NHK杯女子ショート、鈴木明子の好感の持てる「どうよ!」
NHK杯女子ショートを部分的ですが見ました。
なんといっても鈴木明子が素晴らしかったです!
快心の出来!演技のあと氷の上でぴょんぴょん跳ねていたように、
選手本人が、「こんなに上手くできてどうしよう」と感激してしまうほどの演技に立ち会えるというのはうれしいものですね。
彼女には不思議な魅力があります。それは<好感の持てる「どうよ!」>
ジャンプの後、ステップの前、演技折々に、どう、私を見てみてとアピールが感じられます。
でもそれがまったく嫌味がないのです。なぜか。
きっと彼女の人柄がにじみでるからでしょう。
普段のおっとりとしたしゃべり方。
そして真摯にインタビューに答えたり、フィギュアスケートに真面目に打ち込んでいることやクレバーさがわかるコメント。
演技前にコーチと向かい合った時、まっすぐなまなざしで指導を仰いでいるのがわかる表情。
フィギュアスケートができるよろこびが伝わり、
観客のみんなに「見て!」「よろこんでもらえるのがうれしい」ということが伝わる演技。
だからこそ、決まった時に観客の私たちも一緒にうれしくなってしまう。
2011~2012シーズンのショートプログラムいいですね。「ハンガリアンラプソディ」。
ハンガリーと名がついていますが、あまりお国柄を出すような振付はありません。
たとえば浅田真央の「シェヘラザード」はアラビア風の振付を取り入れています。
鈴木明子自身もタンゴ音楽の時はタンゴを、「屋根裏のバイオリン弾き」の時はロシア風のステップの踏み方を取り入れていました。
何人もが滑る競技で、独特な音楽と振付の味付けを取り入れるのは、プログラムに個性的な印象を残し効果があると思うのです。
でも、今回の「ハンガリアンラプソディ」はあまりそういうことにとらわれていないようです。
それよりも、どれだけ的確に音と動きが連動できるか。
そこに磨きをかけたことが演技をクオリティの高いものにしています。
昨日のショートもまず、観客の引き込ませ方が上手。
出だしで前に伸ばした手を(まるで観客の視線と心を絡め取るみたいに)胸元へ引き寄せる。
それと同時に氷の上でも後ろへスーと滑りながらさがる。
そして目線を下に、みたいな流れがありました。
一気に観客を自分で引き寄せる「引力」を感じます。
練習で飛ぶこともあまりできなかったトリプルトリプルのジャンプが決まったのも見事。
民族ダンスっぽい雰囲気は、前へトントントントンと走るようなステップ他でほのかに味付け。
速いテンポのバイオリンに負けない歯切れのいい動き、スピード感がとにかく気持ちよかったです。
浅田真央は。もうトリプルアクセルにこだわらなくてもいいのではと思いました。
シェヘラザード。
アラビア風の味付けを手をかざすところや、独特のスピンの姿勢などにみられ、工夫は感じられるのですが少し中途半端な気がします。
水津瑠美の「ナディア」は素晴らしかったでした。
コスチュームやメイクもインド風。手の動きだけではなくて、
まるで「しこ」を踏むような足の開きで飛び跳ねる様子とか、インドの女神が踊っているのかと思うくらい細部にこだわりをみせて、
素晴らしいプログラムとなっていました。
浅田真央ももしこだわるなら、もっと足元などの動きもアラビア風(具体的にわかりませんが)にできないかしらと。
緩急が少し足りないような。止まる。滑る。ステップを踏む。図形を描く。
もっと足回りで表現できることがあると思いますし、
上体の動きももっと、バリエーションが増えたらいいのに。
ただ、トリプルアクセルが失敗に終わってもそれをひきずらないメンタルはすごいですね。
卓越した才能のある選手だからこそ、もう1枚殻が剥けたらいいのにと思います。
いい意味でのナルシストになればいいのにとも思います。
演技を深めるためにバレエも身につけているという浅田真央ですが、
ドラムを叩いてみたらいいのではないかとふと思いました。
昨日、NHKの放送のあと「ベック」をみたせいもありますが(^_^.)。
音楽を「踊る」のではなく、体で「ノル」ことを今以上に身に着けたら、
演技も「振付」を踊っていますだけではく、体の内側からほとばしるものをパワフルに表現できると思うのです。
キーラ・コルビはどこかクラシカルで端正でうっとりします。
ジャンプのミスがあっても、こまやかな手の動きやフォームが素敵。
ディズニー映画に出てくる妖精のよう。
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