ガガーリン92 韓国のガガーリンの本(その4)/コロリョフはどんな風にでてくるか
ガガーリン91の続きです。
韓国で2008年に出版されたガガーリンの自伝『지구는 푸른빛이었다 (地球は青色だった)』で、
セルゲイ・コロリョフがどんな風に紹介されているのかみてみました。
というのも、ソ連の宇宙開発の父、
セルゲイ・パヴロヴィチ・コロリョフ(Сергей Павлович Королёв/Sergey Pavlovich Korolev) は
国家機密で1966年に亡くなるまでその存在を明かされることがなかった人物。
ソ連で1961年に新聞に掲載され、出版されたガガーリンの手記『дорога в космос/ダローガ・フ・コスモス』でも、
ガガーリンの偉業はコロリョフの功績でありながら、
一切名前も顔写真も発表されず、Главный Конструктор(グラーブヌィ・コンストラクトル/設計主任)の肩書きのみの登場でした。
ソ連で出版された『дорога в космос』の本3パターンをまとめてみました。
2008年に出版の『지구는 푸른빛이었다』はというと、ロシア語原文重視なのか、
やはり、コロリョフの名前はださず、「設計主任」を表す설계기장(漢字だと設計技長でしょうか)となっていました。
ただ、この本の翻訳者、김장호氏が序文でコロリョフについて語っています。
その部分を拙訳で。
「以前に見たことがあるソ連宇宙開発を扱ったドキュメントフィルムによれば、当時は国家社会主義体制とすべてのことが機密だったという。
コロリョフの業績だけにしても十分にノーベル賞受賞に値するが、ソ連側は徹底して彼の存在を隠した。
そのため、西側では彼をまったく知らなかった。
코롤료프의 업적만 하더라도 충분히 노벨상 수상감이었지만 소련 측에서 철저하게 그의 존재를 숨겼기 때문에 서방에서는 그에 대해 전혀 알지 못했다. (p9)
김장호氏は序文で、子供の頃からガガーリンに憧れを持っていたこと、
ロシアの宇宙開発に造詣の深い日本の宇宙工学の専門家、的川泰宣氏に敬意を表し、
的川氏の資料を参考されたことも記しています。
私メモ その1
本『지구는 푸른빛이었다『』の構成。
◆序文
◆第一部/宇宙への道←ガガーリンの自伝『宇宙への道』の韓国語訳。生い立ちからのダイジェスト訳と【準備完了、第一号】の章からのほぼ完訳。
◆第二部/地球は青色だった←ガガーリンの自伝『宇宙への道』の韓国語訳。【4月12日、水曜日】の章から最後までのほぼ完訳。
◆解説 ロシア宇宙開発史
付録 1 世界の宇宙開発の歴史 2 韓国の宇宙開発の歴史 3国内外宇宙開発年表
私メモ その2
韓国語で。
ガガーリン・・・가가린。コロリョフ・・・코롤료프。
宇宙飛行・・・우주비행。地球・・・지구。
コロリョフに関してはガガーリン86 月の裏側でガガーリンとコロリョフとツィオルコフスキーも
ご覧ください。
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