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2011年5月 2日 (月)

日本三代実録を見てみました(その6)仁和元年~。開聞岳噴火、安房地震、南海・東南海・東海地震、怪物騒ぎ、天文現象他

5月1日の続きです。
『日本代実録』から、気になる記述を挙げています。
記載のただし書きは4月12日のブログをご覧ください。

天文現象は流星中心に挙げています。地震は大きな地震を中心に余震や前震と思えるものを揚げ、割愛しているものもあります。

仁和元年 (885年)
1月12日 
寅の時、塡星(てんせい)月を貫きき。 p1068
(私メモ/塡星=土星。貫ききという意味がよくわかりません。月が土星の前を横切ったというのならわかるのですが、土星が月を貫くというのはどういう状態なのでしょか)

1月16日
【天変】この日、未より申にいたり、日の上に背(はい)有りて外に向かひ、その体(てい)弓を張るが如くにして、長さ二丈ばかりなりき。 p1070
(私メモ/私は見たことがないのですが「幻日環」の現象のことでしょうか)
1月17日 
この日、はじめて貂(てん)のかわごろもを着用するを禁じき。 p1070
(私メモ/気象現象でもなんでもないのですが、平安時代に貂の毛皮を着ていたということにびっくりしました)

5月22日 
酉の時、日色、黒に変じ、光の散ること射るが如くなりき。 p1087
7月30日 
天に青雲有り、東北よりして西南に竟(をほ)りき。 p1092
8月4日 
夜、流星有り、南方より来りて、五車の中に入り、その色黄白なりき。

8)薩摩国、開聞岳噴火に関して 
10月9日 
【大宰府噴火を報ず】大宰府言上しけらく、『管肥前国、六月より澍雨(じゅう)降らず。7月11日国司諸神に奉幣し、僧をまねきて経を転ず。13日夜、陰雲晦合して雨声の如きを聞き、遅明に粉土屑砂ふりて、こもごも境内に下るを見る。水陸田の苗稼、草木の枝葉、みなことごどく焦枯す。(私による略)薩摩国言しけらく、「同月12日の夜、晦冥にして衆星見えず。砂石雨の如し。これを故実に検するに頴娃郡正四位下開聞明神怒りを発する時は、かくの如くこと有り。(私による略)
8月11日、震声雷の如く、焼炎はなはださかりに、雨砂、地に満ち、昼にしてなほ夜のごとし。12日は、辰より子にいたるまで雷電し、砂の降ること止まず、砂石地に積り、あるところは一尺以下、あるところは五六寸以上、田野埋瘞(まいえい)して人民騒動す」といへり』と。
 p1098
(私メモ/この大宰府の報告を見ますと、7月、8月に噴火が起きているように読み取れます)

11月20日 
この夜、流星、心の前星より出でて、心の大星を貫き、天江に入りき。 p1104
11月26日 
夜、大流星有り、天中申(ひがし)より出でて天中丙(みなみ)を指し、行くこと三丈にして没しき。
12月20日、
巳の時、天の東南に声有り、高楼の壊落するが如くなりき。夜更けて、地震り、声有りて雷の如くなりき。 p1106
(私メモ/日本三代実録ではたびたび地震の前後に、声有り、と出てきますが、多くは地鳴りなのでしょうね。現代と違って大きな音を出すものや生活音があまりない生活なので、相当地鳴りはきこえていたのでしょう)

仁和2年(886年)
2月5日 
この日、辰の時、日の上に冠有り、左右に珥をなしき。 p1116
2月14日 
辰の時、日に冠䋝有りて、その色黄白なりき。 
4月13日
 大いに地震ひき。 p1121
5月23日 
夜、流星有り、鈎陳より出でて内階をへ、文昌の第一二星の間に入り、色青くして光有りき。 p1125
5月26日 
天の東南に声有りて、雷の如くなりき。
(私メモ/これは不思議現象ではなくて、下の8月4日に記された安房国の記述と連動。噴火の音かと)
【石清水八幡に怪異あり】この日、山城国石清水八幡大菩薩の宮自ら鳴りて、鼓を撃つ声の如く、南楼鳴りて、風波の相激して声を為すが如く、数剋を経てやまざりき。神祇官うらなひて云ひけらく、『大菩薩心に願ふところあり』と、陰陽寮占ひて云ひけらく、『兵事をいましむべし』と。 p1125
6月15日 
地大に震ひき。
7月24日 
夜、流星有り、大陵より出でて傳舎にいたり、華蓋に入る。その色青かりき。 p1134

怪物騒ぎ
7月29日
【紫宸殿に近く怪物あり】夜、亥の時、紫宸殿の前に長人有りて、往還徘徊しき。内竪のときを伝える者これを見て、惶怖して失神す。右近衛の陳前に炬を燃やす者もまた見るを得き。その後、左近衛の陳辺に絞らるる者の如き声有り。世に鬼絞(きこう)といふ。 p1135

9)安房国で地震に関して←新島噴火
8月4日【安房国の地震により、同国及び上総下総国をして不虞をいましめむ】安房国言上しけらく、『去る5月24日の夕べ、黒雲有りて南海より群起し、その中に電光現れ、雷鳴地震して通夜止まず。26日の暁、雷電風雨あり、巳の時天色清朗にして砂石粉土地上に遍満し、山野田園降らざるところなし。或るところは厚さ二三寸、或るところはわづかに地をおほふ。稼苗草木、皆ことごとく凋枯し、馬牛の粉のつける草を食ひて死斃するもの甚だ多し』と。陰陽寮占ひて云ひけらく、『鬼気御霊、忿怒してたたりを成す。かの国疫癘の患をつつしむべし。また国の東南に兵賊の乱有らむとす』と。 p1135
(私メモ/地震という見出しがついていますが、これは間違いなく火山の噴火の記述ですよね。5月24日の南の海で黒い雲が湧きき起こり、26日に大地の上に砂石が降ってきたという現象ですから。
地学雑誌の「伊豆諸島、神津島天上山と新島向山の噴火活動」という報告書が閲覧できます。(ttp://www.geog.or.jp/journal/back/pdf110-1/094-105.pdf)
興味深い記述があります。p6によるとこの噴火は新島向山の噴火のようです。p9には上の「日本三大実録」の記述の現代語訳が記されています。

上に挙げましたが仁和2年5月26日に「天の東南に声有りて、雷の如くなりき。という記述がありますよね。書かれている場所は京都。新島の方角は東南といえるので、京都で雷のような音が聞こえたというのは噴火の爆発音と考えるとつじつまがぴったり合います。
※噴火に関しては、新島阿土山の噴火という説もあるようです↓(ttp://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Rfunka/niijima.html)を参照)

9月11日 
亥より子にいたりて、大なる鈴の声有り、左仗の上にあたりて、空中に鳴り、寅の時、また鳴りき。 p1140

仁和3年(887年)
3月14日 
この夜、戌の一剋より始めて月に冠纓有り、左右に珥を為し、亥の時に至りて白暈気と為り、消滅せむとするにおよびてなほ両珥有りき。 p1160
5月20日 (私メモ/嘉祥3年(850年)に起きた出羽地震の影響で国府を移すことが書かれています。抜粋で)
去る嘉祥3年、地大震動して形成変改し、すでに窪泥となる。しかのみならず、海水漲移して府六里のところに迫り、大川崩壊してほりを去る一町余、両端害を受けて隄塞するに力無く、堙没の期旦暮に在り。ねがはくば、最上郡大山郷保実士野に遷し建て、その険固によりてかの危殆を避けむ p1167
5月29日 
地震。
7月2日 
地震。
7月6日 
虹東宮に降り、その尾天をきはめて内蔵寮に入りき。この日、綾綺、仁壽両殿の間に白龜一つを得て、神泉苑に放ちき。この夜、地震りき。 p1174

10)南海・東南海・東海地震に関して
(「理科年表」では⇒No.24。西暦887年8月26日。仁和3年7月30日。M8.0~8.5。五畿・七道:京都で民家・官舎の倒潰多く、圧死多数。津波が沿岸を襲い溺死多数。特に摂津で津波の被害が大きかった。南海トラフ沿いの巨大地震と思われる)

7月30日 
申の時、地大震動し、数剋を経歴して震ることなほ止まず。天皇、仁壽殿を出でて紫宸殿の南庭におはし、大蔵省に命じて七丈の幄二つを立てて御在所と為し給ひき。諸司の倉屋及び東西京の蘆舎、ところどころ顛覆(てんぷく)し、圧殺せらるる者おほく、或は失神して頓死する者有りき。亥の時、また震ること三度。五畿内七道の諸国も同日に大震ありて官舎多く損じ、海潮陸に漲りて溺死者あげて計るべからず、そのうち摂津国もっとも甚(はなはだ)しかりき。夜中、東西に声有り、雷の如き者二(ふたたび)なりき。 p1176
(私メモ、京都でも被害が大きかったことがこの記述からわかります。 
「海潮陸に漲りて~」の記述から津波の被害も甚大なことがわかります。被害が大きかった摂津国というのは今の大阪府北中部~兵庫県南東部あたりですね)

8月1日 
昼夜に地震ること二度なりき。
8月2日 
昼地震ること三度なりき。
8月4日 
地震ること五度なりき。この日、達智門上に気有り、煙の如くにして煙に非ず、虹の如くにして虹に非ず、飛び上がりて天につきき。或は人見て、皆曰ひけらく、『これ羽蟻なり』と。時人云ひけらく、『古今未だかくの如き異有らず』と。陰陽寮占ひて曰ひけらく、『大風洪水失火等の災有るべし』と。
8月5日 
昼、地震ること五度、夜大いに震りき。京師の人民、家より出でてみちに居りき。
8月7日 
地震。
8月8日 
羽蟻あり。大蔵の正蔵院より出で、群れ飛びて天をきはめ、船岳につく。その気、虹の如くなりき。p1178
8月9日、13日、14日、16日、23日
地震。24日二度地震。

このあとも余震が続いたと推測されるのですが、残念ながら『日本三代実録』は仁和3年8月26日で記述が終わっています。

でも「日本三代実録」は近日もう少し書きます。

日本三代実録 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7

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コメント

よく調べましたね〜。凄いです。三陸沖の地震と津波は前例がないとかいって、じつは貞観の大津波とそっくりだったり、古文書を調べると、見えてくることってありますよね。
地震考古学とかも興味深いです。

そういえばemiさんに昔「地震雲」のこととか教えて頂いたことを思い出しました。

ポポ手さん。
ご覧くださりありがとうございます。私は今の言葉に近い形で書き起こしてくれている本だったからこそ文章を追えました。古典そのものだと解読はできません。
古典の専門家であるポポ手さんだと昔の文献から読み解けることがいっぱいあるのだと思います。
源氏物語で地震はどんな風にでてくるのでしょうか。天変地異を昔からみんな経験してそして生き延びてきたんだな~と実感します。

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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