古河歴史博物館に「雪の殿さま 土井利位(どいとしつら)」をみにいきました(その1)
プラネタリウム番組『Snowflake~雪は天からの手紙』(cf2011年12月30日)を
制作された広橋勝さん、並木優子さんと先日、
茨城県古河市に行ってきました。
古河歴史博物館で「雪の殿さま土井利位」展がおこなわれているからです。
『雪華図説』に魅せられ、古河を訪ねる方のご参考になればと、
JR古河駅から博物館までのあいだに出会える結晶モチーフ、
雪の殿さま展のことをご紹介させていただきます。
(ご紹介したのはごく一部。私自身ジモティではないので詳しくないですし。
ぜひ古河の見どころ情報を調べておでかけくださいね)
↑クリックいただくと拡大します。↑この南北に走る黄色い道が日光街道。
私はちゃんとしたデジカメを持っていないので、
この記事では私の写メだけではなく広橋勝さんによる撮影画像も ご紹介させていただきます。
広橋さん撮影画像にはクレジット入り。
JR古河駅の改札を出ると、観光案内がみえるでしょう。ブースも雪華があしらわれています。
めざす歴史博物館は西口になります。
①和菓子の「おが和」さん。雪華図説の中の雪華をかたどった「雪華圖説」がおいしいです。
餡を白い生地で包んでいるのですがパウダースノーのようにキラキラしています。
私は食べそこなってしまいましたが、
雪華の焼き印があるおまんじゅうもあります。
(撮影 広橋さん)
②こちらも老舗の桂月堂。
結晶柄のテラコッタでできた置物みたいな落雁。雪華図説から6種の柄が使われています。
6種の図柄を古河歴史博物館発行のカタログ「雪の華」にある雪華一覧表と照らし合わせてみると。
A6、B4、C7、C9、G4、J5でしょう。
桂月堂さんには
小林禎作さんの書がありました!
小林禎作氏は『雪華図説考』などの著作で有名。
土井利位を知るには必読といえる方ですね。
(撮影 広橋さん)
古河は日光街道沿いをはじめ蔵があちこちに残り、歴史と風情を感じさせる一角がいっぱいあります。
日光街道沿いには、土井利位侯の雪華をちりばめた青い旗が並んでいました。
日光街道から③へと向かう道も石畳で情緒があります。
③古河第一小学校前の石畳の道。
雪華があしらわれているんですよ。千代紙の図案みたい。
(撮影 広橋さん)
小学校に沿うように歩いていくと
文学館、博物館の一角になります。
④文学館の2階にあるイタリアンレストラン「唐草」。
今回初めて行ったのですが、おすすめです!建物も素敵ですし、ランチもおいしかったでした。
サラダのドレッシングもメインのおさかなのバルサミコソースも美味。結晶モチーフの紅茶もあります
(詳細はその2お土産編で)
グラスにも雪華が
文学館、鷹見泉石記念館、歴史博物館に続く道は、
大きな石垣が印象的。
(撮影 広橋さん)
⑤鷹見泉石(たかみせんせき)記念館も素敵!
東京世田谷の猪俣庭園がお好きな方は絶対気に入ってしまうたたずまいです。
鷹見泉石は土井利位のブレーンとして雪華の観察、雪華図説刊行にも大きな役割を果たしたお方です。
渡辺崋山が描いた鷹見泉石像でお顔をご存じの方も多いはず
(東京国立博物館/国宝)
(撮影 広橋さん)
畳の上にはあがれませんが、お庭もぐるりと回ることができます。
(HPをみるとお茶席で建物を借りることができるようですね)。
(撮影 広橋さん)
建物の中にある囲炉裏には火がともされていて、暖をとることができるようになっていました。
あちらこちらに端正に花が活けられていました。
右手の屋内に囲炉裏があります。
⑥いよいよ古河歴史博物館へ。
入口には「古河城出城諏訪曲輪跡」の碑があります。
博物館の中は撮影できませんので、ぜひ古河歴史博物館のサイトで展示品他をお楽しみください。
古河歴史博物館(ttp://www.city.koga.ibaraki.jp/rekihaku/)
→「雪の殿さま土井利位」
『雪華図説』『続雪華図説』『重刻雪華図説』3冊とも「雪華図説誕生」をクリックすると閲覧することができます。
私はこの土井利位展にうかがうたびに、土井利位の書状を拝見するのが好きです。
自らが描いた雪華を押印した書状が展示されているのです。
手紙といっても、友に宛てたものではなく殿様としてのオフィシャルなものです。
いわば企業の社長が業務として記した手紙。
そこに、女子がクリスマスカードに雪の結晶のスタンプをするように「押印」しているのですから、
いかに雪の結晶がお好きだったかがわかります。
別時代の人、しかも殿様なのに、とても身近に感じてしまうのです。
雪華図説の現物をみると、いかにこまやかに線が描かれているのかが感じ取れます。
黒い漆に金色が映える雪華柄の印籠にもうっとり。
ヴィトンぽいと思います。
この印籠のスタイリッシュさ、こう下品としての素晴らしさは
ヴィトン、エルメス、カルティエ、ティファニー他欧米のいろんなブランドに知ってほしいものです。
江戸時代の浮世絵が展示されているコーナーもあります。
土井利位の描いた雪華は鈴木牧之の『北越雪譜』で紹介されるなどして、意匠として江戸時代ひろまったそうです。
浮世絵に描かれた女性の着物に土井利位の雪華柄があったりするのをみると、
モードとして江戸時代の庶民たちも雪華を愛していたことが推測できてうれしくなります。
雪華というと冬の風物詩ですが、涼を求めて、なのか浴衣の柄としても雪華が描かれていて、
夏にあえて雪の柄という日本人の自由な発想って面白いと思います。
今回、歴史博物館の永用俊彦氏からとても興味深いお話をうかがわせていただきました。
古河歴史博物館では『雪華図説』の再現として、3種の版木制作を試みたそうです。
版木制作を担ったのは伝統的な木版画の手法で浮世絵の再現他を手掛ける渡辺木版の渡辺和夫氏。
※サイト「観光いばらぎ」での渡辺氏ご紹介のページはこちら(ttp://www.ibarakiguide.jp/db_kanko/?detail&id=0800000002052)
自らが版木を手掛けるという同じ立場だからこそ実感できることなのでしょう。
版木で起こすのは相当細かく難しい図柄なのだそうです。
渡辺氏は、江戸時代、雪華図説を手掛けた職人の技術の高さを讃えられたそうです。
こまやかな図柄であってもそれをきちんと版木に彫ることができるという卓越した技術を。
↑この版木は展示されてはいません。
日本の、世界の宝物といってもいいと思う土井利位の『雪華図説』『続雪華図説』は、
土井利位や鷹見泉石の情熱や、顕微鏡で覗いた結晶(たちまち溶けてゆく)を的確にスケッチした描写力が凄いと思うのですが、
描かれたその雪華を版木で再現するという職人たちの素晴らしい技術力にも支えられていたのですね。
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(2012.1.26追記)
今回は訪ねませんでしたが、
上の地図の左上に見切れたところに位置するのが、土井利位侯も眠る土井家墓所がある正定寺。
きくところによると雪華模様のろうそく立てもあるとか。
私は気づかず。次に訪ねた時に確認せねば。
古河についてはこちらにも。
2008年2月4日、2009年5月14日、2010年3月2日
その2お土産編に続きます。
【雪の結晶と土井利位】INDEXはこちら
【雪の結晶と食べ物】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら
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