はやぶさがアボリジニの聖地に遺したカプセルは未来を拓く種子
少し前のことになりますが、はやぶさの帰還に心踊りました。
小惑星イトカワの探査ミッションを受けて宇宙へ飛び立って7年。
地球に帰還する時、大気圏に突入して燃え尽きる様子(スーと光の線が空を走りその先に光の球がある)は
まるで火の鳥が身を焦がすようで、
「献身」という言葉がうかびました。
鳥が燃えつきてもその中から新しい若鳥が現れ、
未来へつなぐというというのは手塚治虫の『火の鳥』そのもの。
燃え尽きる前、はやぶさが地球を撮った最後の1枚を見ました。
→毎日新聞2010年6月19日の記事より。
(ttp://mainichi.jp/select/science/news/20100620k0000m040020000c.html?inb=yt)
アラビア半島やカスピ海が写っているのですね。
これがはやぶさが最後の見た地球の姿なんだと」思うと、ちょっとせつなくなりますね。
宇宙から「はやぶさ」という鳥が地球を目指してまっしぐら。
(カプセルが)堕ちたのがオーストラリアのアボリジニの聖地というのはまるで神話かSFファンタジーのよう。
小惑星イトカワで採取したものが入っていることが期待されていたカプセル。
1ミリ以上の砂はなかったと判明しましたが、微量のガス成分が検出されたわけですが、
イトカワから持ち帰ったものか、帰還時等のものなのか確認中ということで楽しみ。
カプセルから微量のガスというところは『浦島太郎』の玉手箱のようでもありますね。
アボリジニの神話に、宇宙から鳥が飛来して~みたいなものがないかしらと、何冊か読んでみました。
どんぴしゃりのものはみつけられなかったのですが星や宇宙に関する記述を抜粋or要約していくつかご紹介すると・・・
・ミルンガヤ(天の河)は死者の魂が帰るべきところのひとつ。
(『アボリジニ美術』ハワード・モーフィ著 p214)
・明けの明星は昼間は網み袋の中に入れられ、夜ごとその袋から出される。
星は1本の糸でつながれており、空に放たれてもけっして逃げることはない。
(『アボリジニ美術』p227~229)
・「先祖霊」は、夜空の特定の位置に輝く星座へ赴く。
星の煌めく夜空一面には、見ればすぐそれと分かる星座だけでなく、
不可知のエネルギーが織り成す特殊なパターンも存在している。(略)
天界のエネルギーは、身体に描かれた氏族デザインと共鳴し、
霊が天国へと旅立つさいの導き手となる。
(『アボリジニの世界』ロバート・ローラー著p462)
・アボリジニの宗教では、鳥は死者のエネルギーを吸収し、
それをはるか彼方まで送り届ける。
・プレアデス星団は「メイヤーメーイ」という七人の姉妹
(『アボリジニー神話』K・ラングロー・パーカー著p155)
・オリオン座の三ツ星は「ベライ・ベライ(若者たち)」。
メイヤーメーイが地上から永遠に去って空に昇ってしまったことを嘆き、
やつれて死んでしまったベライ・ベライたちが空に召し上げられた
(『アボリジニー神話』p175)・マゼラン星雲はワシタカのマリアン(『アボリジニー神話』p291)
・南十字星は精霊の木(『アボリジニー神話』p291)
~~~~~~~
アボリジニに関する本を読むと必ず出てくるキーワードが「夢見(ドリーミング)」ですが、
ドリーミングと同じように重要な言葉・概念が「グルワリ」のようです。
グルワリとは大地が宿している「種子の力」を意味する言葉。
植物の中に種子が内在するように、大地、山並み、岩、河床、池といった地形には宿された振動があって、
その地形を生み出した出来事がこだましている、と考えていたようです。
(『アボリジニの世界』p17より要約)
別のページでは「グルワリ」とは、
想像力溢れた先祖が、大地や森羅万象の内に埋め込んだ、
肉眼では見えない種子や生命を生み出すエネルギーなのだ。(p62)
とも書かれています。
私たち が言うところの「気」や「オーラ」みたいなものをアボリジニの人たちはもっと強く体感してきたのかなと思いました。
現地ではやぶさはどんな風に受け止められたのでしょうか。
カプセルはいわば「種子」。
小惑星イトカワの物質がたとえ入っていなかったとしても宇宙へ行って探査して戻ってきたということは、
エポックメーキング。アボリジニ神話の聖地に堕ちたこのカプセルはいろんな発展の花を咲かせる「種子」といえるのでしょう。
さて「はやぶさ」といえば、小惑星イトカワ。
そして小惑星イトカワといったら「らっこ」です。
なぜ、らっこ?とい思われる方は、どうぞ、このブログの2007年7月22日の記事をご覧ください。
宇宙では、愛らしいラッコがぷかぷか遊泳しているんですよ~。
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