枕草子で雪がでてくる箇所
雪の結晶について追っている中で、
平安時代の文学でどんな風に雪が登場するのかを知りたくなりました。
とくに清少納言が雪についてどう取り上げているのかを。
私がページを追ってみつけた箇所を挙げてみます。
『枕草子 紫式部日記』 日本古典文学大系 岩波書店より。
・段に【】をつけたり漢数字をアラビア数字などに私流アレンジしています。
・注釈はこの本の欄外に書かれているものを紹介しています。
・雪に関するところだけを私がピックアップ。前後略しています。
・あくまでも自分自身のメモ用ですので、見落としがあるかもしれません。
【1 春はあけぼの】
p43 冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、
霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに、
火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。
【3 正月一日は】
p44 七日、雪まのわかなつみ
p45 舎人の顔のきぬにあらはれ、まことにくろきに、
しろき物いきつかぬ所は、雪のむらむら消えのこりたるここちして、
いとみぐるしく、馬のあがりさわぐなどもいとおそろしう見ゆれば、
引き入られてよくも見えず。
p46 雪降り、いみじうこほりたるに、
【42 あてなるもの】
p92 (私メモ:あてなるものを挙げる一つに)梅の花に雪のふりかかりたる。
注釈 あてなるもの=上品なもの
【45 にげなきもの】
p93 (私メモ:にげなきものを挙げる一つに)下衆の家に雪の降りたる。
また、月のさし入りたるもくちをし。
注釈 にげなきもの=似合わない感じのもの
【66 草は】
p104 雪間の若草
【76 内裏の局、細殿いみじうをかし】
p110 冬は、雪・霰などの、風にたぐひて降り入りたるもいとをかし。
【87職の御曹司におはします頃、西の廂にて】
p128 師走の十よ日の程に、雪いみじう降りたるを、
女官どもなどして、縁にいとおほく置くを(私メモ ~以下略、雪山をつくる話です)
p130 ここにのみめづらしとみる雪の山所々にふりにけるかな
注釈 雪の山は此処だけに作ったと思いましたら、さては方々に作られ、一向珍しくなかったのですね
p131人の目も見入れねば、雪の山にのぼり(略)雪の山、つれなくて年もかへりぬ。
注釈 依然消えないまま翌年となった。
一日の日の夜、雪のいとおほく降りたると、「うれしうもまた積みつるかな」
p132御使に、しろき織物の単、蘇枋なるは梅なめり。
雪の降りしきたるに、かづきてまゐるもをかしう見ゆ。(略)
雪の山、まことの越のにやあらんと見えて、消えげもなし。
注釈ほんものの越路の山の雪かと見えて消えそうにもない
p133 「この雪の山いみじうまぼりて、わらはべなどに踏みちらさせず(略)」
【88 めでたきもの】
p138 ひろき庭に雪のあつく降り敷きたる。
【98 くちをしきもの】
p148 くちをしきもの 五節・御仏名に雪降らで、雨のかきくらし降りたる。
注釈 くちをしきもの=残念なもの。かきくらし=空を暗くして降るさま
【106 二月つごもり頃に】
p165 二月つごもり頃に、風いたう吹きて空いみじう黒きに、雪すこしうち散りたる程、黒戸に主殿司来て~
p166 空さむみ花にまがjへてちる雪に
注釈 空が寒いために散る雪が、花かと見紛うので 白氏文集の南秦ノ雪をモチーフ。
【120 正月に寺にこもりたるは】
p172 正月に寺にこもりたるは、いみじうさむく、雪がちに氷りたるこそをかしけれ。
【181 雪のいと高うはあらで】
p227 雪のいと高うはあらで、うすらかに降りたるなどは、いとこそをかしけれ。
また、雪のいと高う降りつもりたる夕暮より、端近う、
おなじ心なる人、二三人ばかり、火桶を中にすゑて物語などするほどに、暗うなりぬれど、
こなたには火もともさぬに、おほかたの雪の光いとしろう見えたるに、
火箸して灰など掻きすさみて、あはれなるもをかしきもいひあはせたるこそをかしけれ。
【182 村上の前帝の御時に】
p228 村上の前帝の御時に、雪のいみじう降りたりけるを、
様器に盛らせ給ひて、梅の花をさして、月のいと明かきに、
「これに歌よめ。いかがいふべき」と、兵衞の藏人に賜はせたりければ、
「雪月花の時」と奏したりけるをこそ、いみじうめでさせ給ひけれ。
注釈 白氏文集「雪月花時 最憶君」がモチーフ
【184 宮にはじめてまゐりたるころ】
p230 ゐざりかへるにやおそきとあげちらしたるに、雪降りにけり。登花殿の御前は立蔀近くてせばし。
雪いとをかし。晝つかた、「今日はなほまゐれ。雪にくもりてあらはにもあるまじ」
p231 大納言殿のまゐり給へるなりけり。御直衣、指貫の紫の色、雪に映えていみじうをかし。柱もとにゐ給ひて、)
「昨日今日、物忌に侍りつれど、雪のいたく降り侍りつれば、おぼつかなさになん」と申し給ふ。
【220 賀茂の臨時の祭り】
p251 賀茂の臨時の祭、空の曇り、寒げなるに、雪すこしうち散りて、
挿頭の花、青摺などにかかりたる、えもいはずをかし。
【247 雪高う降りて】
p269 雪高う降りて、いまもなほ降るに、(略)
風のいたう吹きて横さまに雪を吹きかくれば、すこしかたぶけてあゆみ来るに、
深き沓、半靴などのはばきまで、雪のいと白うかかりたるこそをかしかれ。
【250 降るものは】
p270 降るものは 雪。霰。霙は、にくけれど、白き雪のまじりて降る、をかし。
【251 雪は 檜皮葺】
p270 雪は、檜皮葺、いとめでたし。すこし消えがたになりたるほど。
また、いと多うも降らぬが、瓦の目ごとに入りて、黒うまろに見えたる、いとをかし。
【292 成信の中将】
p307 雪こそめでたけれ。「忘れめや」などひとりごちて、
忍びたることはさらなり、いとさあらぬ所も、直衣などはさらにもいはず、
うへのきぬ、蔵人の青色などの、いとひややかにぬれたらんは、いみじうをかしかべし。
【294 今朝はさしも見えざりつる空の】
p294 いと暗うかき曇りて、雪のかきくらし降るに、
いと心ぼそく見出すほどもなく、白うつもりて、なほいみじう降るに
【299 雪のいと高う降りたるを】
p310 雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、
物語などして集りさぶらふに、「少納言よ 香爐峰の雪いかならん」と仰せらるれば、
御格子あげさせて、御簾を高く上げたれば わらはせ給ふ。
注釈より 白氏文集 16 「香炉峯下新卜山居草堂初成偶題東壁」という題の詩の「香炉峰雪撥簾看」というくだりのこと。
【302 十二月廿四日、宮の御佛名の】
p312 日ごろ降りつる雪の今日はやみて、風などいたう吹きつれば、
垂氷いみじうしだり、地などこそむらむら白き所がちなれ、
屋の上は、ただおしなべて白きに、あやしき賤の屋も雪に皆面隠しして、
有明の月のくまなきに、いみじうをかし。
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