ガガーリン91 韓国のガガーリンの本(その3)/あらためて本のタイトルを訳すと
ガガーリン89、90の続きです。
ガガーリン89ではこの本のタイトル『지구는 푸른빛이었다』を「地球は青色だった」と私が訳してご紹介しましたが、
この本の文中に「지구는 푸른빛이었다」が出てくる前後をみると、
「地球は青い光だった」と訳す方が正しいのかもしれません。
具体的には、ガガーリン90でご紹介したくだり。
地球の表面という項目でピックアップした一説です。
지구는 선명한 색조로 아름다움이 넘쳐났으며 옅은 푸른빛이었다.
地球は 鮮やかな 色調で 美しさが あふれ出て 薄い 青い 빛 だった。
注意いただきたいのは、ロシア語原文は↓であること。
Она окружена ореолом нежно-голубоватого цвета.
地球は、淡い水色のハロ(後光・円光)につつまれていた。
つまり、ロシア語原文では、地球と真っ黒な宇宙との境に淡い水色の大気の層がみえることを、
淡い水色が地球をとりまいていることをガガーリンは語っているのです。
ところが、韓国語で訳された文章は、青いのは地球そのものであるように受け取られます。
それだけ、韓国で「地球は青色だった」という表現が浸透していて、
この「地球は青い빛だった」のところに「地球は青い色だった」をあてはめてしまったのかしらと勝手に推測。
また、このガガーリンの自伝、原題は『ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)』。
韓国で2008年に原題通りではなく、『地球は青色だった』というタイトルにして出版されたところにも、
地球は青色だったという表現が今なお浸透していることがうかがえます。
日本でも1960年代に『ダローガ・フ・コスモス』が『地球は青かった』『地球は青い色だった』というタイトルにして出版されたのと似ています。
韓国が、日本と同じように、ガガーリンの「地球は青~」という言葉が有名な国だとしたら、だからこそ、
彼が新聞記者に述べた「地球は青みがかっていた」 (ガガーリン87)という言葉と、
自伝『ダローガ・フ・コスモス』にでてくる「地球は淡い水色の円光につつまれていた」
という2つの言葉があることを気に留めていただけたらといいなと思います。
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