全日本フィギュア(その3)
女子フリーとEXについてです。
【女子フリー】
庄司理紗。3-3-2だけではなく、可憐で喜びがあふれるようなやわらかなスケーティング。
鈴木明子。 ジャンプのミスはありましたが、腕がどんな時もきれい。
まるで見えない男性が目の前にいて、彼と手を添えあってワルツを踊っているみたいにみえました。
彼女の眼にはリンクでも観客でもなく、宮殿での華やかな舞踏会の広間が映っているのではと思えるほどでした。
ストレートラインステップも素敵。
村元哉中(妹)は挙げた足を頭の上でつかむスピンがぴたんとiの字になっていました。
他の選手もしますがダントツの美しさでした。
村上佳菜子。最終滑走&ショートで首位。プレッシャーがあったでしょう。
ストレートラインステップでの転倒は痛そうでしたが、そのあと 3連続ジャンプを決める底力がありました。
演技後も、緊張がほどけたためか失敗したためか少し泣きだしそうに見えたのですがすぐに笑顔。
キスアンドクライでもリプレイ映像を見て?笑顔。それがすごいと思いました。
ミスをすると演技後、いかにも不本意という顔をしたり、故
障している場所があってと体を痛そうにしてみせる選手もいたりしますが、
笑顔になれるところに村上佳菜子の天性の「陽」を感じました。
これが自分自身を愛していることなのでしょう。
もちろんナルシストとか自分を甘やかすという意味ではなく。
せいいっぱいやったからその結果の今の自分を認めてあげよう、
失敗も含めてこれが自分って思っているようなそんな笑顔。
もちろん彼女が自分を甘やかさずスケートに打ち込んできたのは、
1年前の滑りとはうって違うことからもわかります。
笑顔を封印してより高みをめざし、表現力を増した上で、失敗した自分を許す。
素晴らしいアスリート。
【EX】
庄司理紗も今井遥も自分の表現したい世界があってそれをみせたいっていうのが伝わってきて、
とても気持ちよさそうに体を動かしていてこれからもとても楽しみ。
荒川静香。優美のひとこと。
とくにプログラムの最後、両足を1直線上に開くイーグルの姿勢で、
スーと渦巻きを描きながら(円が閉じていく方向に)リンクの中央で終わる場面。
力を入れずにスーとなめらかに滑っていくのがとても気持ちよさそうでうっとりしました。
女王の称号を与えられたあと、それに甘えずプロになってからも鍛錬を続けているのがわかる、
表現力も磨かれているスケーター。
小塚崇彦。今季のEXの曲も洒落ていますね。
羽生や高橋とは違って、いつもどこかに「照れ」を感じます。
でもそれが彼の良さ。
音楽と一心同体となってのめりこんで表現というよりも、
「音楽」というパートナーとデュエットで踊る、パートナーである音楽の良さを引き立てるように。
そんな風に礼儀正しくジェントルマンとして音楽と接しているようにみえます。
羽生結弦の「白鳥の湖」。
スピンをしながらトラベリングのようにぐるぐる移動していくのが「苦悩」を表しているようで印象的でした。
首、肩、上体を前後に波打たせたり、ほとばしる情熱に翻弄されるように激しくクルクル。
感情を表す演技も秀逸。
プルシェンコのトスカに匹敵する凄み、ウィアーにも通じる妖艶さを感じました。
演技の時には完全にスイッチが入って世界に入り込んでいるようにみえます。
照れがなくストレートにダイナミックに音楽にのめりこんだままそれを全身で発散させる。
彼こそがフィギュア界の「北島マヤ」なのでは。
村上佳菜子。去年のようにキャラクターが立ったプログラムではなくて、
白い衣装でシンプルに音楽の美しさを表現するプログラムだからこそ、表現力が磨かれたことが引き立ちました。
音楽に乗ってスピンのあともやわらかく手を伸ばしたり。
とても勢いがあってまっすぐな美しさ。
高橋大輔。 何度みてもすばらしい名プログラム。
一足一足ゆっくりと漕いですーと滑っていく。
体の重さがないような。それでいて、力強くシュッとキレのあるジャンプ。
アンコールのマンボも最高。跳ねてステップを刻んで。氷の上とは思えない自由さ。
今回の全日本、とてもすがすがしかったです。
ベテランでも26歳ぐらい。13歳~20代という若い世代が見事なショーを作り出せるのが素晴らしいですね。
« お正月の集まりで樋口一葉版「家政婦は見た」はいかがでしょう | トップページ | プラネタリウム番組『Snowflake~雪は天からの手紙~』 好評上映中です。 »
「 フィギュアスケート」カテゴリの記事
- りくりゅうペアでみてみたいプログラム、村元哉中&クリス・リードの桜をテーマにした名プロゴウラム(2022.03.13)
- 北京五輪。りくりゅうペアにじ~ん。涙涙。一緒に滑られるしあわせがあふれていました(2022.02.20)
- フィギュアスケートアイスダンスのクリス・リード&村元哉中の桜の名プログラムは永遠。(2020.03.17)
« お正月の集まりで樋口一葉版「家政婦は見た」はいかがでしょう | トップページ | プラネタリウム番組『Snowflake~雪は天からの手紙~』 好評上映中です。 »
コメント