2011年世界フィギュア(モスクワ)をみました
先日モスクワでおこなわれた世界フィギュア。
選手たちは大変だったことと思います。
1か月遅れの開催ということで、満身創痍の体をさらに1か月酷使することによる
体の調整、モチベーション。それでも開催できてよかったですね。
きちんとすべての演技を見てはいないのですが、
一番素晴らしかったと思うのは小塚崇彦とロシア女子のシングルスケーター、レオノワ。
小塚のフリーでは、リンクに向かう前に佐藤コーチを見るまなざしのまっすぐさも印象的。
癖がなくのびやかでまっすぐで。
そんな小塚の気質そのものがあらわれた演技。
4回転他、力強さと自信がみなぎる演技が素晴らしかったです。
高橋大輔はまさかのアクシデント。
それでもその局面を乗り越えて再び滑り出す姿に、
立ち上がろうとする日本の今を重ね合わせ、エールを送った方も少なくないでしょう。
女子はなんといってもレオノワ。
トリプルトリプル他を決めて、乗っていて、今のわたしを見て、という輝きとエネルギーに溢れた演技でした。
私自身の好みでは、無難なノーミスより、リスクに挑戦する選手が好き。
10回やって10回成功する技を続ける選手よりも、
難易度を上げ、10回やって3回しか成功しなくてもその技に挑む選手が好き。
とりわけ、練習や直前の6分間のウォーミングアップの時ですらうまくいかなかったのに、
本番でこんなことができてしまうなんて、って本人も感極まって、演技後、スケートの神様に感謝したくなる…。
そんな場面に立ち会えることにうれしさを感じます。
無難よりも挑戦。困難の克服。記録よりも記憶。
それを感じさえる選手が放つパワーは素晴らしいと思います。
浅田真央のショートはかたかったですね。
ジャンプに苦しんだ今季ですが、それ以外のところでもっとやわらかな、小粋な振付をふんだんに盛り込んでくれたら。
彼女自身の体型が、めりはりある曲線というよりも、すらりとした体つきであるからこそ、
もっと上体を曲げるとか、そらすとか、「滑らかな曲線」をつくりだす振付があったらいいなと思います。
フリー「愛の夢」、とてもよかったと思います。
あの状況でトリプルアクセルを挑み、着地するところが素晴らしい。
「ジャンプの失敗があって精彩に欠いた」と、夜のニュースなどでは言われていましたが、
そうは思いませんでした。
愛の夢の世界がじわじわしみこんでくる、
透明感、ふんわりと、なめらかな、美しい動きの数々。
点数は思ったより伸びなかったでした。
キム・ヨナはジャンプ、スパイラルのエレメントではなくて、滑るところが一番好きです。
ジゼルの後半とか、フリーでも後半とか。
本人の演技力というより、振付のうまさなのかもしれませんが、アイスダンス的。
こまかに音と振付が連動。
右手、左手、首、足、上体、すべてを使って、いろんなポジションをつくりだし、
けっして線対称にならないフォルムというのが魅力的。
【EX】
小塚は、少し「とっぽい」プログラムだと以前は少し照れが見えていたのですが、
今回はそういう照れがなくなりましたね。曲にあわせての動さの「タメ」とかうまいです。
ペアでは川口悠子ががんばっていることが何よりも励みになります。
決してトントン拍子ではなくどちらかというとラッキーより苦労な人生だと思うのですが、
負けず続けていることがうれしいです。
ベレズナヤの可憐さと日本女性のしぶとさをあわせもつ選手。
アイスダンスのシブタニペア。素敵です。
女性が16歳だとは。手の甲まできめこまやかな美しさ。やわらかさ。
佐藤由香さんのやわらかなスケートを彷彿とさせます。
正統派のきちんとしたスケート。
フリーもEXも何度も見たくなる「うっとり」がありました。
本当に美しい動きができる人は終わったあとのお辞儀もきれい。
EXで演技を終えた兄が差し出した手に、妹が手を重ねる場面の動きもとても優雅でした。
何度みても高橋大輔のEXはすばらしいですね。
曲がはじまる前から独特の空気感。
そしてこの独特の曲調もあいまって不思議な耽美的な世界に一気につれていかれます。
音楽のスピード感が増すところと演技の加速するところがぴったりあっていて、
そのあと、ふわ~と力を抜いて漂うようなポーズとか心地いいです。
安藤美姫のEXのレイクエム、素晴らしかったです。
この曲自体が文字通りレイクエムの通り、決して明るい曲ではなく陰鬱ではあるのですが、
最後の最後になって音楽が明るい和音になって終わるのがいいですね。
傷ついた方の心には一番しっくりくる曲調なのではないでしょうか。
明るいわけではなくて、心に寄り添うような暗さ。
だけど最後にはやっと希望が見えるというような。
手を天に合わせるような、祈るようなスピンのポーズもよかったでした。
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