日本三代実録をみてみました(その3)貞観9年の阿蘇山噴火、10年の播磨・山城地震他、天文・気象現象
4月12日の続きです。
『日本三代実録』から、気になる記述を挙げています。
記載のただし書きは4月12日のブログをご覧ください。
貞観7年(865年)
6月21日 【月色変ず】夜明けに、月の色正黄なり。赤き雲有りてこれを覆ひき。 p287
9月9日 【流星】この夜、星有り、卷舌(けんぜつ)を出でて畢(びつ)の首に入り、長さ三尺ばかりなりき。 p293
9月10日 【流星】 夜、星有り、墳墓(ふんぼ)の下を出でて須女(すじょ)に入り貫(つらぬ)きき。
12月24日 【流星】夜、星有り、奎婁(けいる)の北に出でて土司空(どしくう)に入りふれき。 p306
貞観8年(866年)
1月27日 【流星】星有り、織女を出でて女林に入りき。 p316
6月28日 【流星】夜、星有り、奎を出でて、大陵に入りき。 p340
11月5日 【流星】夜、星有り、大畢(たいひつ)を出でて、大角(たいかく)にふれ貫(あた)り、攝提(せつてい)に入りき。 p367
貞観9年(867年)
1月27日 地震。
2月1日 地震。
3)豊後、鶴見岳噴火に関して
2月26日 【豐後の火山爆発】大宰府言しけらく、『從五位上火男神、從五位下火神の二社、豊後国速見郡鶴見山の嶺に在り。山の頂に三つの池有り。一つの池は泥(にご)りて水の色青く、一つの池は黒く、一つの池は赤し。去る正月廿日(はつか)に池震動し、その声雷の如く、しばらくして臰(におい)流黄の如くにして国内にあまねく満ち、磐石の飛び乱るること上下数なく、石の大なるものは方丈、小なるものも甕(かめ)の如く、昼は黒雲蒸し、夜は炎火熾(も)え、沙泥雪のごとく散りて数里に積りき。池中に元温泉出づ。泉の水沸き騰(あが)りて自ら河流を成し、山脚の道路、往還通はず、温泉ほ水衆流に入りて、魚の酔ひ死ぬるもの千万数、その震動の声三日にわたりき』と。 p386
(私メモ/豊後の鶴見山というのは大分県別府市の鶴見岳のことですね)
5月13日 地震。
6月30日 地震。
7月24日 星、昼あらわれき。 p402
7月25日 地震。
3)阿蘇山噴火に関して
8月6日 【阿蘇山噴火】大宰府言しけらく、『肥後国阿蘇郡正二位勲五等建磐龍命神、正四位下姫神の居せる山嶺、去る5月11日の夜、あやしき光照り輝き、12日の朝、振動して崩るること広さ五丈ばかり、長さ二百五十丈ばかりなりき』と。 p402
8月8日 大宰府に下知して、豊後国をして神の山の崩れし怪(かい)を鎮謝せしめき。
10月17日 昼、流星有りて東南に行き、光地を照らしき。 p410
11月23日 彗星、紫微宮の西にあらはれて内階を貫き、長さ五尺ばかりなりき。 p412
11月29日 【災難消去のために諸国をして読経せしむ】詔の文言が記されています。抜粋で
『さきに天文変を告げ、地理妖をしめす。龜に謀り筮に謀るに、誠に国の慶びにあらず。しかのみならず陰陽の書の説に、来年戌子、まさに水旱疾疫の災あるべしとなり。』 p412
こういう詔が出るほど、災い続きであることが感じられます。
11月30日 日の上に冠有り、左右に珥(じ)をなし、色黄白なりき。 p413
貞観10年(868年)
4月13日 地震。
4月15日【出羽国神異を報ず】出羽国言しけらく、飽海郡の月山、大物忌両神社の前に石の鏃(やじり)6枚降りき』と。 p426
4月28日 地震。
5月10日 歳星房(ぼう)を犯し、右服(うふく)に経歴すること七日なりき。 p427
5月19日 地震。
4)播磨・山城地震に関して
(「理科年表」では⇒No.19。西暦868年8月3日。貞観10年7月8日。M≧7.0。播磨・山城:播磨諸郡の官舎・諸定額寺の堂塔ことごとく頽れ倒れた。京都では垣屋に崩れたものがあった。山崎断層の活動によるものか?)
7月8日 地震動り内外(ないげ)の垣屋ところどこ頽破(たいは)しき。 p429
(私メモ/この日本三大実録は京の都で書かれているはずなので、京都で大地震だったことがわかります。この地震の記述に「山城」という地名はでてこないのですが、山城=現在の京都府南部なので、この7月8日の地震が後世でいう「播磨・山城地震」のことだとわかります)
7月9日 地震。
7月12日 地震。
7月13日 地震。
(私メモ/余震が続いているということですね)
4)播磨・山城地震に関して
7月15日 【播磨国大震を報ず】播磨国言しけらく、『今月八日、地大いに震動りて、諸郡の官舎、諸定額寺の堂塔、皆ことごとくくづれ倒れき』と。 p429
(私メモ/播磨国は現在の兵庫県南西部。8日の地震が京都~兵庫で大地震であったことがわかります。
古今書院から出版された『古地震を探る』p140 によると震央は姫路、Mは7.0以上とされています)
7月16日 地震。
7月20日 地震。
7月21日 地震。
8月10日 地震。
8月12日 地震。
8月14日 地震。
8月16日 地震。
8月29日 地震。
9月7日 地震。
9月11日 この夜、星有り、軒轅(けんえん)より出でて紫宮(しきゅう)に入りき。 p431
11月27日 地震。
12月1日 地震。
12月10日 地震。
12月16日 地震。
(私メモ/余震がずいぶん続いていますね)
閏12月10日 【広田、生田両神に奉幣す】
摂津国の広田神社、生田神社に奉幣した時の告文が記されています。この告文の中に、
「摂津国解しけらく、地震の後に小震止まずと申す。 p436
と、ずっと余震が続いていることが記述されています。
ちなみに摂津国の広田、生田両社は兵庫県西宮市の広田神社、神戸市の生田神社のことでしょう。
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