〈夏草の茂れる星に還り来てまづその草の香を云ひし人〉。
おととい帰ってきた野口聡一さんは、土の香にも迎えられた。
「ハッチが開いた瞬間、土と草のにおいが強烈だった」。
どちらも生命の匂(にお)いである。
皇后さまの歌、素敵ですね。「夏草の茂れる星」。
この言葉をつぶやくだけで緑豊かな地球の姿がイメージできます。
49年前の1961年4月にガガーリンが宇宙へ行った時、地球を映せるテレビカメラを搭載していませんでした。
ですので私たちは彼の言葉から「宇宙から見た青い地球」を想像しました。
でも、今はありがたいことに、宇宙飛行士として宇宙に実際に行かなくても、
宇宙から見た地球を映像でみることができます。
無重力状態をはじめ、宇宙飛行士が宇宙で味わう貴重な体験の何パーセントかは、
地球上でも想像したり、疑似体験が可能です。
となると、一番、追体験できないもの、宇宙飛行士でないと体験できないものはなんでしょう。
それは、<地球のにおいを感じること>なのかも。
自分のところの匂いって中にいるとなかなか気づけないですよね。慣れてしまって。
カレーをつくった日、部屋の中がカレーくさいなんて思わないのに、
翌日に外から戻ってきて、まだにおいが残っていることに気づくことありますよね。
自分のHOME(家)のにおいに慣れてしまうように、
自分のHOME(母国)のにおいもそうなのかもしれないですね。
海外の人が日本に来た時におしょうゆの匂いを感じるという話を時々聞きますよね。
同じように考えるなら、自分のHOME(地球)のにおいも、
一度離れて外にしばらくいないと気づけないということになります。
宇宙船から戻ってきて地球のにおいを嗅いだ時ってどんなかんじなんでしょう。
<地球のにおい>といっても、
実際には着陸地点の緑や土や風のにおいが宇宙飛行士を迎えるのでしょうけれど、
きっと生き物や植物が発散するエネルギーが鼻腔を一気に刺激するのかしらなんて思います。
宇宙人が地球にきた時、きいてみたいですね。
「地球はどんなにおいがしますか」って。
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emiさんの文章は、どれもやっぱり
素晴らしくて。。。
感動で胸がいっぱいになって
言葉が降りてこないことも
よくあるのですが、皆が気軽に宇宙に
行ける時代がもし来たら、emiさんが
行ってこられた時の感想を、emiさんの
言葉で聞いてみたいなぁと思いました。
投稿: おんぽたんぽ | 2010年6月12日 (土) 10:05
おんぽたんぽさん。
そう言っていただけて光栄です。でもまだまだ。筆力&感性、磨いていきたいです。
私もおんぽたんぽさんが宇宙に行かれたら地球を見てどんなことを感じ、何を想うかぜひうかがいたいところです!
投稿: emi | 2010年6月12日 (土) 12:29