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2011年4月12日 (火)

日本三代実録をみてみました(その2)貞観の越中越後地震、富士山噴火、阿蘇山噴火、天文・気象現象

平安時代の貞観の頃は火山の噴火、地震が多発していたのですね。
この頃起きた天変地異を挙げてみます。
(通し番号は便宜上つけました。貞観地震を軸に前後何年かも記してみます)

1)貞観5年(863年)越中・越後地震(富山・新潟)(-6年) →詳細はこの記事の下を
2)貞観6年(864年)駿河国、富士山大噴火(静岡・山梨)、阿蘇山噴火(熊本)(-5年)  →〃
3)貞観9年(867年)豊後、鶴見岳噴火(大分)、阿蘇山噴火(熊本)(-2年)
                            →詳細は4月16日のこちらを
4)貞観10年(868年)播磨・山城地震(兵庫・京都)(-1年)→      〃

貞観11年(869年)三陸大地震(貞観大地震)(東北) →詳細は4月9日のこちらを
4)’貞観11年(869年)肥後国(熊本)で地震? →           〃
5)貞観13年(871年)出羽国、鳥海山噴火(秋田・山形)(+2年)  →詳細は4月28日のこちらを
6)貞観16年(874年)薩摩国、開聞岳噴火(鹿児島)(+5年) →  〃
7)元慶二年(878年)相模・武蔵地震(関東)(+9年)  →詳細は5月1日のこちらを
8)仁和元年(885年)薩摩国、開聞岳大噴火(鹿児島)(+16年) →詳細は5月2日のこちらを
9)仁和二年(886年)安房国(千葉)で地震←新島噴火か(+17年) →  〃
10)仁和三年(887年)南海地震、東南海地震、東海地震(+18年)→ 〃

主に貞観時代の3年~16年を中心に『訓読日本三代実録』訓読者武田祐吉、佐藤謙三(臨川書店 1986) 』の中から、大地震関係、気になった天文、気象、不思議現象を挙げてみました。

---------------------注意-----------------------------

※すべての現象を網羅しているわけではありません。地震、日蝕月蝕この他にも記載ありますが一部だけピックアップしています。

※引用部分は色字。青=地震、噴火関係。紫=天文、気象現象。緑=不思議現象、その他。黒地は直接の引用ではなく私が要約したもの。

※【】はページの上につけられている見出し(後世につけられた)を私がピックアップ。

※漢字につけられたルビを参考に一部、私が現在わかりやすい漢字やひらがなに直しています。送り仮名他、わかりやすくするため原文と違っているところもあります。
ex辨ちがたく→わかちがたく

※記録の日付も漢数字をアラビア数字に直しました。

※日付の後の「甲子」などの表記は省きました。 注意して書き起こしていますが、間違いもあるかもしれません。ご了承ください。

------------------------------------------------------
貞観3年(861年)

4月7日 
地震。
(私メモ/4月7日に福岡県直方市の須賀神社に隕石が落下したという直方隕石。直方隕石の報告が記されていたらと思ったのですがありませんでした)

4月14日
空中に声ありて雷の如かりき。 p130
(私メモ、頻繁にこの現象がでてきます。雷とは違うのであれば、爆発音?隕石落下?と思ったりもしますが謎です)
8月16日
 月蝕 p140
8月27日
 空中に声有り、雷の如かりき。 p142
8月29日
 この月、京邑のところどころに梨すもも花咲き、或は実なりき。 p142

ブログに挙げませんでしたが、貞観3年も4年も頻繁に地震が起きています。

貞観4年(862年)
3月16日
 天の東に声有り、雷の如かりき。 p156
8月1日 
 日蝕
8月9日 但馬国言へらく、『慶雲見えき』と。 p168

11月3日 地大いに震ひ動きき。 p173

貞観5年(863年)
2月19日
【日月の光に異変有り】 16日より18日に至るまで、日初めて昇るに白くして光無く、月初めて出づるに、赤きこと丹の如し。 p192
3月2日 空中に声有りて、雷の如かりき。 p193

1)越中・越後地震に関して
(「理科年表」では⇒No.18。西暦863年7月10日。貞観5年6月17日。越中・越後:山崩れ、谷埋まり、水湧き、民家破壊し、圧死多数。直江津付近にあった数個の小島が潰滅したという)

6月17日【越中越後等に大震あり】
越中越後等の国、地大いに震ひき。陵谷ところをかへ、水泉湧き出で、民の蘆舎をこば(壊)ち、圧死する者おおかりき。これより後、毎日常に震ひき。
p202
-------------------------------------------


閏6月2日 大和国言へらく『石上神社の南に、五色の雲を見き』と。
閏6月9日 地震。
閏6月19日 暁に流星有りて、西に行きき。 p203
7月1日
 日蝕。
7月2日【流星の兆により伊勢大神に祷る】
     勅(みことのり)として伊勢大神に使いを送り、祈ったことが書かれています。
     去月流星有り、神官卜へて云はく、『天照大神祟りを成さん』と。故にいのりて以て不祥を防ぎしなり。p204

貞観6年(864年)
3月14日
彗星東にあらわれ、營室(えいしつ)の宿に在り、長さ四許尺なりき。 p241 

2)富士山大噴火に関して------------------
5月25日【駿河国、富士山の噴火を報ず】駿河国言へらく、『富士郡の正三位浅間大神の大山に火あり。その勢いはなはだ盛んにして、山を焼くこと方一二許里、ほのお(光炎)の高さ二十許丈、雷有り、地震ること三度、十日あまりをふ(歴)れども火なほ消えず、いわ(巌)を焦がし嶺を崩し、沙石雨ふるが如く、煙雲欝蒸して人近づくを得ず。大山の西北に本栖水海あり。焼けし巌石、流れて海の中に埋れ、遠さ三十許里、広さ三四許里、高さ二三許丈いして、ほのお(火焔)ついに甲斐国の境につく』と。 p243 


7月17日【甲斐国、富士山の噴火を報ず】甲斐国言ひけらく、『駿河国富士大山にたちまち暴火あり。崗巒(かんらん)を焼碎(しょうさい)し、草木を焦殺し、土を鑠(とか)し石を流し、八代郡の本栖、ならびに剗(せ)のふたつの水海を埋む。水熱くして湯の如く、魚龞(ぎょべつ)皆死に、百姓の居宅(いえ)、海と共に埋れ、或は家有りて人無きもの、その数記し難し。ふたつの海より東にもまた水海有り。名づけて河口海(かわぐちのうみ)と言ふ。ほのお(火焔)赴きて河口海に向ひき。本栖、剗(せ)等の海のいまだ焼け埋れざる前、地大いに震動して雷電暴雨あり、雲霧晦冥(うんむかいめい)して山野わかちがたく、しかる後にこの災異有りき』と。 p246
-------------------------------------------


9月9日【流星】この夜、星有り。紫微宮(しびきゅう)より出でて、昴に入り、長さ三丈余ばかりなりき。 p254
10月7日
【怪光見ゆ】夜、北山に光有り、雷の如かりき。また朱雀門前に赤き光を見る。長さ五尺ばかりなりき。
10月9日 地震。p254
10月12日
 地大いに震ひ動きき。 p256
11月13日
 夜、熒(けい)惑弖(てい)に入り守りき。 p256

2)阿蘇山噴火に関して--------------------
12月26日
【大宰府、阿蘇山の神霊池の異変を報ず】大宰府言へらく、『肥後国阿蘇郡の正二位勲五等健磐龍命神霊池、去る十月三日の夜、声有りて震ひ動き、池の水空中に沸き騰(あが)りて東南にそそぎ落つ。その東の方に落ちしは、布の如くにして延びひろがり、広さ十許町(じゅうちょうばかり)、水の色漿(しろみづ)の如くにして草木に粘着し、旬月を経といえども消え解けず』 p258

(私メモ、気象庁の阿蘇山 火山活動の記録(ttp://www.seisvol.kishou.go.jp/fukuoka/503_Asosan/503_rireki.html)をみると貞観6年の阿蘇山の噴火は11月9日となっています。ですので上記の10月3日の夜の異変というのは噴火前の現象のことになるのでしょうか。噴火そのものの記載はみつけられていません
追記20114.15 阿蘇山の「神霊池」=「噴火口」だったのですね。ですので日本三代実録の上の12月26日の記述も下の貞観7年2月10日の記述も阿蘇山噴火のことにまちがいありません。ただ、気象庁の記録と日付が違っているのが少し謎です)


貞観7年(865年)
2月1日
【流星】この日、夜、星有り。東井を出でて軫に入り、色白くして、長さ二丈余なりき。p267
2月10日
【阿蘇山神霊池の変により寺社に祈り、孤独者を恵み、未納税を免除す】
天皇からの詔(みことのり)の文言が記されています。抜粋で
「去冬、大宰府言上す、「肥後国阿蘇郡に在る神霊池は、淫雨を経れども増すこと無く、亢陽に在りても減らず。しかるに今故なくして沸騰し、他の県に衍溢す」「鰥寡孤独(かんかこどく)の自ら存ふること能はざる者には、量りて優賑を加へて支濟するを得しめよ。また天安二年以追往の租税の未納は、皆詭責することなく一(もは)ら蠲除(けんじょ)に従へ。」この詔書を太政官が五畿七道に頒下しました。その中でも詔を受けて、「鰥寡孤独の自ら存ふこと能はざる者には、救急の義倉の内をもちい、国司(こくし)相量(あいはか)りて給すべし。また天安二年以往の租税の未納の、所司の文簿に載れるは、ことごとく原免に従へ」 p268
と記しています。阿蘇山の噴火で被災された方達を手厚く助け、税の負担を考慮することなどの指示がされていますね。

日本三代実録 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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