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2011年8月30日 (火)

素敵な言葉(その5)---はらいそ

「キリシタン」でない私が、この言葉素敵!と信仰にまつわる言葉を軽々しく上げるのは、とも思うのですが、素敵な言葉その3「ご大切」に続き「はらいそ」です。

「はらいそ」。ポルトガル語でパラダイスをあらわすパライゾから生まれた言葉。細野晴臣さんのアルバムで知った言葉です。

パラダイス、パライゾは「パ」の破裂音が弾けた軽快な感覚をひきおこしますが「はらいそ」は、少し力が抜けたようなやわらかな語感。そのゆるい響きのため、なんともいえず、楽園の和やかな雰囲気に包まれる気がします。

原文マニアだけではなく、語源マニアでもある私。パライゾ、はらいそについて調べた成果を。青字は引用部分。

小学館の「日本国語大辞典」によると。


パライゾ(paraiso)(ハライソ、ハライゾウ)。
キリシタン用語。天国。楽園。パラダイス。


元はパラダイスをあらわすポルトガル語の「paraiso」ですが日本では、ハライソだけではなく、はらいぞう、なんて言い方もあったのですね。1600年に日本で刊行された『どちりな きりしたん』
に「パライゾ」は出てきますので、一部の人しか手にしていないものだとしても立派な日本の古語と言っていいでしょう。

【パライゾの定義】
善行をおこなったものが死後行く場所であるとともに、場所よりも完全な心の状態のことを指しているのですね。


キリシタンはパライソ(Paraiso)と称し今は天国と言っているが、これは場所よりも、完全な幸福の状態を意味している。 (p576  日本思想体系25(岩波書店)解説より)

D(私注/日本思想体型25収録の「どちりいな きりしたん」ではDは「でうす」になっています。)はいづくにもおはしますといへども、たすかり玉ふ善人たちに尊体をぢきにあらはしたまはんために、天にパライゾをさため玉ふによてなり。 『どちりな きりしたん』(岩波文庫 p30/この本は 1600年!に刊行された長崎版)

後生ノ善所ハ パライゾ ト云イテ天ニアリ、悪所ハ インヘルノ ト云イテ地中にアル事。
『妙貞問答下巻』
1605年刊行。日本思想体系25(岩波書店)p164より。


【パライゾ以外の言い方】

①「はらいぞ」として登場。

じゆすへる  これをきくより、ゑわ・あだんをたばかりと、ころてる にいそぎける。道にて、いたすまじき、まさんの木の実をとり、ゑわ・あだんが方ゑゆき、「あだんはいづかたゑ」といふければ、ゑわ きゝて、「はらいぞの五門の訳也」とこたゆる。
 『天地始之事』
日本思想体系25(岩波書店)p383より。
ゑわとあだんってエバとアダムのことですね!

②「はらいぞう」として登場。

人間には、でうすより、真の霊(たましい)を作り添えたまふ故に、此の身死すれども霊死せずにて、今生善悪乃業により、苦楽を受く。善業の者をば、はらいぞう として、楽しみ尽ぬ世界を作り置きて是へつかはし給ふ。
 『破切支丹(はきりしたん)/鈴木正三 
1642年頃』日本思想体系25(岩波書店)p453より。

⑤「頗羅夷曾(ぱらいぞ)』として登場。
『対治邪執論(たいじじゃしゅうろん)/雪窓宗崔 
1648年』日本思想体系25(岩波書店)p462より。

いろんなことを調べるにつけ、江戸時代初期の日本人でアダムとイブの話を知っていた人がいたりとか、昔の人があまり今の私たちと知識のギャップがないことに驚かされます。
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さて、「はらいそ」が出てくる歌舞伎もあります。

作品名は『天竺徳兵衛韓噺』by鶴屋南北。
江戸時代、鎖国がおこなわれる前にインドに航海した実在の人物、徳兵衛の物語。
徳兵衛が、「でいでい、はらいそはらいそ」という呪文をとなえるという作品です。

日本芸術文化振興会が運営する文化デジタルライブラリー(ttp://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/)で紹介されています。http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/edc15/sakuhin/p1/
「作品紹介」の「作品の概要」ではこんな風に書かれています。


本水(ほんみず)を使った水中の早替り(はやがわり)、見世物(みせもの)的な大蝦蟇、屋体崩し(やたいくずし)など迫力に溢れるケレンと松助の体を張った演技で評判を取りました。天竺徳兵衛が唱える「デイデイ、ハライソハライソ」という呪文(じゅもん)は、「主イエス」「天国」という意味の隠れキリシタンのオラショ(祈祷[きとう])でした。水中の早替りは「切支丹(きりしたん)の妖術ではないか」という噂まで呼んで話題をさらい、2カ月以上に及ぶロングランとなりました。
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南米チリに「バルパライソ」という港町があるようです。意味は天国の谷、だとか。住むのは大変かもしれませんが、海が見える、坂道の港町、の風景って憧れます。

2011年8月27日 (土)

ピースサインって日本独自のもの?

Stila_travel_palette_trendsetting_t じゃんけんのチョキのように人差し指と中指を伸ばしてつくる
ピースサイン。
ヴィクトリー(勝利)をあらわすVサインでもありますが、携帯の絵文字にも必ず含まれていますし、日本ではおなじみですよね。
写真を撮る時、多くの人がピースサインをします。

私はこの大ポピュラーなピースサイン、アメリカから来たものだと思っていました。いわゆるヒッピー文化の頃にアメリカで流行ってそれが日本にもたらされた、って勝手に思っていたのです。

ピースサイン(少なくともカメラを向けられた時におこなう)って日本独自のものなの?と疑問に思ったのは、今年の8月11日、テレビ東京の「和風総本家」という番組を見ていた時でした。
                   スティラのパレットの絵→ 
                   「カラオケ」「コスメティック」のカタカナが。



アフリカにあるマラウイ共和国のテレビクルーが、日本を取り上げる番組をつくるため来日して取材&カメラを回す、ということで「和風総本家」がその彼らの取材を逆取材していたのです。

旅館のたたみや、ベッドのように据え付けではなくて押入れから降ろして敷く寝具をものめずらしく反応していたり、とマラウイの方達が驚く「日本」はある程度読めたものでした。
ところが一つだけ意外なものがありました。

日本人はテレビカメラを向けるとscissorsをするのが印象的と感じたそうで、彼らが作り上げた「日本」のビデオクリップには、テレビカメラに向かってにこやかにscissorsをして通り過ぎる人々が映し出されていたのです。

ピースサイン珍しいのかなとその時思いながら、そのままにしていたのですが、やっぱり他の国ではポピュラーじゃないのかも、と思った出来事が。

コスメ業界にStilaというブランドがあります(残念ながら惜しまれつつ昨年日本から撤退)。
そのStilaが去年、トラベルパレットという限定セットをつくり、その中に「東京」を題材にしたものがあることを知ったのです。

商品名はTravel Paletteシリーズの「Trendsetting in Tokyo 」。スティラファンにはおなじみのスティラガールが夜の東京を歩いている絵が表紙のパレット。
その色展開をチェックしていてびっくりしたのです。

Stila_travel_palette_trendsetting_2 こちらが色味を説明したパレットの裏面ですね。
一番下のリップやチークに使えるピンク色にはsakura「サクラ」の名前。日本題材のパレットですからまあ順当です。
4色そろったアイシャドーの名前を見ていくと、
左上。
sakeサケ(シマーベージュ)←酒じゃなくて鮭なんでしょうね。
その下。
shibuyaシブヤ(シマーブルー)←もちろん渋谷ですね。
右上。kawaiカワイ(シマーピンク)←可愛いから取ったんでしょうね。
そしてその下に、scissorsが見えますよね!
peace signピースサインは(シマーブラック)。

これをみて、日本人のscissors(カメラ向けられたら条件反射のようにピースサイン)が印象的なんだと思うと同時に、さすがstila。いいところをついているわあ。と思いましたし、日本=scissorsなんて想像もしていなかったので、<誰もが共通だと思っていたのに、自分だけの癖だった>ことを知った時のような「目からうろこ」を感じたのでした。

このスティラガールのトラベルシリーズ。ロシアsnowもあることがわかったのです。聖ワシリー寺院の前にたたずむスティラガール。ロシアが好きでスティラが好きな私が手に入れずに我慢できるわけが・・・。現在取り寄せ試み中。無事ゲットできたらあらためてご紹介します。→9月3日にゲットしました。こちらに。

2011年8月14日 (日)

ガガーリン94 ガガーリンとサラミソーセージ。機密だったの?50年前の交信記録のこの部分

【少し前ですが、こんな記事がありました】

「ガガーリンの世界初の有人宇宙飛行、打ち上げ直前の会話は?記録文書を公開 」
 (AFP BBニュース 2011年4月11日)
ttp://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2795288/7058491


ガガーリンがロケットに乗り込んだ際に話した言葉が初めて明かされた。ガガーリンの言葉といえば、宇宙船ボストーク(Vostok)が発射された際に発した「パイエハリ」(さあ、行こう)が有名だが、公開された文書にはその数分前、ガガーリンがボストークのカプセルに体を固定されながら、ロケット設計者のセルゲイ・コロリョフ(Sergei Korolyov)と交わした会話が含まれていた。

「ソーセージで密造酒」とジョーク  ニュースサイト「lifenews.ru」によると、ソ連ロケット計画の父と言われるコロリョフが最も心配したのは、人類の英雄になろうとしていたガガーリンが地球に戻ってきた後に食べる物が十分にあるかということだったようだ。打ち上げのカウントダウンが近づく中、コロリョフが無線でガガーリンに「フラップに夕食と夜食、朝食が入っているから」と告げると、ガガーリンは「了解」と返答。  コロリョフがまた「ソーセージとキャンデー、紅茶に入れるジャムもあるから。63個あるから太るぞ!きょう(地球に)戻ってきたら、すぐに全部食べてしまえ」と続けると、ガガーリンは「ソーセージがあるっていうのは大事なところだ。これで密造酒が飲める」と返した。するとコロリョフは「ばか、全部録音されてるんだぞ」とさらに冗談を飛ばした。


記事内紹介されているlifenews.ru のサイトには、その交信記録の画像と内容が一部分だけですが紹介されています。
Gagarinkiroku
↑今回初めて公開されたという交信記録(私の手元の資料に既にあるのになぜ?)

大本の文書をみたくなるのが本能です。

調べてみると、今年がガガーリンの人類初の有人宇宙飛行から50年目なのを機に設けられ、彼に関する様々記事や写真、映像をまとめた 「ПЕРВЫЕ В КОСМОСЕ」( ttp://pobeda-kosmos.ru/)というサイト内にこの交信記録もあるようです。いろいろクリックしてみたのですが、目当ての交信記録は出てきませんでした。まだ工事中なのか、それとも私自身のセキュリティ設定他のためなのか・・・ 残念。
ところがsign03

【ネットで5年以上前から公開されていました!】

私の手元には、過去に図書館でコピーしたり、ネットからプリントアウトしたガガーリンの交信記録が何種類かあります。「今回初めて公開された交信記録の部分なんだったら、出ているわけないよね~」と思いながら、あらためて手元にある交信記録死傷に目を通してみたら、なんと、出ていました!!happy02

このコロリョフとガガーリンの会話、少なくとも5年前には公にされていたのです。
「コスミーチェスキー・ミール(宇宙世界)」というロシアのサイトです。 ttp://www.cosmoworld.ru/spaceencyclopedia/gagarin/index.shtml?doc10.html


スタート2時間前からボストークが電離層を抜けるまでの完全な交信記録 と題されています。

上記の記事で紹介されている箇所の原文を私の訳とともにご紹介します。

Королев: Там в укладке тубы - обед, ужин и завтрак.
コロリョフ「あそこのトランクに宇宙食チューブがある。昼食と夕食と朝食の分だよ」
Гагарин: Ясно.   ガガーリン「もちろん」
Королев: Понял?  コロリョフ「わかったか?」
Гагарин: Понял.  ガガーリン「了解」。
Королев: Колбаса, драже там и варенье к чаю.
コロリョフ「サラミソーセージとドラジェ(砂糖がけキャンデー)、紅茶に入れるジャムもある」
(私メモ/上記の記事では「カルバサー」をソーセージと訳していますが、ソーセージというよりサラミです)
Гагарин: Ага.  ガガーリン「なるほど」
Королев: Понял?  コロリョフ「わかったか?」
Гагарин: Понял.  ガガーリン「了解」
Королев: Вот. コロリョフ「 ほら」
Гагарин: Понял.  ガガーリン「了解」
Королев: 63 штуки, будешь толстый.

コロリョフ「63個ある。太るぞ」
Гагарин: Хо-хо.  ガガーリン「ハハ」
Королев: Сегодня прилетишь, сразу все съешь.
コロリョフ「今日、地球に着陸したら、すぐに全部食べたらどうだ」
Гагарин: Не, главное - колбаска есть, чтобы самогон закусывать.
がガーリン「大事なのはサラミがあることですね。サマゴン(自家製酒/密造酒)を飲むために」

Все смеются.  全員笑う。

Королев: , а ведь он записывает ведь все, мерзавец. Хе-хе.
コロリョフ「Зараза、全部録音されてるんだぞ。мерзавец。ハハ」
(私メモ/Заразаとмерзавецは辞書を見ると少しきつい罵り言葉なのですが、ここでは冗談でたわけ、とかバカとか言っているニュアンスなのかしらと推測」

(私メモ/このあと少しの会話があって)
Юра, счастливо, до встречи в Москве.
コロリョフ「ユーラ(ガガーリンの愛称)、幸運を。モスクワで会おう」
Гагарин: До встречи. Хорошей встречи!
ガガーリン「また会うまで。よい再会を!」


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交信記録のご紹介は以上ですが

「ガガーリンの世界初の有人宇宙飛行、打ち上げ直前の会話は?記録文書を公開 」
のニュースで気になることは2つあります。


①ご紹介したとおり、決して今回初めて機密を公開したわけではないこと。
②ご紹介したコスミーチェスキーミールの交信記録はタイム表示はないのですが、手元にある複数の交信記録と照らし合わせると上記のガガーリンとコロリョフの会話がおこなわれたのは7時34分ごろとなります。もしこれが正しいとなると決して発射直前の会話とは言えません(発射は9時7分)。

いずれにしても、歴史的偉業を前にスタッフたちが緊迫していろんな作業を進めながらも、冗談を言い合ったり、チームワークがいい様子がうかがえます。

2011年8月 7日 (日)

ガガーリン93 ガガーリンのおしっこ

Gagarinbus どんなに文明が進歩して宇宙へ行くようになっても、「ゲンをかつぐ」という素朴な信仰を人間は持ち続けるものなのですね。

ロシアの宇宙飛行士が宇宙へ旅立つ前に儀式、その一つが、発射台に向かうバスを途中で降りて、放尿をするということ。ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行をおこなった1961年4月12日、発射台に向かうバスを途中で停めて降り、ホイールに向かって用を足したそうです。以来、ロシアの宇宙飛行士がガガーリンにあやかり、宇宙飛行の無事を祈って必ず行う儀式となっているのだとか。


※宇宙飛行士姿のダニエルでこの場面を想像で再現してみました。↗
後ろがガガーリンが発射台まで乗った白と水色のコンビのバスЛАЗ-695Б «Львов≫。ちなみにダニエルとはキティちゃんのボーイフレンドです。


2011年6月8日、古川聡宇宙飛行士を乗せたソユーズ打ち上げの記事でこの儀式を知った方も多いと思います。

読売新聞での記事はこちら。「ガガーリンのおしっこ」というタイトルで2011年7月1日に発表された記事です。

ttp://www.yomiuri.co.jp/job/biz/columnscience/20110623-OYT8T00747.htm?from=navlc


「草原が地平線まで続くカザフスタン・バイコヌール基地。ソユーズロケットの発射台まであと1キロメートル弱の場所にさしかかると、古川さんら宇宙飛行士たちを乗せたバスがなぜか止まる。すると、彼らはやおらバスから降り、小用に立つ。1961年に人類初の有人宇宙飛行を成し遂げたガガーリンがここで小用に立って以来、歴代飛行士たちの欠かせない伝統になっているのだそうだ」
と紹介されています。

日本で初めて宇宙へ行った元TBSの秋山豊寛氏もこの儀式体験済みであることを『宇宙特派9日間  日本人初--宇宙飛行士の体験全記録』 (秋山豊寛著)の中、「最後の連れションの儀式」という見出しで書いています。

「トヨヒロ、さあ行こう」
アファナシェフ船長が声を掛けた。宇宙服の腹からゴムをダランと下げて、はらわたを引きずりながら歩いているゴリラのような、何とも奇妙な恰好でバスを降りた。
ガガーリン以来続いている、ソ連宇宙飛行士伝統の「別れの連れション」である。また前かがみになって、両手をダラリと下げたまま、のっそのっそとバスの後部に向かって歩いていった。まず、アファナシェフ船長が、バスの後輪に勢いよく小便を引っ掛けた。
「タイヤに引っ掛けるんだよ」
医師たちやバックアップクルーが教えてくれる。私も、古きよき伝統にのっとって、乗ってきたバスのタイヤ目掛けてシャーッとやった。
 (p42~43)

このトイレのエピソード、当人たちは書いているのかしら、とガガーリン、続いて宇宙へ行ったチトフ、ニコラエフ、ポポビッチ、テレシコワらの宇宙飛行士の自伝(日本で翻訳された本)に目を通してみたのですが、書かれていませんでした。

国家の威信にかかわると思われていたのでしょうか(^_^.)


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ですが。面白い映像をみつけました!happy01
ロシアのテレビ局НТВ(エヌテーヴェー)の番組の映像のようでyoutube では「Космос(コスモス/宇宙の意味) НТВ ч.1 」の名でアップされています。ttp://www.youtube.com/watch?v=RtcWo6C95yw(2011.8.7現在)

トータル4分13分の映像の3分10秒からご覧ください。
オレンジ色の宇宙服を着たガガーリンがバスに乗り込みます。
3分29秒のところで、 
А, сделайте остановку! Очень нужно! Спасибо!と言っています。
日本語に訳すと
、「ねえ、停めてください。とてもしなければならないことがあって。ありがとう。」
という感じでしょうか。
笑顔で降りてバスに向かい合うように立つガガーリン。
このあとにいわゆる立ちションがあるのでしょうね。
すっきりしてほっとしたガガーリン、まさかやむにやまれずおこなったことが後々「儀式」となるとは思わなかったでしょうね。

さて、この映像、まぎらわしいのですが、3分10秒あたりは本物のガガーリンの映像、3分29秒からは俳優によるガガーリンの再現映像だと思われます。

ただ、どんな言葉でバスを降りたのか書いてある資料をみつけられていないので、この映像の通りなのかなと興味深かったです。

この映像の男性キャスターが4分4秒ごろ

「ムッシーヌイ (мужчины) イ(и) ジェンシヌイ(женщины)」って語ってますよね。男性と女性という意味です。
この ритуал (儀式)を男性宇宙飛行士も女性宇宙飛行士も行っていると語っているようですcoldsweats02

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ご参考に
ガガーリンが乗り込んだバスの動画は「РГАНТД」のサイトにあります。ttp://rgantd.ru/gag70_cd/data/video.htm → 5.На стартをクリック。
0分51秒~2分15秒がバスの映像です。


ロシア語映像のヒアリングは私の「モスクワの姉」レナさんに協力いただきました。

2011年8月 6日 (土)

ガガーリン92 韓国のガガーリンの本(その4)/コロリョフはどんな風にでてくるか

ガガーリン91の続きです。

韓国で2008年に出版されたガガーリンの自伝『지구는 푸른빛이었다 (地球は青色だった)』で、セルゲイ・コロリョフがどんな風に紹介されているのかみてみました。

というのも、ソ連の宇宙開発の父、セルゲイ・パヴロヴィチ・コロリョフ(Сергей Павлович Королёв/Sergey Pavlovich Korolev) は国家機密で1966年に亡くなるまでその存在を明かされることがなかった人物。

ソ連で1961年に新聞に掲載され、出版されたガガーリンの手記『дорога в космос/ダローガ・フ・コスモス』でも、ガガーリンの偉業はコロリョフの功績でありながら、一切名前も顔写真も発表されず、Главный Конструктор(グラーブヌィ・コンストラクトル/設計主任)の肩書きのみの登場でした。

ソ連で出版された『дорога в космос』の本3パターンをまとめてみました。


Gagarinkolorevbook_2











2008年に出版の『지구는 푸른빛이었다』はというと、ロシア語原文重視なのか、やはり、コロリョフの名前はださず、「設計主任」を表す
설계기장(漢字だと設計技長でしょうか)となっていました。

ただ、この本の翻訳者、김장호氏が序文でコロリョフについて語っています。

その部分を拙訳で。
「以前に見たことがあるソ連宇宙開発を扱ったドキュメントフィルムによれば、当時は国家社会主義体制とすべてのことが機密だったという。コロリョフの業績だけにしても十分にノーベル賞受賞に値するが、ソ連側は徹底して彼の存在を隠した。そのため、西側では彼をまったく知らなかった。
코롤료프의 업적만 하더라도 충분히 노벨상 수상감이었지만 소련 측에서 철저하게 그의 존재를 숨겼기 때문에 서방에서는 그에 대해 전혀 알지 못했다. (p9)

김장호氏は序文で、子供の頃からガガーリンに憧れを持っていたこと、ロシアの宇宙開発に造詣の深い日本の宇宙工学の専門家、的川泰宣氏に敬意を表し、的川氏の資料を参考されたことも記しています。

shine私メモ その1shine

『지구는 푸른빛이었다『』の構成。

◆序文

◆第一部/
宇宙への道←ガガーリンの自伝『宇宙への道』の韓国語訳。生い立ちからのダイジェスト訳と【準備完了、第一号】の章からのほぼ完訳。
◆第二部/
地球は青色だった←ガガーリンの自伝『宇宙への道』の韓国語訳。【4月12日、水曜日】の章から最後までのほぼ完訳。

◆解説 ロシア宇宙開発史

付録 1 世界の宇宙開発の歴史 2 韓国の宇宙開発の歴史 3国内外宇宙開発年表

shine私メモ その2shine
韓国語で。
ガガーリン・・・가가린。コロリョフ・・・코롤료프。
宇宙飛行・・・우주비행。地球・・・지구。

コロリョフに関してはガガーリン86 月の裏側でガガーリンとコロリョフとツィオルコフスキーも
ご覧ください。

2011年8月 2日 (火)

ガガーリン91 韓国のガガーリンの本(その3)/あらためて本のタイトルを訳すと

ガガーリン89、90の続きです。

ガガーリン89ではこの本のタイトル『지구는 푸른빛이었다』を「地球は青色だった」と私が訳してご紹介しましたが、この本の文中に「지구는 푸른빛이었다」が出てくる前後をみると、「地球は青い光だった」と訳す方が正しいのかもしれません。

具体的には、ガガーリン90でご紹介したくだり。

地球の表面という項目でピックアップした一説です。

지구는 선명한 색조로 아름다움이 넘쳐났으며 옅은 푸른빛이었다. 
地球は 鮮やかな 色調で 美しさが あふれ出て  薄い  
青い 빛 だった。

注意いただきたいのは、ロシア語原文は↓であること。
Она окружена ореолом нежно-голубоватого цвета.
地球は、淡い水色のハロ(後光・円光)につつまれていた。

つまり、ロシア語原文では、地球と真っ黒な宇宙との境に淡い水色の大気の層がみえることを、淡い水色が地球をとりまいていることをガガーリンは語っているのです。
ところが、韓国語で訳された文章は、青いのは地球そのものであるように受け取られます。それだけ、韓国で「地球は青色だった」という表現が浸透していて、この「地球は青いだった」のところに「地球は青い色だった」をあてはめてしまったのかしらと勝手に推測。

また、このガガーリンの自伝、原題は『ダローガ・フ・コスモス(宇宙への道)』。韓国で2008年に原題通りではなく、『地球は青色だった』というタイトルにして出版されたところにも、地球は青色だったという表現が今なお浸透していることがうかがえます。日本でも1960年代に『ダローガ・フ・コスモス』が『地球は青かった』『地球は青い色だった』というタイトルにして出版されたのと似ています。

韓国が、日本と同じように、ガガーリンの「地球は青~」という言葉が有名な国だとしたら、だからこそ、
彼が新聞記者に述べた
「地球は青みがかっていた」 (ガガーリン87)という言葉と、自伝『ダローガ・フ・コスモス』にでてくる「地球は淡い水色の円光につつまれていた」 という2つの言葉があることを気に留めていただけたらといいなと思います。

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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